売掛金の残高を確認する方法と合わない場合の原因を解説

2026年10月18日

売掛金の残高は、企業の資金繰りや経営状況を把握するうえで重要な項目です。商品やサービスを提供したものの、まだ取引先から代金を受け取っていない場合、その金額は売掛金として管理します。

しかし、請求書を発行した後に入金があったにもかかわらず消込処理をしていなかったり、返品や値引きが発生したりすると、帳簿上の売掛金残高と実際に回収すべき金額が合わなくなることがあります。

特に取引件数が多い企業では、売掛金の残高を定期的に確認し、取引先ごとに正しく管理することが大切です。

本記事では、売掛金残高の確認方法、帳簿と実際の残高が合わない原因、確認するときのポイント、決算前に行いたいチェックについて詳しく解説します。

売掛金の残高とは

売掛金の残高とは、商品やサービスを提供した後、まだ取引先から回収していない代金の金額です。

たとえば、100万円の商品を掛け取引で販売した場合、販売時点では100万円の売掛金が発生します。

その後、取引先から60万円が入金された場合、残りの40万円が売掛金残高となります。

基本的には、次のように考えることができます。

売掛金残高=発生した売掛金-回収した金額

ただし、返品や値引き、貸倒れなどが発生すると、単純な計算だけでは残高が一致しない場合があります。

売掛金の残高を確認する方法

売掛金の残高を確認する場合は、会計帳簿だけでなく、請求書や入金記録などを照合することが重要です。

まず、会計ソフトなどから売掛金の残高を確認します。

その後、取引先ごとに請求した金額と実際の入金額を確認し、未回収となっている金額を把握します。

たとえば、A社に対して100万円を請求し、80万円しか入金されていなければ、原則として20万円が未回収となります。

ただし、20万円が未入金なのではなく、振込手数料が差し引かれているケースなどもあるため、入金額だけを見て判断しないことが大切です。

売掛金残高を確認するときの基本的な流れ

売掛金残高を確認するときは、取引先ごとに発生額と回収額を整理すると分かりやすくなります。

請求金額を確認する

まず、取引先へ発行した請求書を確認します。

請求書に記載されている請求金額と、会計帳簿に計上されている売掛金の金額が一致しているか確認します。

複数の請求書を発行している場合は、請求書ごとに確認することが重要です。

入金額を確認する

次に、銀行口座などの入金履歴を確認します。

請求金額と同じ金額が入金されていれば、売掛金の消込を行います。

一部入金の場合は、未回収分を売掛金残高として残します。

消込処理を確認する

入金済みなのに売掛金残高として残っている場合、消込処理が行われていない可能性があります。

消込とは、入金された金額を対応する売掛金と結び付け、回収済みとして処理することです。

取引件数が多い企業では消込漏れが発生しやすいため、定期的な確認が必要です。

売掛金残高が合わない主な原因

帳簿上の売掛金残高と、実際に回収すべき金額が一致しない場合には、いくつかの原因が考えられます。

入金消込を忘れている

最も基本的な原因の一つが、入金後の消込漏れです。

すでに取引先から入金されているにもかかわらず、会計帳簿上では売掛金が残っている状態です。

銀行口座の入金履歴と売掛金元帳を照合すると、発見できることがあります。

振込手数料が差し引かれている

取引先からの入金額が請求金額より少ない場合、振込手数料が差し引かれている可能性があります。

たとえば、10万円を請求したにもかかわらず、入金額が9万9,500円だった場合、500円の振込手数料が差し引かれているケースがあります。

この場合、会社間の取り決めなどを確認したうえで、適切な会計処理を行う必要があります。

売上の計上時期が違っている

売上をいつ計上したのかによって、売掛金残高が変わることがあります。

請求書を発行したタイミングだけで売掛金を計上するとは限らないため、売上の計上基準と実際の取引内容を確認する必要があります。

返品や値引きが発生している

売上計上後に商品の返品や値引きが発生すると、当初計上した売掛金の金額と実際に回収する金額が変わります。

この処理が正しく反映されていないと、売掛金残高が合わなくなる原因になります。

二重計上している

同じ取引を誤って2回計上している場合も、売掛金残高が実際より多くなります。

特に手入力で会計処理をしている場合は、請求書と会計データを照合して確認することが重要です。

売掛金の残高確認には売掛金元帳を活用する

売掛金を管理するときは、売掛金元帳を活用すると取引先ごとの残高を確認しやすくなります。

売掛金元帳には、売掛金が発生した日付や金額、入金額、残高などを記録します。

たとえば、次のような形で管理できます。

・4月1日 売上100万円 残高100万円

