売掛債権買取サービスとは一体?メリット・デメリットを徹底解説
2024年10月13日
売掛債権買取サービス(ファクタリング)とは、売掛債権を専門会社に売却し、早期に資金化するサービスです。スピーディーに現金を確保できるほか、業種や業態、事業規模問わず利用可能など、利便性が高い特徴があります。今回は売掛債権買取サービスを利用するメリットやデメリット、依頼先の選び方を解説します。
売掛債権買取サービス(ファクタリング)とは?
売掛債権買取サービス(ファクタリング)は、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金化する資金調達方法です。売掛先の弁済前に代金を回収できるため、資金繰りに悩む企業にとって利用価値が高いサービスです。
銀行融資と異なり入金までの時間が短いことから、企業の新たな資金調達の手段として注目されています。契約の形態しだいでは即日現金化もできるため、給与や買掛金の支払いで急を要する場合など、喫緊の資金需要を解決に導くことも可能です。
ファクタリングを利用すると、売掛債権の金額から手数料を差し引いた残額がファクタリング会社より支払われます。また、ファクタリング会社に債権譲渡が完了した後は、売掛先からの売掛金回収の権利はファクタリング会社側に移ります。そのため、未回収時のリスクから逃れられるのも大きな利点です。
売掛債権買取サービス(ファクタリング)の種類
売掛債権買取サービス(ファクタリング)は、債権を売買対象にする買取型ファクタリングと、売掛金の回収ができなかった場合に保証を受けることができる保証型ファクタリングに分かれます。さらに買取型は契約に関わる範囲に応じて、2者間ファクタリング・3者間ファクタリングに分類されます。ファクタリングの種類ごとの特徴を見てみましょう。
買取型ファクタリング
買取型ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、対価として手数料が差し引かれた代金を受け取る方式です。早期現金化を希望する企業に適した資金調達方法の一つで、契約の際に売掛先を含めるか否かで2者間ファクタリングか3者間ファクタリングかに分類されます。
2者間ファクタリング
2者間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社のみで売掛債権の譲渡契約を交わす方式で、売掛先に対して承認を求めないのが特色です。売掛先を介さず2者間で取引を行うため、現金化のスピードが比較的速いことは何よりの利点です。ファクタリング会社での審査が完了すれば、申込当日にキャッシュを確保できる場合もあります。
一方で2者間ファクタリングのデメリットは、手数料が比較的高い点です。
期日が到来すると、売掛先は通常通り利用者に売掛金を支払い、利用者はそれをファクタリング会社に送金して清算が完了します。
その際、売掛先から業者へと直接支払いは行われないため、利用者が受け取った金額をほかの債権の弁済に充当しても、ファクタリング業者は知りえません。このように、2者間ファクタリングはファクタリング会社側から見た時の未回収リスクが高いため、手数料を高く設定することでバランスを保っているのです。
3者間ファクタリング
3者間ファクタリングは、契約に売掛先も関わる方式で、債権譲渡契約の前に売掛先への通知や承認が伴います。売掛金の支払い期日が到来したら、ファクタリング会社が直接売掛先から代金を回収します。
3者間ファクタリングは未回収リスクが低いと考えられることから、2者間ファクタリングと比較して手数料が割安になるため費用を安価に抑えたいときは優先的に検討したい方法だといえます。
一方で手続きに時間を要するため、入金がスピーディーに行われにくいこと、売掛先が債権譲渡の事実を知ってしまうことは懸念材料です。多くの場合、売掛先はなぜ取引先が外部に依頼してまで、債権の早期回収を図ったのか疑念を抱くでしょう。資金繰りの悪化を疑われてしまうと、取引の停止や発注規模の縮小などの影響が出る恐れもあります。
保証型ファクタリング
保証型ファクタリングは、万一対象の売掛金が未回収に終わったときに保証金を受け取ることができるサービスです。買取型と異なり、早めに現金を回収する効果はなく、貸し倒れリスクに備える目的があります。保証型の場合、信用調査によってファクタリング会社が保証枠を定め、その範囲内で保証金を受け取ることができます。
売掛先から売掛金回収できないと資金繰りが悪化し、最悪の場合、倒産を起こしかねません。そのような事態を避けるために、保証型ファクタリングを活用する意義は大きいといえます。
売掛債権買取サービス(ファクタリング)のメリット
売掛債権買取サービス(ファクタリング)を利用するメリットは、早期に代金を回収できる点だけでなく、融資と比較すると資金調達のハードルが低い点もあります。ファクタリングを活用する具体的なメリットを把握しましょう。
負債を増やさずに資金を調達できる
売掛債権買取サービスが融資と決定的に異なるのは、新たな負債が発生するわけではない点です。銀行からの融資やビジネスローンの場合は、返済が完了するまでは負債という扱いになります。負債が増えると財務諸表での見栄えも悪くなり、金融機関からの印象は悪化するでしょう。
また、返済時には原本に加えて利息を支払うのも痛い部分です。融資によって借入金(負債)が増えると自己資本比率が低下します。他社からの借り入れがなければ経営の維持が難しいことを意味し、追加での融資の審査時に不安視される可能性もあるでしょう。
