ファクタリングとリースの違いを比較して仕組みや使い分けを解説
2026年8月21日
ファクタリングとリースは、どちらも企業の資金繰りや設備投資に関係する金融サービスですが、仕組みや目的は大きく異なります。
ファクタリングは、企業が保有している売掛金などの売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、支払期日前に資金化する方法です。一方、リースは、企業が必要とする設備や機械、車両などをリース会社から一定期間借りて使用する仕組みです。
「資金調達ならファクタリング、設備導入ならリース」と考えると分かりやすいものの、実際には契約形態や会計処理、費用、審査の考え方などにも違いがあります。
この記事では、ファクタリングとリースの違い、それぞれのメリットや注意点、どのような企業に向いているのかを詳しく解説します。
ファクタリングとリースの違い
ファクタリングとリースの最も大きな違いは、取引の対象と目的です。
ファクタリングは「売掛債権」を対象とした取引です。商品やサービスを提供した後、取引先からまだ回収していない売掛金をファクタリング会社へ譲渡し、早期に現金化します。
一方、リースは「設備や機械などの物」を対象とした契約です。企業が設備を購入する代わりに、リース会社が設備を取得し、企業がリース料を支払いながら使用します。
つまり、ファクタリングは保有している売掛債権を活用して資金化する方法であり、リースは必要な設備を購入せずに利用する方法という違いがあります。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金の支払期日前に資金化するサービスです。
たとえば、取引先に100万円の商品を販売し、代金の入金が2か月後だったとします。
通常であれば2か月待って100万円を回収しますが、ファクタリングを利用すると、その売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、手数料を差し引いた金額を早期に受け取れる場合があります。
そのため、売上は発生しているものの入金まで時間がかかる企業の資金繰り改善に活用できます。
リースとは
リースとは、企業が必要とする設備や機械などをリース会社から一定期間借りて使用する仕組みです。
たとえば、事業用の車両、複合機、パソコン、工作機械などを導入する場合、企業が購入代金を一括で支払うのではなく、リース契約を締結して毎月一定額のリース料を支払う方法があります。
設備を購入する場合には多額の初期費用が必要になることがありますが、リースを利用することで初期の資金負担を抑えながら設備を導入できる場合があります。
ファクタリングとリースの仕組みの違い
ファクタリングとリースは、資金繰りに関係するという点では共通していますが、資金の流れが異なります。
ファクタリングでは、企業がすでに保有している売掛債権をファクタリング会社へ譲渡します。
一方、リースでは、リース会社が設備を取得し、その設備を企業が使用します。
ファクタリングは「将来入金される売掛金を早期に現金化する」という考え方で、リースは「設備を購入せずに利用する」という考え方です。
ファクタリングとリースの主な違いを比較
両者の違いを整理すると、次のようになります。
・ファクタリングの対象 売掛債権
・リースの対象 設備や機械など
・ファクタリングの主な目的 売掛金の早期資金化
・リースの主な目的 設備や機械の導入
・ファクタリングの支払い 売掛債権の譲渡時に手数料が発生する
・リースの支払い 契約期間中にリース料を支払う
・ファクタリングの利用条件 原則として売掛債権が必要
・リースの利用条件 リース対象となる設備などが必要
ファクタリングは資金調達に利用できる
ファクタリングは、売掛金を早期に現金化することで、企業の資金繰りを改善する方法として利用できます。
たとえば、売上は順調に伸びているものの、取引先からの入金が翌月末や翌々月末になっている企業では、売上の増加に伴って売掛金も増加します。
その結果、仕入代金や人件費などの支払いが入金より先に発生し、一時的に資金が不足することがあります。
ファクタリングを利用すれば、売掛金を早期に資金化し、こうした入金と支払いのタイミングのずれを補える可能性があります。
リースは設備投資に向いている
リースは、設備投資に必要な初期費用を抑えたい場合に検討される方法です。
たとえば、事業拡大のために高額な機械を導入する場合、購入するにはまとまった資金が必要になります。
リースであれば、契約内容に応じて毎月一定額のリース料を支払いながら設備を利用できます。
そのため、設備導入時の資金負担を抑え、資金を運転資金などに残しておきたい企業にとって選択肢となります。
ファクタリングのメリット
ファクタリングには、売掛金を早期に資金化できるという大きな特徴があります。
売掛金を早期に現金化できる
