M&Aとは?簡単にわかる意味や種類とメリット・デメリットを初心者向けに解説
2026年10月30日
「M&Aとは何なのか簡単に知りたい」「M&Aという言葉は聞いたことがあるけれど、具体的に何をするのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
M&Aは、企業の成長戦略や事業承継などで活用される重要な手法の一つです。大企業だけが行うものと思われがちですが、近年では中小企業でもM&Aを活用するケースが増えています。
M&Aと聞くと、企業を丸ごと買収するイメージを持つかもしれません。しかし、実際には会社そのものを譲渡する方法だけでなく、特定の事業だけを譲渡したり、株式を取得して経営権を取得したりする方法など、さまざまな形があります。
また、M&Aは「買う側」だけにメリットがあるわけではありません。売る側にとっても、後継者問題の解決や事業の存続、創業者利益の確保などにつながる可能性があります。
この記事では、M&Aとは何かをできるだけ簡単に理解できるように、基本的な意味や仕組み、代表的な種類、M&Aを行う目的、メリット・デメリット、具体的な流れまで詳しく解説します。
M&Aについて初めて調べる方や、将来的にM&Aを検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
M&Aとは簡単にいうと何なのか
M&Aとは、簡単にいうと「企業や事業を買ったり売ったりして、経営権や事業を引き継ぐ取引」のことです。
M&Aは「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語では「合併と買収」という意味になります。
ただし、一般的にM&Aという場合は、企業同士の合併や買収だけでなく、株式譲渡や事業譲渡など、企業や事業の経営権を移転するさまざまな取引を含めて使われることがあります。
例えば、A社がB社の株式を取得してB社を子会社にする場合、これもM&Aの一つです。
また、A社がB社の特定の事業だけを買い取る場合もM&Aに該当します。
つまり、M&Aとは「企業や事業の一部または全部を別の会社へ引き継ぐための取引」と考えると、簡単に理解できます。
M&Aは何のために行うのか
M&Aを行う目的は、企業によって異なります。
買い手側では、新規事業への参入や事業規模の拡大、人材や技術、顧客基盤の獲得などを目的としてM&Aを行うことがあります。
一方、売り手側では、後継者不足の解決や事業の存続、経営者の引退などを目的としてM&Aを利用するケースがあります。
特に中小企業では、経営者の高齢化や後継者不足が課題となっている企業もあります。
親族や従業員の中に後継者がいない場合でも、M&Aによって第三者へ会社や事業を引き継ぐことで、事業を存続できる可能性があります。
そのため、M&Aは単なる企業買収ではなく、企業の成長や事業承継を実現するための手段としても活用されています。
M&Aの代表的な種類
M&Aにはさまざまな手法があります。
初心者がM&Aを理解するためには、まず代表的な「株式譲渡」と「事業譲渡」、「合併」の違いを理解しておくとよいでしょう。
株式譲渡
株式譲渡とは、売り手企業の株主が保有している株式を買い手企業などへ譲渡する方法です。
株式を取得することで、買い手側が会社の経営権を取得します。
例えば、B社の株式をA社が100%取得すれば、A社はB社を完全子会社にできます。
株式譲渡では会社そのものが存続するため、事業や従業員、契約関係などを引き継ぎやすい点が特徴です。
中小企業のM&Aでも利用されることが多い代表的な手法です。
事業譲渡
事業譲渡とは、会社そのものではなく、会社が行っている事業の全部または一部を譲渡する方法です。
例えば、A社が複数の事業を行っている場合、そのうちの一つだけをB社へ売却することができます。
売り手側にとっては、不要になった事業を手放し、主力事業へ経営資源を集中できる可能性があります。
買い手側にとっても、会社そのものを買収するのではなく、必要な事業だけを取得できる点がメリットです。
一方で、契約や資産などを個別に引き継ぐ必要があるため、株式譲渡よりも手続きが複雑になる場合があります。
