ノンバンクとサラ金の違いを徹底解説|ノンバンクのメリットデメリットも併せて解説
2024年10月21日
お金が足りない、と思ったら誰しもが利用するのがキャッシングやカードローンです。
このキャッシングやカードローンの取り扱い業者に種類があるのをご存知ですか?
大きく分けると銀行とノンバンク系の2種類に分かれます。
「 お金を借りることができればどちらでも一緒でしょ? 」と思ったら大間違い。
両者には大きな差がありますので、特徴を理解した上で比較し、自分にとって使いやすい方を選ぶようにしましょう。
ノンバンクとは?
ノンバンクは、正式には「預金等を受け入れないで与信業務を営む企業」のことを総称しています。ちょっと難しい言葉でわかりにくいかもしれませんね。簡単に言えば「銀行のように預金を集めずに融資をする会社」ということになるでしょう。
語源としては英語の「Non-Bank」つまり「銀行ではない」ということになります。
ノンバンクは銀行のように預金を集めません。そのため銀行などから融資用のお金を借り入れてさまざまな貸付事業を行っているのです。
※投資家などから出資してもらう場合もあります。
一般的な、なじみの深いノンバンクは以下の3つでしょう。
・個人を中心に小口融資(カードローン)を行う「消費者金融」
・商品代金の分割払いを主に行う「信販会社」
・クレジットカードの発行をおこなう「クレジットカード会社」
※このほかにも住宅ローンやビジネスローンに特化したノンバンクなども存在します。
ちなみにこれらの業種はきっちりと分かれているわけではありません。
信販会社がクレジットカードを発行する場合もありますし、クレジットカード会社がキャッシングを取り扱う場合もあるのです。
また消費者金融も自社カードローンだけでなく、銀行カードローンの保証業務を担当することが多くなっています。
ノンバンクは法律上、超低金利の「預金」を集めることができません。そのため銀行などから、融資する分のお金を調達してきます。
そのためノンバンクがお金を貸すときには、銀行などに払う利息を金利に上乗せする必要があるのです。
銀行は超低金利で集めたお金をそのまま貸すことができるので、通常はノンバンクよりも低金利で融資ができます。
このような理由からノンバンクの金利は基本的に銀行よりも高金利な傾向にあるのです。
ただしノンバンクは金利が高いだけではありません。金利が高いだけならお客はみんな銀行へ行ってしまいますよね。
じつはノンバンクは銀行よりは、審査の間口が広がっているのがポイントです。
そのためノンバンクは銀行を利用できない方の受け皿の役割を担っている面もあります。
ノンバンクと金融庁
金融庁は銀行やノンバンクを含めた金融業者全般を監督する役割を担っています。そのためノンバンクは金融庁の方針に従わないと営業できません。
常時ノンバンクの業務はチェック対象となっており、悪質な業者には行政処分を下すことがあります。
処分の種類には「業務改善命令」「業務停止命令」「登録取消」の3種類があり、悪質性が高い業者は事実上の退場宣告を受けることになるのです。
かつてノンバンクは高金利の貸付や強引な取り立て行為などで厳しく目を付けられていました。特に消費者金融業者は2万社あったのが2千社以下と9割以上が廃業するというほどの厳しさだったのです。
そこに目を付けた銀行がカードローン市場になだれ込み、市場のかなりの部分を奪っていきました。
近年では銀行の貸しすぎの方が問題視されるほどになっています。現在、銀行カードローンの点検を金融庁が本格化しているところです。
金融庁の方針次第では銀行に流れすぎたカードローン市場が消費者金融に戻ってくる可能性もあるかもしれません。
銀行のキャッシング、カードローンの特徴
銀行とノンバンクの比較をする前に、それぞれの特徴を簡単に説明します。
まずは銀行が取り扱うキャッシング・カードローンからです。
その名の通り、銀行が取り扱っている金融商品です。
キャッシング、カードローンと両者とも呼び名は違いますが内容は変わりがありません。
銀行のキャッシング、カードローンの一番の特徴は以下の通りです。
総量規制の対象外
「総量規制」という単語は耳慣れないと思いますので簡単に説明します。
これは、ノンバンクと呼ばれる消費者金融や信販会社を対象に制定された「貸金業法」と呼ばれる法律による規制で、貸し出す際に色々な制限をつけています。
その中の一つが年収の3分の1以上貸し出してはいけない、という決まりです。