・4月30日 入金60万円 残高40万円

・5月31日 入金40万円 残高0円

このように記録しておけば、どの取引について未回収の売掛金が残っているのかを把握しやすくなります。

取引先ごとに売掛金残高を確認する

売掛金の残高確認では、会社全体の合計額だけを見るのではなく、取引先ごとに確認することが重要です。

たとえば、売掛金の総額が1,000万円だったとしても、その内訳が分からなければ、どの取引先からいくら回収できていないのか判断できません。

取引先ごとに残高を確認すれば、支払期日を過ぎている売掛金や、長期間回収できていない債権も発見しやすくなります。

売掛金の残高と入金予定を確認する

売掛金残高を確認するときは、単に「いくら残っているか」だけでなく、「いつ入金される予定なのか」も確認しましょう。

売掛金が1,000万円あったとしても、翌月に入金される1,000万円と、支払期日を半年以上過ぎている1,000万円では、資金繰り上の意味が大きく異なります。

そのため、売掛金を管理するときは、取引先、請求金額、入金予定日、実際の入金日、未回収額などを把握しておくことが重要です。

長期間回収できていない売掛金に注意

売掛金残高を確認していると、支払期日を過ぎても入金されていない売掛金が見つかることがあります。

こうした売掛金を放置すると、資金繰りに影響するだけでなく、最終的に回収が困難になる可能性があります。

支払期日を過ぎた場合には、まず請求書の内容や入金状況を確認し、取引先へ連絡するなどの対応を検討します。

長期間回収できない場合には、貸倒れの可能性についても検討する必要があります。

売掛金残高は決算前にも確認する

決算前には、売掛金残高を正確に確認しておくことが重要です。

決算日時点で残っている売掛金について、実際に回収可能な債権なのかを確認します。

特に、長期間入金されていない売掛金や、取引先の経営状況に問題がある場合には注意が必要です。

また、売上の計上漏れや二重計上、消込漏れなどがないかについても確認します。

決算書に記載される売掛金残高は企業の財務状況にも関係するため、正確な管理が求められます。

売掛金残高とファクタリングの関係

売掛金残高は、ファクタリングを利用するときにも重要になります。

ファクタリングでは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社へ譲渡して資金化します。

そのため、どのような売掛債権をいくら保有しているのかを正確に把握しておく必要があります。

たとえば、帳簿上は500万円の売掛金があるものの、そのうち200万円がすでに入金されているのに消込されていなければ、実際の未回収額は300万円です。

このような状態でファクタリングを検討すると、債権の状況を正確に説明できない可能性があります。

ファクタリングを利用する予定がある場合には、売掛金元帳や請求書、入金履歴などを整理しておくとよいでしょう。

売掛金残高を正確に管理するポイント

売掛金残高を正確に管理するには、請求と入金を別々に管理するのではなく、取引先ごとに一連の流れを確認できるようにすることが重要です。

請求書を発行したら売掛金として計上し、入金されたら速やかに消込を行います。

さらに、毎月の締め処理などで銀行口座の入金履歴と売掛金元帳を照合すると、処理漏れを発見しやすくなります。

会計ソフトを利用している場合は、取引先別の残高管理機能などを活用するのも有効です。

売掛金残高を確認すると資金繰りを把握しやすくなる

売掛金残高を正確に把握することは、資金繰りの管理にもつながります。

売掛金が増えている場合、売上が伸びている一方で、現金として回収できていない金額も増えている可能性があります。

売上が増加しているからといって、必ずしも手元資金が増えているとは限りません。

そのため、売掛金残高と入金予定を定期的に確認し、今後の支払いに必要な資金が確保できるかを確認することが重要です。

まとめ

売掛金の残高とは、商品やサービスを提供したものの、まだ取引先から回収していない代金の金額です。

残高を確認するときは、会計帳簿だけでなく、請求書や銀行口座の入金履歴、売掛金元帳などを照合することが重要です。

売掛金残高が合わない場合には、入金消込の漏れ、振込手数料の差し引き、返品や値引き、売上の計上時期の違い、二重計上など、さまざまな原因が考えられます。

また、売掛金は企業の資金繰りにも大きく関係するため、残高だけでなく入金予定日や支払期日を確認することも大切です。

特に長期間回収できていない売掛金がある場合は、放置せず、取引先への確認や回収可能性の検討を行う必要があります。

売掛金を適切に管理することで、未回収債権を早期に発見できるだけでなく、資金不足の予測やファクタリングなどの資金調達を検討する際にも役立ちます。