合併
合併とは、複数の会社を一つの会社に統合するM&A手法です。
合併には、吸収合併と新設合併があります。
吸収合併では、一方の会社が存続会社となり、もう一方の会社が消滅して存続会社に吸収されます。
新設合併では、複数の会社が一度消滅し、新たに設立した会社へ権利義務などを承継します。
合併は企業を一体化させる方法であるため、組織や事業を大きく再編したい場合などに利用されます。
M&Aと買収は同じ意味なのか
M&Aと買収は、完全に同じ意味ではありません。
買収は、ある企業が別の企業や事業を取得することを指します。
一方、M&Aは「Mergers and Acquisitions」の略で、合併や買収などを含むより広い概念です。
そのため、買収はM&Aの一部と考えると簡単に理解できます。
例えば、株式を取得して企業を子会社化する株式譲渡は買収に該当します。
一方、企業同士を一つに統合する合併もM&Aに含まれます。
M&Aと事業承継の関係
M&Aは、事業承継の方法としても利用されています。
事業承継とは、会社の経営や事業を後継者へ引き継ぐことです。
以前は、親族や社内の役員などへ会社を引き継ぐケースが一般的でした。
しかし、後継者不足などを背景として、第三者へ会社を譲渡するM&Aが注目されています。
例えば、創業者が引退を考えているものの、子どもが会社を継ぐ予定がなく、社内にも後継者候補がいないケースがあります。
このような場合、M&Aによって他社へ会社を譲渡することで、従業員や顧客、取引先などを含めて事業を存続できる可能性があります。
M&Aを行う買い手側のメリット
M&Aには、買い手企業にとってさまざまなメリットがあります。
事業規模を拡大できる
M&Aによって他社の事業を取得すれば、自社で一から事業を立ち上げるよりも短期間で事業規模を拡大できる可能性があります。
例えば、自社が全国展開を目指している場合、すでに地域の顧客基盤を持っている企業を買収することで、新規出店よりも効率的に事業を拡大できるケースがあります。
新規事業へ参入できる
M&Aは、新しい業界や市場へ参入する方法としても利用できます。
自社にはない技術やノウハウを持っている企業を買収することで、新規事業を立ち上げるために必要な時間やコストを抑えられる可能性があります。
人材やノウハウを獲得できる
M&Aでは、企業が保有する人材や技術、ノウハウ、顧客基盤などを取得できる場合があります。
特に専門的な知識や技術を持つ人材を確保することは、自社だけで採用活動を行うよりも難しい場合があります。
M&Aによって既存の人材や組織を引き継ぐことで、事業に必要な経営資源を確保できる可能性があります。
シナジー効果を期待できる
M&Aによって複数の企業や事業を組み合わせることで、単独では得られなかった効果が生まれることがあります。
これをシナジー効果といいます。
例えば、自社の販売網と買収先企業の商品を組み合わせることで、新たな顧客へ商品を提供できる可能性があります。
M&Aを行う売り手側のメリット
M&Aは、会社を売却する側にもメリットがあります。
後継者問題を解決できる
M&Aを利用することで、後継者がいない企業でも第三者へ会社や事業を引き継げる可能性があります。
後継者不足によって廃業を検討している場合でも、M&Aによって事業を存続できる可能性があります。
事業を継続できる可能性がある
会社を廃業すると、これまで築いてきた顧客や従業員、取引先との関係などを失うことになります。
M&Aによって第三者へ事業を引き継げれば、従業員の雇用や取引先との関係を維持しながら事業を継続できる可能性があります。
創業者利益を得られる可能性がある
株式を売却するM&Aでは、株主である経営者が株式の売却代金を受け取れる場合があります。
長年経営してきた会社を第三者へ譲渡することで、経営者がこれまで築いてきた企業価値を金銭化できる可能性があります。
ただし、実際の売却価格は企業価値やM&Aの条件などによって決まるため、必ず希望する金額で売却できるわけではありません。
M&Aを行うデメリット
M&Aにはメリットだけでなく、注意すべきデメリットもあります。
買収後に想定した効果が得られない場合がある