具体的に言うと年収300万円の人の場合は、すべてのノンバンクからの借入限度額の合計が100万円までとなります。
この規制は、銀行のキャッシングやカードローンは対象外となっているのです。
専業主婦でも借りることができる場合がある
無収入の専業主婦は、なかなかお金を借りることができない、という固定観念があるかと思います。しかし、銀行のカードローンやキャッシングのなかでは、配偶者に安定した収入があれば限度額内で借入することができる商品もあります。
金利が低めに設定されている
銀行のキャッシングやカードローンは審査が厳しい分、金利が低くなっています。
貸し出しする人を限定している分貸し倒れのリスクが少ないので、低い金利でも採算がとれるのです。
ノンバンクと銀行法との関連
先述したように、ノンバンクには「貸金業法」という法律が適用されます。対して、銀行などには下記法律が適用されます。
・銀行・・・「銀行法」
・信用金庫・・・「信用金庫法」
・信用組合・・・「中小企業等協同組合法」と「協同組合による金融事業に関する法律」
つまり、利用者の立場から見ても取り扱いが異なる部分があります。
特に、ノンバンク系の商品を利用する際に重要なポイントになるのが、「総量規制」です。
総量規制とは、2010年の貸金業法改正の際に設けられた制度のことで、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、新規借入ができなくなります。
そうすることで、1980年代に急増したような多重債務者の発生を防止する役割を担っているのです。
総量規制は、複数の貸金業者による債権に対しても適用されます。
つまり、「複数の貸金業者からの債権に対する合計額が年収の3分の1以内」という扱いになります。
1社からの借入金額が年収の3分の1以内なのではありません。
そもそも貸金業法ではなく銀行法の対象になる「銀行カードローン」の業者と、貸金業法の対象である「SMBCモビット」等の業者を利用するケースでは、借入に対する取り扱いが大きく異なることになります。
これらのポイントはノンバンクを利用する上で非常に重要なポイントですので、必ず把握しておくようにしましょう。
ノンバンクが関わる法律
ノンバンクが取り扱うキャッシング・カードローンには、貸金業者を対象とする「貸金業法」という法律が適用されます。
先述したように、ノンバンクは「小口融資を行っている銀行以外の業者」と分類することができますが、一部のリース専門業者も貸金業者に該当するため、その範囲は広くなっています。
ノンバンクの代表例としては、消費者金融や信販会社などが挙げられます。これらの業者から融資を受ける場合は貸金業法が適用されることになります。
つまり、銀行や信用金庫などから融資を受けるケースとは扱いが少し異なります。
ノンバンクと銀行、信用金庫等の関係性については、次章で詳しく触れていきます。
ノンバンクのキャッシング、カードローンの特徴
そもそも、ノンバンクとは何か?というと「個人に小口の融資を行っている銀行以外の金融機関」です。具体的には消費者金融や信販会社です。
ノンバンクのキャッシング・カードローンの特徴は以下の通りです。
融資実行までの所要時間が短い
ノンバンクのキャッシングやカードローンは、どの業者もスピーディーに初回融資を行います。
業者によっては最短30分で融資を受けることができます。
今日中にまとまったお金が必要、という急いでいる人にとっては役に立つサービスです。
総量規制対象のため年収の3分の1までしか借りられない
年収300万円の場合、すべてのノンバンクから合計で100万円までしか借りることができません。
借入方法や返済方法が多彩で、使い勝手がよい
振り込みによる融資だけではなく、提携コンビニATMやネットキャッシングを使ったキャッシングにも対応しています。
返済も、ネットバンキングや提携コンビニATM、口座引き落としなど多くの種類が用意されていますので、時間や場所を気にすることなく返済することができます。
銀行と比較すると、自由度が高く、審査や融資のスピードが早いことがノンバンクの特徴といえそうです。
ノンバンクのクレジットカード
ノンバンクには、クレジットカード会社である信販系の会社も含まれます。
クレジットカードはキャッシング・カードローンとは異なり、基本的に借入として利用するサービスではありません。
しかしながら、クレジットカードの「キャッシング」という機能を利用することで、資金を借入することも可能なのです。
