ファクタリングは何回でも複数利用できるのか?について

2024年8月29日

ファクタリングの複数利用は可能です。ただし、ファクタリングの二重譲渡は犯罪に問われる可能性があるため注意が必要です。

この記事では、ファクタリングの複数利用と二重譲渡の違い、複数利用のメリット・デメリットや注意点を解説します。

ファクタリングの複数利用とは?

ファクタリングの複数利用とは、異なる売掛債権をそれぞれ別のファクタリング業者に売却することを指します。

売掛債権Aをファクタリング業者AとBに売却するのは二重譲渡ですが、売掛債権Aをファクタリング業者Aに、売掛債権Bをファクタリング業者Bに売却するのは問題ありません。

ビジネスローンなどを複数社に同時に申し込むと、審査で「かなりお金に困っている人」と判断され、審査でマイナスに働きます。

しかしファクタリングは信用情報機関のような組織がないため、複数利用しても審査にマイナスに働くことがありません。またファクタリングの審査では、本人の信用よりも売掛先の信用力が重視されるため、融資と比べると審査に通りやすい傾向にあります。

ファクタリングの二重譲渡は犯罪に問われる可能性がある

ファクタリングの複数利用は可能です。

ただし大前提として、ファクタリングの複数利用とは二重譲渡のことを指すわけではないため注意してください。ファクタリングの二重譲渡は犯罪に問われる可能性があるため、絶対にやってはいけません。

ファクタリングの二重譲渡とは、すでにファクタリング業者に売却した売掛債権を、他のファクタリング会社にも売却して二重に資金を受け取ろうとする行為のことです。

例えば、最初にファクタリング業者A社に売掛債権を売却して100万円の資金を調達。1週間後にファクタリング業者B社にA社に売却したのと同じ売掛債権を売却して100万円の資金を調達し合計200万円の資金を入手するのが二重譲渡です。

ファクタリングの二重譲渡は犯罪にあたり、仮に発覚すると、詐欺罪、横領罪が適用され10年以下の懲役となる可能性があります。

ファクタリング業者は利用者が二重譲渡をしてもわからない?

ファクタリング業者は、利用者が二重譲渡してもわかりません。

銀行融資の場合、融資の申し込みがあると、銀行は信用情報機関に照会をかけて利用者の信用情報を確認します。信用情報機関を通じて金融機関の信用情報を共有できるため、他社で返済が滞納していたり、他社で融資を断られた事実を把握したりすることも可能です。

しかしファクタリングは融資ではないため、契約や利用状況が信用情報機関に登録されることがありません。

またファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2つがあります。2社間ファクタリングはサービス利用者とファクタリング業者の2社間での契約です。そのため、利用者が二重譲渡をしても調べない限りファクタリング業者はわかりません。

対して3社間ファクタリングは、サービス利用者とファクタリング業者、売掛先の3社間での契約です。そのため、3社間ファクタリングで二重譲渡をすることが実質不可能と言えます。

しかし繰り返しになりますが、二重譲渡は犯罪です。仮にファクタリング業者にバレないからといって二重譲渡しても、ファクタリングを利用している時点で返済原資が用意できなくなる可能性が高く、すぐに発覚してしまうでしょう。

債権譲渡登記を求められるケースも増えている

債権譲渡登記とは、債権譲渡をした事実を法務局に届出て登記する手続きのことです。債権譲渡登記をしておけば、債権がいつ誰から誰に譲渡されたかを公的に証明できます。

万が一、二重譲渡があったとしてもファクタリング業者は第三者に対して権利を主張できるため、ファクタリング業者は未回収リスクを抑えられます。

2社間ファクタリングはファクタリング業者にとってもリスクが高い取引です。3社間ファクタリングに比べて手数料が高めなうえ、近年では債権譲渡登記を求められるケースも増えています。

複数社に見積もりを取ることは問題ない

ファクタリングで同じ売掛債権をもとに相見積もりを取ることは、法的に問題ありません。

ファクタリング会社は数多く存在するため、同じ売掛債権でも買取額や手数料に差があります。自社にあったファクタリング業者を選ぶためにも、複数のファクタリング会社に見積もりを依頼し、条件を比較することが大切です。自社に必要な金額や資金が必要なタイミングも考慮しましょう。

ファクタリングを複数利用するメリット

ファクタリング業者は数多く存在し、それぞれ手数料や審査スピード、買取可能額など条件が異なります。複数利用することで、相見積もりがとれたり、自身の現状に合わせたファクタリング業者を使い分けたりすることができます。

自身のニーズに応じたファクタリング業者が選べる

ファクタリングを複数利用することで、自社のニーズに応じたファクタリング業者が選べます。ファクタリング業者によって特徴はさまざまです。

例えば、利用限度額に関しては上限が設定されており、売掛債権が高額すぎると買い取ってもらえない可能性があります。他にもWeb完結で申し込める、審査が早い、手数料が安いなど、ファクタリング業者ごとに特徴が異なります。

