ファクタリングが建設業者に人気の理由
2024年6月27日
ファクタリングが利用されやすい業界的な背景から見て、ファクタリングは様々な業種で利用される資金調達方法ですが、その中でも建設業を営む企業からの利用は特に多く、契約全体の30~40%が建設業者であるともいわれています。
今回は、なぜ建設業者にファクタリングが利用されているのか、活用事例やファクタリング業者を選ぶポイントを解説します。
建設業ビジネスの主な特徴としては「入金サイトが長い」「前払いせねばならない費用が多い」「手形取引が今も盛んに行われている」などが挙げられます。
同特徴の概要をはじめ、何故ファクタリングとマッチするのか等について一つ一つしっかりと解説いたします。
入金サイトが長い
締め日から売掛金が支払われるまでの期間を一般的に「入金サイト」と言います。
建設業は入金サイトが非常に長い業種として知られており、締め日から入金日まで2~4か月ほどかかることもあります。
工事を施工する契約は、民法上の「請負契約」に該当するため、完成・引渡しを以てはじめて報酬を支払う義務が生じるためです。
したがって、建設業では完工後にまとめて入金としている場合が多く、特に大手のゼネコンが元請となっている場合、100%後払いになることも珍しくありません。
工事は長期に亘ることも多く、着工から起算すると、入金までに半年~1年程度かかってしまうケースもあります。
手形取引が多い
建設業ビジネスでは手形取引が多く用いられてきました。
入金サイトが長く、それにより資金繰りに頭を悩ませる企業が多かったため、裏書譲渡などで早期に資金調達できる手形取引が重宝されてきたのです。
ファクタリングは債権の譲渡という性質上、融資よりも手形の裏書譲渡に近い手法であり、もともと手形取引が主流であった建設業でマッチしたという背景があります。
また、ファクタリングは手形取引と違い、印紙税がかからず債務不履行になるリスク(裏書人の責任が無い)もありません。
前払い費用が多い
工事に要する人件費や材料費・外注費(工事の一部を下請けに出す場合など)・重機のリース代などは、すべて自社で立て替え払いせねばなりません。
また、立て替える金額が大きいという点も無視できない問題です。
建設業は1件あたりの取引金額が大きくなりやすく、前払い費用も高額となり、延いてはキャッシュフローの停滞を招く可能性が高いと言えます。
また、工事完了後すぐに別の仕事が入れば、ひとつ前の仕事の売上が入金される前に支出が生じ、キャッシュフローがさらに圧迫されるといった恐れも十分に考えられます。
つまり建設業は一つの仕事に取り組むために多額のキャッシュが必要になり、工事にかかる諸費用を工面するためのつなぎ資金としてファクタリングが利用されているのです。
融資とのメリット比較
現金と融資の比較
多くの方が資金調達方法として初めに思い浮かぶのは「融資」ではないでしょうか。
なぜ建設業では融資ではなくファクタリングが利用されているのか、ファクタリングの融資に比べて優れている点を解説します。
元請会社の倒産リスク回避
融資を受けた場合、当然ですが返済の義務が生じます。
そのため、融資を受けた後に取引先が倒産し、売掛金が回収できなくなった場合であっても、借り入れた金額+利息の返済はしなければなりません。
また、手形割引では譲渡人(裏書人)が連帯して責任を負うため、発行元が倒産した場合は代わりに記載された金額分を負担せねばならなくなります。
一方、ファクタリングは売掛金や未収金を売却し、債権の早期現金化を図る金融取引であるため、仮に取引先が倒産したとしても返済義務は生じないという特徴があります。
建設業は一件ごとの取引規模が大きいため、回収不能リスクを回避できるという点は大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
審査がスピーディかつ緩い
融資に比べて現金化(資金調達)までの時間が短いという点も特徴的です。
融資では、業績や信用などを細かく調査するため審査に時間が掛かり、申請から実行までに1か月程度を要することも珍しくありません。
ファクタリングでは利用企業の業績や成長性等は考慮せず、債権の存在や信頼性を主に調査するため、最短即日で取引が完了(買取金の振込)するケースもあります。
