クレジットカードの現金化は違法? 問題点を解説!

2023年12月21日

「クレジットカード現金化」や、「クレジットカードのキャッシング枠の現金化」などという商法があります。クレジットカードには、現金を借りることができる「キャッシング枠」と、買い物に利用できる「ショッピング枠」がありますが、このショッピング枠を利用して商品購入をさせ、その商品を買い取るという名目で、利用者に現金を渡すというサービスです。
本稿では、このようなサービスの違法性や問題点について解説しています。

現金化業者の違法性とは?

2011年8月、クレジットカード現金化業者がはじめて逮捕されました。

警視庁は、現金化業者を「事実上の金融業者である」として、貸金業法及び出資法違反で摘発しました。これは、ショッピング枠をキャッシング目的のために利用させるという商法は、ショッピングを装ったお金の貸し付けであるということで、現金化業者を金融業者であると認定したものです。金融業者であれば、貸金業法にもとづいて登録をしなければいけませんが、現金化業者は貸金業の許可を受けていませんので、貸金業法に違反しているということになります。
また、貸金であるとして金利を計算すると、出資法の上限金利を大幅に超過しているため、出資法にも違反しているということになります。

現金化業者は、ホームページ上で、「公安委員会の許可を受けている」などの文言を使用し、合法的なサービスであるとのイメージをアピールしていますが、行員委員会は、「古物商の許可」を与えているだけで、「中古品の売買を行う」ことを許可しているだけです。決して、クレジットカードのショッピング枠を現金化する商法の許可をしているのではありません。

新聞報道によりますと、2012年以降も、多数の現金化業者が摘発されています。警察庁の資料によりますと、「2012年4月までに、5人を出資法違反(超高金利・脱法行為)及び貸金業法違反(無登録営業)で検挙した」ということです。

現金化を利用する側の違法性とは?

上記のように、クレジットカード現金化は違法行為となり、業者が逮捕されています。では、利用する側は問題ないのでしょうか。

この点については、実際に利用者が逮捕されたという例は聞いたことがありません。では現金化業者を利用することは法律上問題がないのかというと、全くそんなことはありません。様々な点で、問題があります。

自己破産手続き上の免責不許可事由になる

破産法には、「免責不許可事由」というものが定められています。たとえば、ギャンブルや浪費を原因として借金をしたようなケースでは、原則として免責が認められません。

そして、クレジットカード現金化を利用したということも、免責不許可事由に該当します(破産法252条1項2号)

免責不許可事由があっても、必ず免責不許可の決定がされるというわけではありません。しかし、免責不許可事由があると、裁判所から、債権者に対して配当(お金を配ること)を指示されることがあります。また、破産管財人が選任されるケースもあります。破産管財人が選任される場合は、最低でも20万の予納金を追加で裁判所に納める必要があり、破産手続も長期間に渡ることになります。

横領・詐欺行為となる

まず、クレジットカードで購入した商品は、代金が完済されるまでクレジット会社に所有権があり、これを転売することは、「横領罪」に該当する可能性があります。

また、現金化のためにクレジットカードで商品を購入する行為は、クレジットカード会社からお金を詐取する行為として、「詐欺罪」に該当する可能性があります。

現金化業者を利用することは、犯罪にもあたる違法な行為となります。

カード利用規約違反となる

通常、カード会社のクレジットカード利用規約には、換金目的でショッピング枠の利用を、利用停止または会員資格の停止事由とする規定があります。

本来、クレジットカードのショッピング枠は商品代金の支払いをするためのものですから、換金を目的として利用するのは、契約違反となる行為だからです。

まとめ

本稿では、クレジットカードの現金化について具体的な違法性を挙げて解説しました。
クレジットカードの現金化については、業者及び利用者双方に違法性があることがわかりました。

資金が必要になったとき、SNSなどでクレジットカードの現金化について情報が出てくることがあります。
まずはその違法性を理解して、このような方法に手を出さないようにしましょう。