ファクタリングの必要書類は申込書以外に何がある?

2023年9月29日

ファクタリングは必要書類が少ないと好評ですが、申込書のほかにもいくつかの書類を提出しなければいけません。審査のとき、請求書(売掛金が発生した根拠となる書類)をメールやFAXなどで提示するだけでは不十分であり、それ以外に必要なものが存在するのです。

審査を開始させたり、ファクタリング契約したりするときは必要書類を集める必要があります。そのため素早く資金調達するには、「どのような必要書類があるのか」を事前に理解しておかなければいけません。

それでは実際のところ、どのような書類を集めればいいのでしょうか。

これについてはファクタリング会社によって少し異なりますが、多くの業者で必要書類は共通しています。そこで、私がこれまで何社もの会社でファクタリングを実施した経験を踏まえ、どのような書類を集めればいいのか解説していきます。

法人のファクタリング契約に必要な書類

審査の段階で必要な書類はファクタリング会社ごとに異なります。公式サイトから申し込み、電話確認を受けた後、以下のように審査書類を送るように指示されるのです。

ただ、これらはあくまでも審査に必要な書類です。実際に契約する段階になると、結局のところどのファクタリング会社でも揃えておくべき書類が共通してくるようになります。そのため、事前に書類集めを完了しておくのはスムーズに契約するために必須です。

このとき、審査や契約に必要な書類としては以下のようなものがあります。

・申込書(ファクタリング会社が規定するもの)
・銀行通帳のコピー3ヵ月分
・売掛金の発生要因:請求書、契約書、発注書など
・決算書
・本人確認書類のコピー:運転免許証、パスポートなど
・登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・法人の印鑑証明書

このように記すと、契約までに必要な書類は以外と多いことが分かります。このように必要なものが多いのは、あなたがきちんとビジネスをしていることを詳しく調べるためです。ペーパーカンパニーではなく、適切にビジネスを継続していることを記すには書類が多いほどいいです。

当然、スピード審査に通してもらうためには、要求される書類をできるだけ提示したほうがスムーズです。そのため、実は「審査や契約時に多くの書類提出を要求するファクタリング会社のほうが優良業者」となります。

申込書の種類はファクタリング会社ごとにバラバラ

審査時に申込書類を提出するケースがあります。ファクタリング会社によって様式はまったく異なりますし、申込書を用意していない業者もたくさんあります。そのため、申し込む会社によって申込書があるかどうかはバラバラだと考えるようにしましょう。

当然、ファクタリング会社で申込書を用意している場合はこれらを活用する必要があります。

こうした申込書では、「法人情報」「代表者情報」「売掛先の情報」などを記入(入力)していくようになります。

ファクタリング会社によっては申込書を必要としていませんが、この場合は電話口で法人情報やあなたの情報などを聞かれるようになります。いずれにしても詳細な情報を伝える必要があり、このとき申込書として入力するか、電話口で必要情報を伝えるのかの違いだと考えるようにしましょう。

銀行通帳コピーで取引内容確認や残高確認をする

請求書や発注書の内容はいくらでも偽造・偽装できます。自由に作ることができますし、金額を水増しするのも簡単です。そうしたとき、どのようにしてファクタリング会社が「請求書や発注書、契約書の内容がウソではない」と判断しているかというと、それは通帳になります。

銀行通帳のコピー3ヵ月分は審査時に必ず要求されますが、このとき通帳と過去の請求書類の内容を照らし合わせれば、問題なく取引されていることを確認できます。架空の請求書かどうかについては、通帳コピーから判断できるのです。

あらゆる審査で通帳コピーの提出を求められるのは取引実績を確認しているからです。もちろんネット銀行だと通帳コピーを出せないものの、その場合でも「Web画面をPDF化して送付する」などによって対応することができます。

また、通帳を見ればいま現在の残高確認ができます。残高確認により、ファクタリングをすることの妥当性や健全性をチェックできるのです。

売掛金の発生要因:請求書、契約書、発注書などは必須

ファクタリングになるため、売掛金がどれだけ発生しているのかを示す書類は当然ながら必須です。そのため、請求書や発注書など売掛債権が発生した要因についてメールやFAXなどで送るようになります。

このとき、売掛金が発生していることが分かるものであれば、何でも問題ありません。

また、多くの場合で「今回、買取する売掛金以外にも、同じ得意先について過去3回分の請求書類も提出してほしい」と指示されます。これにより、継続して取引があるかどうかチェックするのです。

ファクタリングでは、一回だけ取引する会社の売掛金を買取対象にすることは基本的にありません。そうした売掛金を審査に出してもいいですが、ほぼ確実に審査落ちになります。そうではなく、何度も取引実績のある法人の売掛金を売買するのがファクタリングです。