さらに、ファクタリングは融資に比べて審査にも通りやすいです。
前述した通りファクタリングで審査されるのは自社の経営状態ではなく、売掛先の経営状態や信用が主に調査されます。
仮に自社の経営状態が赤字であっても、売掛先が安定した経営をしていれば資金調達が可能です。
個人事業主でも利用できる
建設業では、個人事業主(所謂「一人親方」)として活動されている方が多く存在します。
銀行融資や消費者金融のキャッシングは、事業規模が大きければ大きいほど審査に通りやすく、逆に小さければ小さいほど審査に通りづらくなります。
したがって、個人事業主は融資が受けづらく、資金調達の選択肢が少ないのです。
前述した通り、ファクタリングでは売掛先の信頼性が重視されますので、利用者が個人事業主であったとしても問題無く利用することができます。
ただし、逆に売掛先が個人事業主の場合は利用が断られる可能性が高いという点には注意が必要です。
負債が増加しない
融資を受けた場合は、貸借対照表上の「借入金」という負債勘定が増えます。
負債の割合が多いと経営状態が悪いと判断される可能性が高くなり、延いてはその後の融資が受けにくくなる恐れがあります。
ファクタリングは、売掛金が減り現金が増える(資産の勘定科目が変わる)だけで負債は増えませんので、融資審査や契約を控えているといったシーンでオススメです。
ただし、反復継続して利用するとファクタリング手数料が膨らんでしまい、さらに経営を締め付けてしまう可能性もありますので注意せねばなりません。
優良業者を選ぶポイント
ファクタリング手数料は適正か?
ファクタリング手数料の金額は、予め設定された手数料率(譲渡する債権の〇%)によって算出されます。
3社間ファクタリングで1~5%・2社間ファクタリングで5~15%が手数料の相場と言われておりますので、同手数料率と著しく乖離した場合は警戒した方が良いでしょう。
また、ファクタリング会社によっても手数料は異なりますので、ご利用の際は複数の業者を比較(相見積)することも大切です。
建設業ではファクタリングの金額が高くなりやすく、1%の違いでも大きな差になりますので、しっかりと比較検討するようにしてください。
現金化までのスピードは?
上記で「最短即日での現金化が可能」と説明しましたが、現金化までのスピードはファクタリング会社によって異なり、2社間方式であれば即日~2日、3社間方式であれば3日~1週間程度を要するのが一般的です。
なお、スピードを重視するのであれば「事務所から近いファクタリング会社」「WEB申込や書類提出が行える業者(オンラインファクタリングなど)」を選ぶという手もあります。
実際にかかる時間は業者の運営スタイルや状況によって変動しますので、緊急度に応じてファクタリング会社を使い分けてみてください。
買取限度額や下限額をクリアしているか?
ファクタリング会社は、それぞれ買取限度額を設けています。
中小規模のファクタリング会社であれば1000万円~数千万円程度、大規模なファクタリング会社(銀行が運営するファクタリングサービスなど)であれば数億円までの買取に対応しています。
また、逆に「100万円から」などの下限を設けているケースもありますので、現金化したい債権の金額がファクタリング会社の買取限度額内に収まるか・下限を下回っていないか等を必ず確認しましょう。
本当に信頼できる企業かどうか?
ファクタリングは資金調達方法としてまだ歴史が浅く、そのため法整備が追い付いていない現状があります。
例えば銀行法・貸金業法などでは、消費者が不利益を被らないための法整備がしっかり整っていますが、ファクタリングには専門の法律がありません。
そのため、ファクタリング会社の信頼性については利用者側がしっかりと調査し、選定する必要があります。
「代表者名を検索してみる」「所在地はレンタルオフィスではないか」「固定電話があるか」「資本金はいくらあるのか」等についてはインターネットでも調べることができますので、必ず実施するようにしてください。
また、比較サイトやGoogleマップ、掲示板等で口コミが投稿されているケースがありますので、これらの情報も参考にしてみると良いでしょう。
以上です。
違法業者や悪徳業者の被害に遭わないためにも、ご利用の際は必ず優良なファクタリング会社を選ぶようにしてください。