M&Aを行えば必ず売上や利益が増えるとは限りません。
買収前に期待していたシナジー効果が十分に発揮されなかったり、経営統合に時間がかかったりする可能性があります。
そのため、M&Aを行う前に、買収後の事業計画を十分に検討することが重要です。
企業文化の違いが問題になることがある
M&Aでは、異なる企業文化を持つ組織が一緒になることになります。
経営方針や働き方、評価制度などが大きく異なる場合、従業員の間に不満が生まれる可能性があります。
M&Aを成功させるためには、契約を成立させるだけでなく、買収後の統合作業も慎重に進める必要があります。
簿外債務などのリスクがある
企業を買収する場合、財務諸表だけでは把握しにくいリスクが存在する可能性があります。
例えば、将来的に発生する可能性のある債務や訴訟などが隠れているケースも考えられます。
そのため、M&Aを行う前にはデューデリジェンスを実施し、買収対象企業の財務、法務、税務などを調査することが重要です。
M&Aの簡単な流れ
M&Aは、一般的にいくつかの段階を経て進められます。
M&Aの目的を決める
まず、なぜM&Aを行うのかを明確にします。
買い手企業であれば、新規事業への参入や事業拡大、人材獲得などが目的になるでしょう。
売り手企業であれば、事業承継や経営者の引退、事業の選択と集中などが考えられます。
目的を明確にすることで、M&Aの相手企業を探す際の条件も整理しやすくなります。
相手企業を探す
M&Aの目的が決まったら、条件に合う企業や事業を探します。
M&A仲介会社やFAなどの専門家に相談して相手企業を探す方法もあります。
また、M&Aのマッチングサービスなどを利用して候補企業を探すこともできます。
秘密保持契約を締結する
M&Aの交渉では、企業の売上や顧客情報、財務情報など、重要な情報を共有することになります。
そのため、詳細な情報を開示する前に秘密保持契約を締結するのが一般的です。
企業価値を調査する
M&Aでは、対象企業の価値を評価します。
企業価値を評価する方法にはさまざまなものがあり、純資産や将来の収益力などを考慮して価格を検討します。
デューデリジェンスを実施する
買収候補企業について、財務、法務、税務、人事などの調査を行います。
デューデリジェンスによって、買収後に問題となる可能性がある事項を事前に把握します。
条件交渉と契約を行う
M&Aの条件について双方で交渉し、合意できれば最終契約を締結します。
株式譲渡であれば株式譲渡契約、事業譲渡であれば事業譲渡契約など、M&Aの手法に応じた契約を締結します。
クロージングを行う
契約で定めた条件が整ったら、株式や事業の引き渡しと代金の支払いなどを行います。
これによって、M&Aの取引が実行されます。
買収後の統合を進める
M&Aが成立した後は、買収した企業や事業を自社の経営体制へ統合していきます。
この統合作業はPMIと呼ばれ、M&Aの成功を左右する重要なプロセスです。
M&Aにかかる費用
M&Aでは、買収価格以外にもさまざまな費用が発生する可能性があります。
M&A仲介会社やFAなどへ依頼する場合は、相談料や着手金、中間報酬、成功報酬などが発生することがあります。
また、弁護士や公認会計士、税理士などの専門家へ依頼する場合には、それぞれ専門家報酬が必要になることがあります。
さらに、デューデリジェンスにも費用がかかります。
そのため、M&Aを検討する際には、買収価格だけでなく、M&Aを成立させるまでに必要な総額を確認することが重要です。
M&Aを成功させるためのポイント
M&Aを成功させるためには、単に企業を買収することだけを目的にしないことが重要です。
M&Aの目的を明確にする
「なぜM&Aをするのか」を明確にしましょう。
新規事業への参入が目的なのか、既存事業の拡大が目的なのか、人材や技術の獲得が目的なのかによって、探すべき相手企業が変わります。
目的が曖昧なままM&Aを進めると、買収後に期待していた効果が得られない可能性があります。
買収後の計画を立てる
M&Aは契約を締結したら終わりではありません。
買収後にどのように事業を運営するのか、組織をどのように統合するのか、どのようにシナジーを生み出すのかを事前に検討しておきましょう。
