アセットファイナンスとは?中小企業・個人事業主のための賢い資金調達術を徹底解説!
2025年8月7日
アセットファイナンスとは?
アセットファイナンスとは、自社が保有する資産、もしくは導入する予定の資産を担保にしたり、資金調達のベースにしたりする方法です。「アセット(asset)」とは資産を意味し、「ファイナンス(finance)」は資金調達を意味します。
つまり、「モノを元手にお金を調達する方法」です。ここでいう資産には、以下のようなものが含まれます。
・車両(営業車、トラックなど)
・機械設備(製造機器、美容機器など)
・オフィス機器(複合機、パソコン、什器など)
・店舗内装・厨房設備
・不動産(土地・建物) ※一部アセットファイナンスの枠外になる場合あり
これらの「資産」に着目して資金を調達するというのがアセットファイナンスの特徴です。
アセットファイナンスの代表的な手法
アセットファイナンスにはいくつかの種類があります。以下はその代表例です。
リース(ファイナンスリース・オペレーティングリース)
リースとは、必要な機器や設備をリース会社から借りる仕組みです。ファイナンスリースは長期で契約されることが多く、実質的には「分割払いに近い性質」を持ちます。一方、オペレーティングリースは短期利用向きで、途中解約も比較的柔軟です。
企業は初期費用を抑えて設備を導入でき、固定資産として計上する必要もなく、コストの平準化が可能です。
割賦販売(分割払い)
リースと似ていますが、こちらは分割払いで機器を購入する契約です。所有権は最終的に購入者に移ります。リースでは資産がリース会社のものですが、割賦は購入者の資産になります。
月々の支払いが固定されており、資産の導入計画が立てやすいのが特徴です。
セール&リースバック
この手法は、既に保有している資産をリース会社に売却し、再びリースとして使用するという方法です。たとえば、自社で保有していたトラックを売却し、その後も業務で継続して使用できます。
資産を手放すことで資金を得ながら、業務の継続性も確保できます。急な資金調達が必要なときに重宝されます。
アセットファイナンスのメリット
アセットファイナンスには、他の資金調達手段にはない多くのメリットがあります。以下に主な利点を紹介します。
初期費用を抑えて設備導入が可能
リースや割賦契約を利用すれば、高額な設備でも初期費用を抑えて導入できます。特に創業時や資金繰りに余裕がないタイミングでも、必要な設備を揃えられるため、事業機会を逃さずに済みます。
キャッシュフローの安定化
月々の支払いが固定されているため、資金繰りの計画が立てやすくなります。リースの場合、支払額が経費計上されるため、損益のバランスも管理しやすくなります。
所有せずに利用できる
リースでは設備の所有権がリース会社にあるため、資産の管理や固定資産税、減価償却などの負担が軽減されます。必要なときに必要な期間だけ使えるため、フットワークの軽い事業運営が可能です。
信用力に不安があっても活用可能
銀行融資などと違い、設備自体が担保のような役割を果たすため、自己資金や信用情報に不安がある事業者でも利用できる可能性があります。
アセットファイナンスのデメリット
便利なアセットファイナンスですが、当然ながらデメリットも存在します。利用前には以下の点に注意する必要があります。
総支払額が高くなることがある
リースや割賦は分割払いであるため、トータルの支払金額が一括購入よりも高くなることが多いです。特にリースはリース料に金利や手数料が含まれており、長期契約の場合は割高になります。
中途解約が難しいケースがある
ファイナンスリースなどは原則として中途解約ができません。万が一業績が悪化しても、契約期間中は支払い義務が続きます。
所有権が自分にない(リースの場合)
設備の所有権が自社にないため、改造や転用などに制限がかかる場合があります。また、解約後は設備を返却しなければならないため、資産としての自由度が下がります。
アセットファイナンスの活用事例
さまざまな業種でアセットファイナンスは活用されています。以下に代表的な利用例を紹介します。
・飲食店が厨房設備をリースで導入し、開業コストを抑える
・美容サロンが高額な美容機器を割賦契約で購入
・建設会社が重機をセール&リースバックで売却して資金を確保
・IT企業がオフィス機器をリース契約し、減価償却の手間を省く
・物流業者がトラックを分割払いで導入し、営業拡大に対応
デットファイナンスとの違い
アセットファイナンスは、デットファイナンス(借入型資金調達)とは似ているようで異なる側面を持ちます。
デットファイナンスは銀行や金融機関から直接お金を借りる方法ですが、アセットファイナンスはモノ(資産)を介して資金調達する手法です。そのため、資産の存在が前提となります。
また、デットファイナンスは「返済義務」が明確であり、借金としてバランスシートに負債が計上されますが、アセットファイナンスは内容によってはオフバランス化(資産や負債として計上しない)できることもあります。
アセットファイナンスを導入する際の注意点
・導入前に以下の点を必ず確認しておきましょう。
・契約期間や支払総額の確認
・所有権が誰にあるか(リースか割賦か)
・契約解除条件や中途解約のペナルティ
・メンテナンスや修理対応の範囲
・税務・会計上の処理方法の確認(顧問税理士に相談を)
まとめ:アセットファイナンスは賢い資金活用術
アセットファイナンスは、「今ある資産」または「これから導入する設備」を有効活用して資金を調達する手法であり、特に中小企業や個人事業主にとっては心強い味方です。
初期費用を抑えつつ必要な設備を導入できること、キャッシュフローの安定につながること、そして所有に縛られない柔軟性の高さは大きな魅力です。
ただし、総支払額や契約条件についての十分な理解が不可欠です。事業計画や資金繰りと照らし合わせて、最適な方法を選択することが成功の鍵となります。
「借りる」だけでなく、「持っている資産を活かす」という視点で、資金調達の幅を広げてみてはいかがでしょうか。