ただし注意点として、クレジットカードのキャッシング機能は、キャッシング・カードローン等と比較すると限度額が小さめです。
したがって、ご自身の希望借入金額が大きければ、キャッシング機能で対応できない可能性があります。
目安として、
・30万円超の借入希望金額をお考えの方はキャッシング・カードローン
・30万円以内の少額融資を希望する方はクレジットカードのキャッシング機能
というように選択するのも良いでしょう
商品の特性を把握しつつ、ご自身の希望を満たせるサービスを選択するようにしてください。
ノンバンクの住宅ローン
ノンバンクでも住宅ローンの取り扱いがあることをご存知でしょうか。世間では、ノンバンク=サラ金というイメージを持たれがちです。
そのため、カードローン以外の業務が思い浮かばないかたも多いようです。
基本的にノンバンクの住宅ローンは、審査基準が銀行よりも低くなっています。
銀行の住宅ローン審査に通らない方でも、ノンバンクであれば審査に通る可能性はあります。
ただしノンバンクの住宅ローンは、銀行住宅ローンよりも2.0%~3.0%ほど高金利となっています。
そのためノンバンクの住宅ローンは、長期間&高額の借入には向いていません。
不動産投資に利用できるノンバンク
不労所得が得られるということで、不動産投資の人気は昔から高いです。
なかでも、アパートやマンション投資は不動産投資の主流です。資金調達には、アパートローンなどを用いることが多くなっています。
アパートローンなどは銀行の専売特許のように感じる方も多いかもしれません。しかし、ノンバンクの中には不動産投資への融資に力を入れているところもあるのです。
銀行の融資の場合、収益計画など審査基準に満たないと問答無用で審査落ちとなってしまうケースも多いようです。
その点ノンバンクでは、銀行では否決となるような案件でも、良い点を拾い上げて審査を通してもらえる可能性があるのです。
ノンバンクの不動産担保ローン
不動産担保ローンは、自宅の土地建物などの不動産を担保にすることによって、比較的大きな金額の融資を受けられる商品です。
銀行でも普通に取り扱われていますが、ノンバンクでも不動産担保融資に力を入れている会社は多くなっています。
使い道も自由度が高く、個人向けでは教育資金やリフォーム資金をはじめ納税資金などまで対応しています。事業者向けでも開業資金、運転資金や消費税納税資金などに対応可能です。
またノンバンクの不動産担保ローンのもう一つ大きな特徴は、銀行よりも比較的柔軟に審査が行われるところでしょう。銀行の不動産担保ローンの審査に落ちた方でも、ノンバンクでは審査に通るということは十分あり得るのです。ただし審査の通りやすさの反面、金利は高めに設定されています。
そのほかノンバンクの不動産担保ローンは銀行よりも審査スピードが早いことも特徴です。
銀行の不動産担保ローンは、担保調査などに時間がかかる場合が多くなっています。どうしてもスピードを重視したい方は、ノンバンクの不動産担保ローンを検討してみる価値は十分にありそうです。
ノンバンクの業界動向
実のところノンバンク業界の景気は、今まさに真冬の真っただ中という状況です。
ノンバンクはかつてドル箱だったキャッシングを中心に高金利貸し付けで多額の利益を得ていました。
しかし多額の高金利貸し付けによる多重債務者の大量発生が社会問題となってしまったのです。
そのため法律で厳しく貸付金利が制限され、強引な取り立て行為も禁じられることになりました。
また総量規制により、年収の3分の1を超える貸し付けもできなくなったのです。
これにより今では比較的安心してノンバンクを利用できるようになっています。しかしノンバンク側としては貸付金利が大幅にダウンし、さらに総量規制で貸せる金額も少なくなってしまいました。
そのためノンバンク業界の収益性は大幅に悪化。さらに総量規制に縛られない銀行カードローンに顧客を奪われてしまったのです。
特に消費者金融と呼ばれるキャッシング部門への影響は大きなものでした。消費者金融では「過払い金請求訴訟」も追い打ちをかけ、廃業に追い込まれる業者が続出したのです。
大手消費者金融であっても「アイフル」を除いては単独では生き残れていません。アコムやプロミスなどの大手消費者金融は銀行グループに飲み込まれてしまったのです。
消費者金融のみならず、クレジット業界や信販業界も荒波にさらされています。
このとおりノンバンク業界は苦境にありますが、手をこまねいているばかりではありません。