売掛金の支払期日まで待たずに資金化できるため、急な支払いなどに対応しやすくなります。
借入とは異なる資金調達方法
一般的な買取型ファクタリングは、融資とは異なり売掛債権の譲渡によって資金化する仕組みです。
そのため、銀行融資とは異なる資金調達方法として検討できます。
ただし、契約内容によっては実質的に貸付けと同様の機能を持つものもあるため、ファクタリングという名称だけで判断しないことが重要です。
売掛金を活用できる
ファクタリングでは、企業がすでに保有している売掛債権を資金化します。
そのため、売掛金が多い企業ほど、資金繰り対策として活用できる可能性があります。
ファクタリングの注意点
ファクタリングを利用すると、売掛金の額面金額をそのまま受け取れるわけではありません。
ファクタリング会社へ支払う手数料が発生するため、最終的に受け取れる金額は売掛金の額面より少なくなります。
また、売掛先の信用力や売掛債権の内容によっては、希望する条件で利用できない可能性もあります。
継続的にファクタリングを利用する場合には、手数料による利益への影響も確認することが重要です。
リースのメリット
リースにも、設備投資を行う企業にとってさまざまなメリットがあります。
設備購入時の初期負担を抑えられる
高額な設備を購入する場合、多額の資金が必要になります。
リースを利用すれば、契約内容に応じて毎月リース料を支払う形にできるため、初期費用を抑えられる場合があります。
設備を計画的に利用できる
毎月のリース料が決まっている契約であれば、設備にかかる費用を一定期間に分散できます。
そのため、設備導入に必要な資金を計画的に管理しやすくなります。
設備の購入資金を別の用途に使える
設備を一括購入する必要がなくなれば、手元に残した資金を運転資金などに充てられる可能性があります。
ただし、リースには契約期間や中途解約などの条件があるため、契約内容を十分に確認する必要があります。
リースの注意点
リースは設備を購入する場合とは異なり、契約期間や利用条件が設定されます。
契約期間中に不要になった場合でも、自由に解約できない契約があるため注意が必要です。
また、長期間利用する場合には、購入した場合とリースした場合の総支払額を比較することも重要です。
リース料だけを見るのではなく、契約期間、保守費用、税金、残価設定などを含めて総合的に判断しましょう。
ファクタリングとリースは併用できるのか
ファクタリングとリースは目的が異なるため、企業が両方を利用することも考えられます。
たとえば、事業拡大のために新しい設備をリースで導入しながら、売掛金についてはファクタリングで早期に資金化するという方法です。
この場合、リースによって設備投資の初期負担を抑え、ファクタリングによって運転資金を確保するという使い分けができます。
ただし、どちらも手数料やリース料などの支払いが発生するため、複数のサービスを同時に利用する場合は、将来のキャッシュフローを確認しておくことが重要です。
ファクタリングとリースのどちらを利用すべきか
どちらを利用すべきかは、資金が必要になった理由によって判断すると分かりやすくなります。
売掛金の入金を早めて運転資金を確保したいのであれば、ファクタリングが候補になります。
一方、新しい機械や車両、IT機器などを導入したいものの、購入時の負担を抑えたいのであれば、リースが候補になります。
つまり、資金繰りを改善したいのか、設備を導入したいのかによって適した方法が変わります。
ファクタリングとリースを選ぶときのポイント
ファクタリングとリースを比較するときは、単純に「どちらが安いか」だけで判断しないことが大切です。
ファクタリングなら売掛金を資金化した後に手元に残る金額、リースなら契約期間中の総支払額を確認します。
さらに、資金を利用する期間や今後のキャッシュフローも考慮する必要があります。
短期的な資金不足を補うためにファクタリングを利用するのか、長期間使用する設備のためにリースを利用するのかによっても、適した選択肢は変わります。
まとめ
ファクタリングとリースは、どちらも企業の資金繰りに関係するサービスですが、仕組みと目的は大きく異なります。
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権を譲渡して、支払期日前に資金化する方法です。売掛金の入金を早めたい場合や、運転資金を確保したい場合に活用できます。
一方、リースは機械や車両、OA機器などの設備をリース会社から借りて使用する仕組みです。設備を購入するための初期負担を抑えながら、必要な設備を導入したい場合に適しています。
ファクタリングは「売掛金の資金化」、リースは「設備の利用」と考えると、それぞれの違いを理解しやすくなります。
また、目的が異なるため、ファクタリングとリースを併用することも可能です。ただし、それぞれに手数料やリース料などのコストが発生するため、利用前に総額を確認し、将来の資金繰りに無理がないか検討することが重要です。