そのため、契約書などがあれば審査に有利です。取引内容が明確に分かるため、売掛金の発生要因についてはすべて提出するようにしましょう。そのほうが審査に通りやすくなり、手数料交渉もスムーズになります。

過去の決算書を1~3期分用意しておく

審査のとき、決算書も重要な書類になります。ファクタリングで審査を受けるとき、売掛先の信用情報が重要とはいっても、あなたの会社についても審査で調査されるからです。

ファクタリングの場合、債務超過や税金滞納の状態であっても問題なく利用できることで知られています。それにも関わらず、なぜ決算書の提出が必要になるのでしょうか。これは、ファクタリング会社にとって債権回収リスクを考慮する必要があるからです。

多くの場合、得意先・取引先への通知が必要ない2社間ファクタリングを利用します。この場合、「取引先から振り込まれたお金について、あなたの会社からファクタリング会社へ全額そのまま送金する」ことになります。

そのとき、あなたの会社が倒産しているとファクタリング会社は債権回収できません。このリスクを回避するため、売掛金が取引先から支払われるまでに問題なく会社が存続できるかどうかを審査するのです。

過去の決算書のうち、何期分の提出が必要なのかは業者ごとに異なります。ただ、過去の直近3期分あれば特に問題ありません。

本人確認書類のコピー:運転免許証、パスポートなど

当然ですが、申し込む場合は代表者本人になります。資金繰りは企業経営の根幹に関わるものであり、代理人が代表者本人の代わりに手続きをするのは考えられません。個人事業主や法人を含め、必ず代表者でなければいけないのです。

そうしたとき、代理人からの依頼を防ぐために本人確認書類の提出をどのファクタリング会社も必須にしています。そこで、運転免許証やパスポートなど本人だと分かる書類のコピーを提出するようにしましょう。請求書や通帳コピーと共に審査時に送るといいです。

ただ、本人確認書類については手元に常時あるはずなので、そこまで難しくはありません。代表者として運転免許証をコピーし、送付するといいです。

登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は複数枚が必要

法人登記の内容を記すものに登記簿謄本(履歴事項全部証明書)があります。登記簿謄本に役員の名前や資本金、設立年度などが記されるようになります。

会社情報を確認するため、審査時は登記簿謄本のコピーを送ることになります。

また、ファクタリングのときは登記をします。売掛金という目に見えない物を取り扱うため、「この売掛金の所有権はファクタリング会社に移った」ことを登記によって法律上でも記すようにするのです。

こうした登記のため、契約時は登記簿謄本の原本を提出することになります。会社によって異なりますが、多くは2枚の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の取得をお願いされるようになります。

法人の印鑑証明書は多いほどいい

同時に法人の印鑑証明書も取得しておきましょう。契約のとき、法人印を押すようになります。そうしたとき、法人印が正しいものであると証明するための書類が印鑑証明書になります。

法人の印鑑証明書については、たくさんの枚数を取得しておくといいです。どれだけ少なくても3通は必要になります。

印鑑証明書が何枚必要になるのかについては会社ごとに異なります。2通を要求されることがあれば、3通といわれることもあります。また、「売掛金の買取をする法人数 × 2枚」としているファクタリング会社もあります。

いずれにしても、法人の印鑑証明書はそれなりにたくさん必要になります。特に売掛金の売買をしたい取引先がたくさんある場合、事前に多くの印鑑証明書を取得しておくようにしましょう。

ファクタリング契約の前に必要書類を集めるとスムーズ

ファクタリングを実際に行うとき、どの会社でもここまで述べた書類の提出を要求されます。そのためファクタリングすることを決めた場合、できるだけ早めに書類を集めるようにしましょう。そうしないと、いくらスピード審査を実現できても書類がないために契約できず、素早い資金調達ができません。

ファクタリングで即日の資金調達が可能なのは確かですが、これは事前に書類を用意しているからこそ可能になります。ただ、必要書類を理解していないと手間取ってしまうのも事実です。

実際のところ、必要書類の種類は業者によって少し変わります。ただ、ここに述べた書類はどのファクタリング会社でも必須になるため、事前に用意しておくと審査・契約がスムーズになります。

資金繰りを改善するにしても、ファクタリング契約での必要書類がどうなっているのか把握しておくようにしましょう。早めに準備しておくことで、確実に資金繰りを改善できるようになります。

資金調達のためにファクタリングを利用する場合、ファクタリング会社はたくさんあります。このとき、会社によって審査基準はバラバラですし、申し込みをしないと手数料は分かりません。そのため、複数社にあいみつ(相見積もり)を取るのが失敗しないコツです。