ファクタリングのスキームとは?仕組みについて詳しく解説

2024年11月7日

この記事では、ファクタリングの仕組みや手続きの流れ、契約方法や種類によって異なるスキームについても詳しく解説します。

ファクタリングの利用を検討しているもののスキームが分からずに、行動できないと悩む方もいるでしょう。

また、ファクタリングと他の資金調達方法との違いも解説していくので参考にしてください。

1.ファクタリングのスキームとは

スキームとは、英語のscheme(計画、仕組み)が語源で「物事の大筋」を表す場合に使用される言葉です。

ビジネスシーンでは「販売スキーム」や「事業スキーム」など、目標達成のための具体的な仕組みや方法を検討する際に用いられています。

ファクタリングにおけるスキームとは、ファクタリングの仕組みや概要を指します。

1-1.ファクタリングは資金調達の一種

ファクタリングは事業者を対象にした資金調達方法です。

売掛金をファクタリング会社に売却し、代価として手数料を差し引いて残った金額を受け取ります。

金融庁は、ファクタリングを「事業者が支払期日より前に売掛債権を買い取り、一定の手数料を差し引いて資金化(現金化)するサービスであり、法的には債権譲渡契約である」と定義しています。

融資とは異なり債権(売掛金)を譲渡する資金調達方法のため、負債を増やすことなく最短即日で資金調達が可能です。

1-1-1.2種類のスキームの異なるファクタリング

ファクタリングは、目的の違いによって2種類に分けることができ、スキームも大きく異なります。

ひとつは、売掛金をファクタリング会社に譲渡する(ファクタリング会社が買い取る)ことで資金化(現金化)する「買取型ファクタリング」です。

資金調達を目的として利用され、買取ファクタリングや注文書ファクタリング、介護報酬・診療報酬ファクタリングなどの種類があります。

もうひとつは、売掛金が未回収となった場合に備えた「保証型ファクタリング」という保険のようなサービスです。

保証型ファクタリングの主な種類は、保証ファクタリングと国際ファクタリングで、売掛金の未回収リスクの軽減や新たな取引先の信用度を測りたい場合にも用いられるサービスです。

1-1-2.法的根拠・解釈

ファクタリングの法的根拠は民法466条、467条、555条で確認できます。

民法466条は債権の譲渡性に関する条項で、債権は財産として認められており、第三者に譲渡できます。

467条は指名債権の譲渡の対抗要件に関する条項です。

譲渡人が通知し、債務者から承諾を得られれば第三者への対抗要件が満たせると定められています。

民法555条は売買に関する条項で、契約を締結し、買い手が代金を支払うことで売買契約の成立が認められています。

以上の法的根拠から、売掛金の売買(売掛債権の譲渡)は法的に認められており、違法性はありません。

債権の譲渡による資金調達は経済産業省も推進しており、ファクタリングは違法性のあるやばいサービスではなく、安心して利用できるサービスといえます。

1-2.売掛金を資金化するファクタリングのスキーム

売掛金を資金化(現金化)することで資金調達をする買取型ファクタリングは、3者間ファクタリングと2者間ファクタリングの2種類の契約方法があり、スキームが異なります。

3者間ファクタリングとは利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者で契約する方法で、3者間ファクタリングのスキームは次のとおりです。

1売掛金が発生する
2ファクタリング会社へ申し込む・審査を受ける
3売掛先から債権譲渡の承諾を得る
4ファクタリング会社と契約・売掛金を売却する
5資金化(現金化)した金額がファクタリング会社から入金される
6売掛先からファクタリング会社へ売掛金が送金される

一方の2者間ファクタリングは利用者とファクタリング会社の2者で契約する方法で、2者間ファクタリングのスキームは次のとおりです。

1売掛金が発生する
2ファクタリング会社へ申し込む・審査を受ける
3ファクタリング会社と契約・売掛金を売却する
4資金化した金額がファクタリング会社から入金される
5売掛金を回収したらファクタリング会社へ送金する
6 3者間と2者間のスキームは共通する点が多いものの、大きく異なる点は売掛先からの承諾の有無です。

3者間は売掛先から承諾を得る必要がありますが、2者間ではファクタリング会社と利用者の2者のみで契約するため、売掛先の承諾を得る必要がありません。

そのため、よりスピーディーな資金調達が可能です。

しかし手数料が3者間ファクタリングに比べ高くなる傾向があるため、手数料を抑えて利用したい場合は3者間ファクタリングがおすすめです。

それぞれのスキームを理解し、自社に合った契約方法を選ぶようにしましょう。

1-3.売掛金を保証するファクタリングのスキーム

保証ファクタリングのスキームは次のとおりです。

1売掛金が発生する
2ファクタリング会社へ申し込む・審査を受ける
3ファクタリング会社が売掛先の信用調査を行う
4ファクタリング会社と契約を締結する
5ファクタリング会社に保証料を支払う
6売掛金が支払われなかった場合、ファクタリング会社が売掛金の保証金を利用者へ支払う
7ファクタリング会社が売掛先から売掛金を回収する
売掛金が回収できた場合は保証金は支払われないので、注意が必要です。

