ファクタリングと手数料と粗利益について

2023年3月30日

近年話題になっているファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、指定した入金期日が来る前に現金化する方法です。

こちらではファクタリングで資金繰りを改善させる流れを数字でわかりやすく解説していきます。

ファクタリング手数料と粗利益

ファクタリングでは売掛金をファクタリング会社に売却する際に、手数料などの費用がかかります。

たとえばファクタリングの手数料が15%で、100万円の売掛債権を売却すると、15万円がマイナスされた85万円が調達できます。

これが5%の手数料の場合、5万円がマイナスされ、95万円が調達できます。

ファクタリングを行っても利益率的な問題がないかどうかはこの手数料率がカギを握っています。

単純に言えば、手数料率が売掛債権の粗利益率を大きく下回っていれば、手数料が差し引かれても利益が出るということになります。

業種別の粗利率は、小売業が15-30%、卸売業が10-15%、飲食業が50-70%、製造業が20-50%、サービス業が50-80%程度と言われていますが、手数料を差し引いても営業利益が残るのではればファクタリングを利用しても利益がでます。

逆に儲けのほとんどが手数料で消えてしまうような粗利率だと、その場はしのげても資金繰りがいつまでも改善しない状況に陥ってしまうかもしれません。

ファクタリング会社のリスク

ファクタリング会社は買い取った売掛金の回収リスク(債務不履行リスク)の大小によって、買取時の手数料を変動させています。

1回の買取りに手数料を5%とする場合、債務不履行を許容できるのは20回に1回です。それ以上の回数になってしまうと、手数料を利益の源泉としているファクタリング会社の経営が傾く計算になります。

10%の手数料であれば10回に1回は許容できますが、それ以上はダメです。20%の場合4回につき1回は許容できるようになります。

このように、手数料によってファクタリング会社のリスク許容度は大分違ってくることがわかります。

債務不履行リスクですが、パターンとしては売掛先の倒産、ファクタリングを利用した会社の倒産、そしてファクタリングを利用した会社の売掛金の流用の3つです。

ファクタリングを2社間で行う場合、これら3つのリスクすべて起こりえます。そのため売掛金の手数料は高めに設定されています。2社間ファクタリングの手数料が高いのは、3つのリスクが債務不履行のリスクに影響してくるからと言っていいでしょう。

3社間ファクタリングの場合、売掛先から直接ファクタリング会社の口座に振り込まれるため、利用会社が流用したり持ち逃げすることができなくなります。それによって手数料は低くなっています。

資金繰り改善・事業再生とファクタリング

では実際の数字で手数料と利益の関係を見ていきましょう。

<売掛債権が100万円>

売上原価が70万円の場合、
粗利は30万円です。

ここから販売費用20万円が引かれ、営業利益が10万円だったとします。

▼ファクタリングの手数料が10%のとき
売掛債権が100万円
売上原価は70万円

ファクタリング手数料が10万円のマイナス

粗利益が20万円となり、販売手数料が20万円なので

利益は0円。

つまりファクタリング手数料によって獲得していた利益を失ってしまう形になります。ただ、損失も0円なので収支はプラスマイナス0です。

▼ファクタリングの手数料が5%のとき、
売掛債権が100万円
売上原価は70万円

ファクタリング手数料が5万円のマイナス

粗利益が25万円となり、販売手数料が20万円なので

利益は5万円です。

ファクタリングを利用しても、5万円の利益が残る計算になります。

あくまで一例ですが粗利率30%の場合、手数料が11%以上だとファクタリングの利用で損失を作ってしまいますが、9%以下だと利益が残ります。

まとめ

ここまでファクタリングで資金繰りを改善させる流れを数字で具体例を挙げて紹介しました。ファクタリングの利用時は、このように粗利率と許容できる手数料率を調べてから、有利な条件で利用できる会社を選んでいきましょう。