電子記録債権とファクタリングの違いは?勘定科目について詳しく解説

2025年1月5日

電子記録債権とファクタリングの違いは?
疑問に思っている方もいるでしょう。

電子記録債権の会計処理では「電子記録債権」という勘定科目を使用し、ファクタリングの手数料は「売上債権売却損」などの勘定科目で計上します。

この記事では、それぞれの特徴を踏まえながら、電子記録債権とファクタリングの違いについて詳しく解説します。

電子記録債権とファクタリングの違い

電子記録債権は、電子データを使用して記録した金銭債権であり、手形や指名債権に代わる新しい金融手段です。一方ファクタリングは、会社が保有する売掛金を売却し現金化するサービスを指します。どちらも売掛債権を利用した資金調達の一手段です。

貸し倒れによる支払いリスク

債務者が支払い不能となった場合、電子記録債権の譲渡では債権者に支払い義務が生じます。債権者が保証人になるためです。

一方ファクタリングでは、債権者ではなく、ファクタリング事業者が債務不履行に対する責任を負う形態が増えています。そのため、未回収リスクを回避し安全に売掛債権を現金化できます。

貸し倒れによる支払いリスクを抑えたいときは、ファクタリングがおすすめです。

契約締結や管理の手間

電子記録債権は、利用申込みから取引金融機関との契約、口座支払いまでの各種取引をオンライン上で完結できます。電子記録債権の一部を分割して譲渡するなど柔軟な取引が可能なほか、電子データとして記録するため取引内容の管理も容易です。

一方ファクタリングは、すべての手続きをオンライン上で処理できるサービスも増えていますが、対面での審査や契約、書類提出が必須の場合も少なくありません。契約する取引先の数が多いと、契約内容を記録・管理するのに手間を要します。また、審査のために複数の書類を用意する必要があり、売掛金回収時の分割での支払いにも対応していません。

電子記録債権とファクタリングの共通点

電子記録債権とファクタリングは共通点が多いため、混乱を招きやすいでしょう。

代表的な共通点として、「売掛債権を譲渡し、早期に資金化できること」と「システム上で売掛債権の譲渡を処理できること(ファクタリングは一部サービスのみ)」が挙げられます。どちらも売掛債権の譲渡を簡潔に行えるのが特徴です。

電子記録債権とファクタリングはどちらが最適か

電子記録債権やファクタリングは、どのような企業に向いているのでしょうか。

電子記録債権:会計処理の変更に対応できる企業

電子記録債権の会計処理は、手形債権に準じて行う必要があります。例えば、指名債権と区別して記載する取引に関しては、電子記録債務や電子記録債権などの勘定科目を使用して会計処理を行います。導入後は会計が煩雑化し、慣れるまである程度の時間がかかるでしょう。そのため、会計処理の変更に対して柔軟に対応できる企業に適しています。

ただし、会計ソフトを導入すればスムーズに対応可能です。会計処理に強い企業なら、電子記録債権を導入するメリットは大きいといえます。導入当初はベテラン社員でも些細なミスが起こりやすいので、長期的な視野をもって業務に臨みましょう。

ファクタリング:審査通過率を重視する企業

ファクタリングは、取引先(売掛先)の信用度が基準になるため、経営状態が悪く負債を抱えている企業でも、審査に通る可能性は高いでしょう。特に3社間ファクタリング(利用企業・取引先・ファクタリング会社の3社で契約する形態)であれば、ファクタリング事業者が取引先から直接売掛金を回収するため、利用企業の信用度は問題にならないからです。

比較的簡単に資金調達したい企業には、ファクタリングがおすすめです。