2.ファクタリングの手続きの流れ・必要書類とは

一般的なファクタリングの手続きの流れは次のとおりです。

1ファクタリング会社に申し込む
2必要書類を提出する
3審査を受ける
4契約を締結する
5売却した売掛金の代金が入金される
6売掛金の支払期日に、売掛先がファクタリング会社へ売掛金を送金する、または利用者が売掛先から回収した売掛金をファクタリング会社に送金する

ファクタリングを利用する際は、提出書類に不備がないように準備しておきましょう。

必要書類はファクタリング会社によって異なりますが、一般的に提出が求められる主な書類は次のとおりです。

● 商業登記簿謄本
● 印鑑証明書
● 預金通帳のコピー
● 決算書
● 契約書・発注書
● 本人確認書類

3.ファクタリングを利用するメリットを解説

ファクタリングは負債を増やさずに資金繰りを改善することができ、利用の履歴が信用情報に記録されないため、将来的に融資を受ける予定があっても安心して資金調達を行えます。

さらにファクタリングは償還請求権のない契約になるため、保証型ファクタリングだけでなく、買取型ファクタリングで資金調達をした場合も売掛金の未回収リスクの軽減に効果的です。

申し込みから入金までにかかる時間は最短で数時間というファクタリング会社もあるため、急な支払いが必要になったときでもスピーディーな資金調達が可能です。

またファクタリング会社によって独自の審査基準を設定しており、銀行の融資と比べても審査基準が比較的柔軟で売掛先の支払い能力等が重視されるため、赤字の方や創業間もない方も利用しやすい資金調達方法です。

4.ファクタリングにおけるデメリットとは

ファクタリングを利用するとさまざまなメリットが得られるものの、デメリットも存在します。

例えば、銀行融資といった他の資金調達方法と比べた場合、手数料が高めに設定されているため、受け取る金額が少なくなり、無計画に利用を繰り返すとかえって資金繰りが悪化する可能性があります。

また、ファクタリングは売掛金を資金化(現金化)する方法であることから、売掛金の満額以上の資金調達ができません。

売掛金以上の資金が必要な場合は複数の売掛金を資金化するか、他の資金調達方法を検討する必要があります。

ファクタリング会社によっては契約時に債権譲渡登記の手続きが必要になる場合もあり、手間と費用がかかります。

3者間ファクタリングを利用する際は売掛先の承諾を得てからでなければファクタリングを利用できないため、契約を交わす際は注意が必要です。

2者間ファクタリングを利用する場合、売掛金を回収したらファクタリング会社へ支払う必要があり、一括払いが原則です。

分割払いに対応していないため、ファクタリングの利用後も十分な資金を確保しておきましょう。

5.他の資金調達の方法とファクタリングとの違い

ファクタリングと他の資金調達方法ではどのような違いがあるのか、詳しく解説します。

5-1.資金調達の方法1:銀行融資

銀行融資は、銀行から資金を借り入れて資金調達する方法です。

ファクタリング会社に支払う手数料よりも、銀行に支払う金利の方が安い傾向があります。

差し引かれる金額を安く抑えたい場合は銀行融資がおすすめです。

ただし、ファクタリングよりも審査基準が厳しく、審査に時間がかかります。

また、ファクタリングと異なり、銀行融資は与信取引に該当するため帳簿上では負債が発生します。

5-2.資金調達の方法2:手形割引

手形割引は、約束手形(受取手形)を資金化(現金化)する資金調達方法です。

手形割引は償還請求権が発生しますが、ファクタリングでは償還請求権がない契約となります。

償還請求権がある場合、約束手形が決済されなかった際に、利用者が約束手形の決済を行い銀行や割引業者に支払うことになるため、注意が必要です。

5-3.資金調達の方法3:ABL

ABLは売掛債権担保融資のことで、売掛債権を担保にする代わりに融資を受ける資金調達方法です。

ファクタリングと同様に売掛債権(売掛金)を活用する資金調達方法ですが、融資なので貸金業法が適用され、貸金業登録をしていない業者がサービスを提供すると違法となります。

悪徳業者が利用者にファクタリングを装ってABLの契約を結ぼうとするケースも少なくありません。

悪徳業者に騙されないためにそれぞれのスキームの違いを理解し、契約書の内容が利用したいサービスの契約内容になっているかを確認してから契約を結ぶようにしましょう。

6.まとめ

ファクタリングのスキームとは、ファクタリングの仕組みや概要のことを指します。

ファクタリングには種類や契約方法が複数あり、それぞれスキームが異なるため、自社の状況に合ったサービスや契約方式を検討しましょう。

またファクタリングは融資とは異なる資金調達方法で、経済産業省も推奨している合法なサービスです。

しかし、中には悪徳業者も存在しますので、利用の際は複数社見積りを取り、比較検討することが重要です。