専門家へ相談する
M&Aには会社法、税務、会計、財務などの専門知識が必要になります。
初めてM&Aを行う企業の場合、自社だけで進めるのは難しいケースもあります。
必要に応じてM&A仲介会社、FA、弁護士、公認会計士、税理士などへ相談することで、リスクを抑えながらM&Aを進めやすくなります。
M&Aを簡単に理解するために知っておきたい用語
M&Aについて調べていると、さまざまな専門用語が出てきます。
買い手企業
M&Aによって企業や事業を取得する側の企業です。
売り手企業
M&Aによって自社の株式や事業などを譲渡する側の企業です。
デューデリジェンス
M&Aの対象企業について、財務や法務、税務などを調査することです。
PMI
M&A成立後に、買収した企業と自社の組織や業務、制度などを統合していくプロセスです。
シナジー
複数の企業や事業を組み合わせることで、単独では得られなかった相乗効果が生まれることです。
クロージング
M&A契約に基づいて株式や事業を引き渡し、買収代金を支払うなど、M&Aを実際に完了させる手続きです。
M&Aに関するよくある質問
M&Aとは簡単にいうと何ですか
M&Aとは、簡単にいうと企業や事業を買ったり売ったりして、経営権や事業を別の企業へ引き継ぐ取引のことです。
代表的な方法には株式譲渡、事業譲渡、合併などがあります。
M&Aは大企業だけが行うものですか
M&Aは大企業だけでなく、中小企業でも行われています。
特に事業承継を目的としたM&Aでは、後継者不足に悩む中小企業が第三者へ会社や事業を譲渡するケースがあります。
M&Aにはどのくらいの期間がかかりますか
M&Aにかかる期間は案件によって大きく異なります。
相手企業の選定、交渉、デューデリジェンス、契約などに時間が必要になるため、短期間で完了する案件もあれば、長期間にわたって交渉する案件もあります。
M&Aをすると従業員はどうなりますか
M&Aの手法や契約内容によって異なります。
株式譲渡では会社そのものが存続するため、従業員との雇用関係が基本的に維持されるケースがあります。
一方、事業譲渡では従業員の雇用契約を個別に引き継ぐ必要がある場合があります。
そのため、M&Aを検討する際には従業員の処遇についても慎重に確認することが重要です。
M&Aにはどのようなリスクがありますか
M&Aでは、買収後に想定外の債務や法務上の問題が発覚したり、企業文化の違いから統合がうまく進まなかったりするリスクがあります。
こうしたリスクを抑えるためには、M&A前のデューデリジェンスや、M&A後のPMIを適切に実施することが重要です。
まとめ
M&Aとは簡単にいうと、企業や事業を買ったり売ったりして、経営権や事業を別の企業へ引き継ぐ取引のことです。
M&Aは「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語では「合併と買収」を意味します。
代表的なM&Aの方法としては、株式譲渡、事業譲渡、合併などがあります。
買い手企業にとっては、事業規模の拡大や新規事業への参入、人材・技術・顧客基盤の獲得などが期待できます。
一方、売り手企業にとっては、後継者不足の解決や事業の存続、創業者利益の確保などにつながる可能性があります。
特に後継者が見つからず廃業を検討している企業にとって、M&Aは第三者へ事業を引き継ぐための重要な選択肢となります。
ただし、M&Aは企業を買収すれば必ず成功するわけではありません。買収価格が適切なのか、買収対象企業にどのようなリスクがあるのか、買収後にどのようなシナジーを生み出せるのかなどを慎重に検討する必要があります。
また、M&Aではデューデリジェンスや契約手続き、資金調達、M&A成立後のPMIなど、専門的な知識が必要になる場面も多くあります。
「M&Aとは簡単に知りたい」という方は、まずM&Aが企業や事業を引き継ぐための取引であることを理解し、そのうえで株式譲渡や事業譲渡などの具体的な手法を把握するとよいでしょう。
M&Aを実際に検討する場合には、自社だけで判断せず、必要に応じてM&Aの専門家や士業などへ相談しながら、自社に適した方法や資金計画を検討することが大切です。