すぐに資金調達をしたいときは審査スピードが早い業者に、高額な売掛債権を買い取ってほしいときは利用限度額が高額な業者を選ぶなど、自身の現状にあったファクタリング業者が選べるのが複数利用のメリットの1つと言えるでしょう。

より手数料が安いファクタリング業者が選べる

手数料はファクタリング業者ごと、あるいは2社間ファクタリングか、3社間ファクタリングでも手数料が異なります。

一般的な手数料相場は2社間ファクタリングが4~12%、3社間ファクタリングが2~9%です。3社間ファクタリングのほうがファクタリング業者のリスクが少ないため、手数料が安めに設定されている傾向があります。

売掛債権の買取代金は、自社の資金繰りに大きな影響を与えます。多くのファクタリング業者ごとの2社間、3社間の手数料を比較することで、より安い手数料で利用できるファクタリング業者が見つかるでしょう。

ファクタリングを複数利用するデメリット

ファクタリングは同じ業者を何回も繰り返し利用したり、複数の売掛債権を1社にまとめて譲渡したほうが有利な条件で利用できるケースがあります。以下、ファクタリングを複数利用する場合のデメリットを解説します。

審査に時間がかかることがある

ファクタリング業者のなかには、繰り返し利用することで審査をスムーズに進めてくれる業者もいます。

そのためファクタリングの複数利用で、その都度新規に申し込みをしていると、トータルでかなりの審査時間になってしまう可能性があります。

また本業で忙しい人にとっては、複数社に申し込みしたり、必要書類を提出したりする労力だけでもかなりの負担を感じるかもしれません。

手数料が高くなることがある

ファクタリングは売掛債権の額が大きくなるほど手数料が安くなる傾向があります。

複数利用で各ファクタリング業者に売掛債権を譲渡するよりも、複数の売掛債権をまとめて1社に譲渡したほうが手数料を安くできるかもしれません。

複数利用で手数料を抑えたいときは、1社にまとめたときとどちらの手数料が安いか、比較したうえで申し込みましょう。

ファクタリングを複数利用するときのポイント

やみくもにファクタリングを複数利用しても、労力や手数料が無駄になってしまう可能性があります。ファクタリングを複数利用するときのポイントを解説します。

相見積もりを取るときは3~4社程度を目安にする
相見積もりを取るときは3~4社程度を目安にしましょう。相見積もりをとっても2社だけでは、どちらの手数料が安いかしかわからず、手数料の相場までは把握ができません。

だからといって多くの業者に見積もりを取ろうとすると、申し込みや書類提出に大きな労力を費やすことになるでしょう。

複数から相見積もりを取るときは、インターネットや評判などを調査して信頼できる3~4社に絞ったほうが効率的です。

また相見積もりを取るときは、公平に比較するために同じ売掛債権かつ2社間・3社間などの条件同じにして相見積もりを取りましょう。

スケジュールに余裕を持つ

複数利用する場合はスケジュールに余裕を持って取り組みましょう。すぐに見積もりを出してくれるファクタリング業者もありますが、すべての業者がスピーディな審査に対応してくれるとは限りません。

また3社間ファクタリングは取引先を含めた3社間で契約をするため、2社間よりも時間がかかります。

より時間に余裕があれば、ファクタリング業者からより精度の高い見積もりが取り付けられるうえ、自身に合う条件が見つけやすくなるでしょう。

できれば資金が必要な時期の1ヶ月前を目安に、準備を始めておきたいところです。

丁寧な応対を心がける

丁寧な対応を心がけることも、ファクタリングを複数利用するときのポイントです。申し込みから買い取り代金の振り込みまで、来店や電話をすることなくWeb完結で利用できるファクタリング業者も増えていますが、そうではない場合もあります。

面談や電話応対が必要なファクタリング業者では、利用者の応対も見られています。特に2社間ファクタリングはファクタリング業者にとってリスクが高い取引です。そのため、面談や電話応対を通じて、本当に信頼できる利用者かどうかをチェックされていると考えましょう。

どのファクタリング業者に対しても、面談や電話応対、メール対応など、あらゆる場面で真摯な対応を心がける必要があります。

契約内容も細かく確認する

ファクタリング契約は基本的に償還請求権がなく、売掛金の未回収リスクをファクタリング業者が負います。

しかし償還請求権ありになっていると、ファクタリングではなく融資の可能性があり審査に時間がかかります。

また償還請求権ありの契約を締結しようとする業者は、悪徳業者である可能性が高いため注意が必要です。

複数利用すれば、その分多くの契約内容を見なければなりませんが、契約内容が「償還請求権あり」になっていないか契約前に十分確認しましょう。

まとめ

異なる売掛債権を別々のファクタリング業者に譲渡するファクタリングの複数利用は、法的に問題ありません。しかし、同じ売掛債権を異なるファクタリング業者に譲渡する二重譲渡は犯罪に問われる可能性があるため、絶対にしてはいけません。

なお、ファクタリング業者の条件を比較するために、同じ売掛債権で相見積もりを取ることは可能です。より自身にあった条件でファクタリングを利用するために、相見積もりは積極的に活用するべきでしょう。