たとえばノンバンク業界全体でシステムの共有化やキャッシュレス決済などの対応に力を注いでいます。またリボルビング払いを推進して、収益確保を目指すノンバンクも多くなっているのです。
また近年ではノンバンク業界は東南アジアを中心とした海外に活路を求めようとしています。
新興諸国と呼ばれる東南アジアの国々ではノンバンク業界はまだまだ成長が期待できるでしょう。国内市場よりも有望ということで、競って海外進出を図っているのが現状です。
海外のノンバンク
国内のノンバンク市場は十分に成熟している状態です。一方で、海外では現在でもノンバンクが伸び盛りの国々があります。
なかでも現在、特に有望な市場なのがASEAN(アセアン)と呼ばれる「東南アジア諸国連合」に属する国々です。
ASEAN諸国の経済成長は、日本の高度経済成長を連想させるもので、資金需要が高まっています。
日本のノンバンクもこれらの国々への進出を急いでおり、日本で培った融資ノウハウの強みを生かしながら徐々に貸付の業務を拡大しているところです。
そのような中でも特に金融に力を入れているのがマレーシアです。マレーシアは政府主導でイスラム金融の中心的地位の獲得を目指しています。
ノンバンクの伸びも目覚ましいものがありますが、銀行並みのリスク管理など厳しい規制も行っています。
日本市場から飛び出した日本のノンバンクがどこまで業容を拡大できるのか、注目されるところですね。
ノンバンクの審査は甘い?
ノンバンクでのローン審査は銀行よりも甘い、というイメージがあるかもしれません。実際、その考えは間違いとは言えません。理由を簡単に解説していきましょう。
銀行は「預金」と「融資」の「金利差」で稼いでいます。そのため預金金利が低ければ融資金利も低く抑えることができるのです。このところずっと預金はゼロ金利時代ですから、融資金利もかなり低くなっています。
これに対してノンバンク業者は銀行のように安い金利でお金を集めることができません。そのため融資金利はどうしても銀行よりも高くなってしまうのです。
銀行から借りる方が金利は低いため、優良顧客は当然ながら銀行で借入しようとします。そのためノンバンクは、銀行融資を断られた顧客を拾い上げていくしかありません。
結果的にノンバンクの審査は(銀行と比べると)甘いということになるのです。
ただし審査が「甘い」といっても「銀行と比べれば」ということです。ノンバンクといえども返済能力はきちんと審査します。誰でも借りられるということでは決してありません。
ノンバンクの融資を利用するメリット
銀行に比べて金利の高いノンバンク融資を利用するメリットはあるのでしょうか。結論としては「ケースによっては大いに利用価値あり」ということになります。
金利ではノンバンクには勝ち目がありませんが、審査基準や審査スピードでは銀行よりもはるかに利用しやすいメリットがあるのです。
個人がノンバンク(消費者金融)融資(キャッシング)を利用するメリット
・審査が早いため、突然の出費でも対応可能
・銀行よりは審査に通りやすいため、お金がどうしても必要な場合に頼りやすい
・家族にバレないようにするなどに気を使っている会社が多い
法人(会社)・個人事業主がノンバンク融資を利用するメリット
・査が早いため、売掛金回収遅れなどによる突然の資金ショートに柔軟に対応できる
・銀行で融資を断られた場合でも、審査に通る可能性がある
・ネット完結で借入できるなど、忙しい経営者には使い勝手が良い
短期借入なら高金利もさほど問題にならない。ノンバンクは基本的に短期返済が吉。
ノンバンクで借りる際のデメリット
対して、ノンバンクの融資を利用するデメリットは下記のとおりです。
ノンバンクの利用を検討中の方は、これらのデメリットもしっかりと把握しておきましょう。
個人がノンバンク融資を利用するデメリット
・金利の設定が高めなので、利息負担が大きくなる
・借入の際の利便性が良いため、借入が癖になりやすい
・利息がかさみやすいことから、返済期間が長期化しやすい
法人がノンバンク融資を利用するデメリット
・借入可能額が小さめなので、資金の活用用途が狭い
・利息負担が大きいため、長期的な資金計画には不向き
・返済可能期間が短め
まとめ
銀行とノンバンクのキャッシング・カードローンの違いについてお分かりいただけたでしょうか?
それぞれメリット、デメリットを自分でしっかりと比較をし、利用するようにしましょう。
金利面やスピード、使い勝手の良さを総合的に判断するとよいでしょう。