その点、ファクタリングは負債が増えるわけではないため、比較的負担をかけずに資金を調達することができます。
資金調達を比較的短期間で行える
ファクタリングは、申込から現金化までが比較的短期間で済むのが大きな利点です。売掛先が介在しない2者間ファクタリングなら、最短で即日現金化も可能な場合があります。
銀行融資と比べて資金調達のスピードが迅速で、いち早く手元にキャッシュが欲しいときに適した選択だといえます。資金繰りを一気に好転させる力があるでしょう。
赤字や債務超過などを起こしていても利用できる
ファクタリングは、たとえば利用者が赤字や債務超過を起こしていて、信用力に不安がある場合でも検討できる方法です。信用調査で主眼が置かれるのは売掛先の信用力などであるため、自社の経営状態に少々後ろ暗いところがあったとしても利用を検討できます。
ファクタリングは経営不振で融資を断られた、または通過できる自信がない企業にも救いの手を差し伸べるハードルが低い手法です。
売掛先が倒産した場合でも返済義務がない
ファクタリングの場合、資金繰りの悪化や倒産によって万一未回収になっても、利用者は返済義務を負わずに済みます。債権譲渡契約で権利を譲渡した時点で、その後の債権にかかる義務もファクタリング会社が負担します。
言い換えると、ファクタリングには償還請求権が付帯しないということです。償還請求権とは、債務者が契約どおり債務の弁済ができないときに、元々の債権者に負担を請求できる権利です。
たとえば貸金業者や金融機関による融資では償還請求権が付くケースはあり得ても、ファクタリング会社の債権譲渡契約では見られません。
業種・業態・事業規模を問わず利用できる
業種・業態・事業規模問わず利用できる点もファクタリングの大きなメリットといえます。実際にファクタリングは小売や運送業、学習塾、広告代理店をはじめ、さまざまな種類のビジネスに活用されています。
事業規模も問わず、中小企業のほか、業者によっては個人事業主でも利用可能です。
ファクタリングは融資やビジネスローンと比べて門戸が広い資金調達の手法であり、特にに個人事業主は事業規模的に金融機関での審査に通りにくいことがあるため、ファクタリングを積極的に活用したいところです。
売掛債権買取サービス(ファクタリング)のデメリット
売掛債権買取サービス(ファクタリング)は、中小企業や個人事業主にとって有力な資金調達手段の一つではありますが、デメリットも存在します。
ファクタリングの利用において気をつけるべきポイントを詳しく解説します。
手数料の分だけ利益は下がる
実際に現金化できるのは、額面からファクタリング会社へ支払う手数料を差し引いた金額です。そのため、手数料を負担することで売掛金よりも少ない金額になることには注意が必要です。手数料率の相場は2者間ファクタリングの場合1%〜20%程度、3者間ファクタリングでは1%〜9%程度です。
ファクタリング会社が売掛先から直接代金を受け取らない2者間ファクタリングでは、未回収リスクの高さゆえに手数料も比較的高く設定されます。たとえば手数料率が4%だとすると、100万円の売掛金の回収を依頼した場合手数料を差し引いた96万円を現金化することになります。決して小さい負担とは言い切れないため、あらかじめ現金化できる金額を計算しておきましょう。
また、ファクタリングの手数料は売掛先の信用力や売掛金の金額、過去の利用実績などの影響も受けます。個々のケースごとに具体的な手数料が決まるため、公式サイトに記載の金額を鵜呑みにせず、見積もりを依頼して事前に支払額の詳細を把握できると良いでしょう。
売掛債権の金額を超える資金調達はできない
ファクタリングでは、譲渡する売掛債権を超える額の資金調達はできない点にも留意しましょう。今ある債権を業者に売却して現金を得るサービスであるため、調達可能額の上限は売掛債権の額面金額です。
一般的にファクタリングは、突発的な資金需要や融資までのつなぎ資金としての資金調達に適した手法です。一方で設備投資や新規事業開発のような大規模な資金調達には、自社の債権額という絶対的な成約がある以上、不向きだと考えられます。その場合は、ビジネスローンや銀行融資との併用も検討が必要かもしれません。
悪徳業者に注意が必要
自社の利益を第一に、利用者を騙す悪徳業者の存在は否定できません。形式的にはファクタリングの形を取りながら、実際は融資を行う偽装ファクタリングには要注意です。
たとえば債権が貸し倒れになったとき、本来なら責任を負うのはファクタリング会社ですが、契約書に利用者が返済の義務を負うなどと記載があれば、偽装ファクタリングの可能性が高いです。債権を返済すべき手段がなく困っている相手に、金融業者を紹介して高い金利でお金を貸し付けられることがあります。
本来、金銭の貸し付けは貸金業法に基づく登録を受けた業者しか事業を展開できません。よって、ファクタリング会社から返済を求められたたときは注意が必要です。
相場と著しく乖離した金額の手数料を提示している業者も、避けたほうが無難です。相場より安価な手数料は一見魅力的に思えますが、契約後に後出しで追加費用を請求されたり、容赦ない取り立てを受けるなどの可能性があります。
まとめ
売掛債権買取サービスは、融資とは異なり、負債を増やさず短期間で利用できる資金調達の手法です。保証人や担保は不要で、業種・業態・企業規模にかかわらず使えるため、中小企業向けの資金調達の方法として注目されています。
ただし、貸金業法や出資法に違反する悪徳業者が存在しています。悪い業者に騙されないためには、利用者側で優良会社かどうかを見極める必要があります。本記事で紹介した選び方を参考に、優良ファクタリング業者を見つけましょう。