ファクタリングとABLの違いとは?資金調達の仕組みを徹底比較
2025年3月10日
企業が資金調達を行う手段として、「ファクタリング」と「ABL(Asset Based Lending:動産・売掛金担保融資)」があります。どちらも売掛金を活用した資金調達方法ですが、仕組みやリスク、活用のしやすさが異なります。本記事では、ファクタリングとABLの違いを分かりやすく解説します。
ファクタリングとは?
ファクタリングは、未回収の 売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、資金を得る手法 です。銀行融資のように借入ではなく、売掛金を現金化する仕組みのため、財務状況に影響を与えにくいのが特徴です。
ファクタリングの主な特徴
• 借入ではないため、負債にならない
• 売掛先の信用力が重視される(利用企業の信用審査は比較的緩め)
• 最短即日で資金調達が可能
• 売掛先に知られない2社間ファクタリングと、承認が必要な3社間ファクタリングがある
• 手数料が発生する(2社間ファクタリングで10~30%、3社間ファクタリングで1~5%が相場)
ABL(動産・売掛金担保融資)とは?
ABLは、「Asset Based Lending」の略で、売掛金や在庫、機械設備、車両などの 資産を担保 にして金融機関から融資を受ける方法です。日本では特に「売掛金担保融資」として利用されることが多く、ファクタリングと混同されがちですが、実際は 「売掛金を担保に借入を行う」手法 であり、売掛金を売却するファクタリングとは異なります。
ABLの主な特徴
• 売掛金や在庫、設備を担保にして融資を受ける
• 銀行やノンバンクなどが提供している
• 借入なので、負債として計上される
• 金利(融資利息)が発生するが、ファクタリングよりコストが低い
• 審査に時間がかかる(数日~数週間)
• 売掛金以外の資産(在庫、機械設備など)も担保にできる
ファクタリングとABLの違い
ファクタリングとABL(売掛金担保融資)は、どちらも売掛金を活用した資金調達方法ですが、それぞれに特徴があります。
ファクタリングは、売掛金を売却することで資金を調達する方法であり、負債として計上されない点が特徴です。審査では、利用企業の信用力よりも売掛先の信用力が重視されるため、比較的審査が通りやすい傾向にあります。また、資金調達までのスピードが速く、最短即日で資金化が可能です。ただし、ファクタリング手数料は1~30%と幅があり、コストが高くなる可能性もあります。売掛先への通知に関しては、2社間ファクタリングであれば通知不要ですが、3社間ファクタリングでは売掛先への通知が必要です。利用できる資産は売掛金に限られます。
一方、ABL(売掛金担保融資)は、売掛金を担保に融資を受ける方法であり、負債として計上される点がファクタリングと異なります。審査では、利用企業の信用力や担保価値が重視され、融資実行までに数日から数週間かかることが一般的です。金利は銀行融資並みで比較的低めですが、売掛金を担保にするため、万が一返済が滞ると売掛金を回収されるリスクがあります。売掛先への通知は基本的に不要であり、利用できる資産は売掛金だけでなく、在庫や機械設備なども含まれます。
このように、ファクタリングはスピーディーな資金調達が可能な一方で手数料が高く、ABLは比較的低コストで融資を受けられるものの、負債として計上される点が特徴です。企業の資金ニーズや状況に応じて、適切な方法を選択することが重要です。
ファクタリングとABLどちらを選ぶべきか?
ファクタリングが向いているケース
• 売掛金をすぐに現金化したい(即日~数日で資金が必要)
• 銀行融資の審査が通らない、または借入を増やしたくない
• 売掛先の信用力が高く、審査に通る可能性がある
• 短期的な資金繰りの問題を解決したい
ABLが向いているケース
• 手数料を抑えて資金調達したい(融資のため金利負担が低め)
• 売掛金だけでなく、在庫や機械設備も活用して資金調達したい
• 企業の信用力に問題がなく、審査を通過できる見込みがある
• 比較的長期間の資金調達を考えている
まとめ
ファクタリングとABLはどちらも売掛金を活用した資金調達方法ですが、仕組みやリスクが異なります。ファクタリングは売掛金を「売却」するため即座に資金を得られますが、手数料が高くなりがちです。一方、ABLは売掛金を「担保」に融資を受けるため、コストは低めですが、審査が厳しく時間がかかることがデメリットです。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の資金繰りの状況に応じて最適な方法を選びましょう。