注文書ファクタリングとは?請求書ファクタリングとの違いも解説します!

2023年10月19日

一口にファクタリングと言っても種類が多く、注文書ファクタリングがどのようなサービスなのかイマイチわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

注文書ファクタリングとは、取引先から仕事を受注した段階で利用できるファクタリングのことです。

今回の記事では、注文書ファクタリングと請求書ファクタリングの違いやメリット・デメリット、注文書ファクタリングの買い取りに対応しているおすすめの業者について解説していきます。

自社に適したサービスを選択することで、資金繰りの問題を解決しやすくなるでしょう。

注文書ファクタリングを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

はじめに注文書ファクタリングとは?

注文書ファクタリングとは、注文書を債権として売却をし、資金化できるサービスです。

売掛債権が発生していれば業者へ売却ができるため、受注時点で資金調達を行い、企業の運転資金にあてることができます。

まず、一般的な企業間の取引では次のような流れで書類が発行されます。

1.見積書:商品やサービスの提供について、事前に「これくらいの価格になる」といった金額を提示するもの
2.注文書:商品やサービスを注文する側(売掛先)が発行する「この条件で注文する」といった内容が記載されたもの
3.納品書:商品の提供が終わった際に「たしかにこの内容で納品した」といった確認のために発行するもの
4.受領書:商品やサービスを注文した側(売掛先)が「たしかにこの内容で商品を受け取った」といった確認のために返送するもの
5.請求書:商品やサービスの料金を請求するもの

注文書ファクタリングは、売掛先が注文書を発行した段階で債権譲渡を行えるため、本来の入金期日より最大180日早く資金を受け取れます。

一般的なファクタリングは、商品やサービスを納品した後に業者へ依頼する順序になっており、おおむね30〜60日までしか早められません。

30〜60日早めただけでは運転資金が確保できない企業は、注文書ファクタリングを選ぶと資金ショートの対策になります。

では次に、注文書ファクタリングと請求書ファクタリングの違いについて解説していきます。

請求書ファクタリングとの違い

注文書ファクタリングと請求書ファクタリングには、主に以下のような違いがあります。

注文書ファクタリング
買取対象:注文書・発注書
資金調達のタイミング:仕事の受注時点
支払いサイト:最大で6ヶ月程度
手数料:請求書ファクタリングより高い
取引先への通知:通知されない

請求書ファクタリング
買取対象:請求書
資金調達のタイミング:商品・サービスの納品完了後
支払いサイト:最大で1~2ヶ月日程度
手数料:1~20%程度
取引先への通知: 2社間:通知されない
 3社間:通知される

先述したとおり、大きな違いの1つは資金調達のタイミングです。

請求書ファクタリングは、商品やサービスを提供が完了してなければ売却できないのに対し、注文書ファクタリングは受注時点で手続きを始められます。

受注〜納品までのサイクルが長い業種にとって、この支払日の短縮は事業の存続に大きな影響を与えると言えるでしょう。

また、手数料にも違いがあり、注文書ファクタリングは請求書ファクタリングよりも手数料は高く設定されています。

注文書ファクタリングのメリット

通常のファクタリングと注文書ファクタリングの違いについては、上記で解説しました。

ここでは、注文書ファクタリングのメリットを見ていきましょう。

取引先から注文を受けた時点で現金化できる

注文書ファクタリングの最大のメリットは、現金化までのスピードが格段に早い点でしょう。

注文書は、仕事の依頼を受けた時点で発行ができます。

依頼を受けた時点で現金化できれば、事前に材料費・人件費の負担がかからないため、仕事を受注する企業にとっては資金繰りを円滑に回しやすくなります。

受注から入金までのサイクルを短縮できる

注文書ファクタリングは、最大で6ヶ月早く現金化できます。

資金繰り悪化を起こす前に対策がとれるので、資金ショートを防ぎやすくなるでしょう。

仕事に必要な資金を前もって用意できる

企業間では、掛取引が日常的に行われています。

掛取引はこれまでも解説してきたように、先に商品やサービスを提供して、お代をあとで頂くという一連の取引の流れを指します。

基本的には仕事を受注する側が、人や資材にかかるお金を前もって準備して負担をしなければなりません。

注文書ファクタリングでは、事前にキャッシュを調達できるため、大口の案件も手元の資金を気にせずに受注ができます。

事業拡大をしたい個人事業主・中小企業にとっては、積極的に活用したいサービスでしょう。

取引先が倒産してもファクタリング会社負担になる

ファクタリング会社は貸金業者ではないため、債権請求権の設定はないのが一般的です。

債権請求権とは、売掛先が倒産した際に、ファクタリング利用者に返金を求められる制度です。

融資では、売掛先が倒産した際の責任は利用者にあり、そもそも未回収とならないために、保証人・不動産担保が契約時に求められるケースがあります。

ファクタリングは、債権請求権なし(ノンリコース契約)が主流となっており、売掛先の倒産による自社の損害はありません。

取引先に知られずに利用可能

注文書ファクタリングは、基本的に2社間ファクタリングでの契約形態となります。

つまり、取引先に知らせる必要がないため、資金繰り悪化を察知されて今後の付き合いに悪影響がでる、といった懸念点がありません。

また、ファクタリング契約に売掛先を挟まないことによって、申し込みから入金までの手続きを最短で行えるのもメリットでしょう。

注文書ファクタリングのデメリット

ここでは、注文書ファクタリングのデメリットについて見ていきましょう。

通常のファクタリングよりも手数料が高い

注文書ファクタリングは、通常のファクタリングより手数料が高めに設定されています。

理由として、ファクタリング会社にとっての未回収リスクへの懸念が、手数料に関係していると考えられます。

注文書ファクタリングは、売り上げが完全に確定されていない売掛債権を、最大で6ヶ月ほど早く振り込むことになるため、業者にとって回収不能となるリスクが高いのです。

通常のファクタリングより、手数料が高い点は留意しましょう。

3社間ファクタリングはほぼできない

注文書ファクタリングは、2社間ファクタリングしかありません(2023年2月時点)

そのため通常のファクタリングのように、3社間ファクタリングで手数料を抑える、といった選択肢をとれないのがデメリットとして挙げられます。

請求書買取よりも審査が厳しい

注文書ファクタリングは未回収リスクが高く、通常のファクタリングよりも審査が厳しい点もデメリットの1つです。

審査で見られる点としては、通常のファクタリングと同様に、売掛先の信用力・売掛先との取引期間・売却希望金額、あたりが重点的に見られていると考えられます。

ただ、審査通過のハードルは通常のファクタリングより高くなっているため、審査落ちをする可能性はあります。

取扱のある会社が少ない

注文書ファクタリングとは、将来発生する予定の債権(将来債権)を現金化するサービスです。

売掛債権とは、大きく分けて取引の段階に応じて、以下のように姿を変えていきます。

1.将来債権:商品やサービスの提供を完了しておらず、請求書の発行もしていない債権
2.想定債権:商品やサービスの提供を完了したが、請求書を発行していない債権
3.確定債権:商品やサービスの提供を完了し、請求書の発行もしている債権
一般的にファクタリング契約と呼ばれるものは、「確定債権」を買取対象としています。

将来債権に関しては、従来は譲渡可能であるという明確な規定がなかったのですが、2020年の改正民法で明文化されたことにより、将来債権を取り扱うファクタリング会社が登場しました。

上記に挙げた3つの債権の中で、最も未回収リスクが高いのは将来債権・リスクが低いのは確定債権です。

まだ新しい債権譲渡の形であることと、ファクタリング会社の未回収リスクの高さが、現状、取扱いできる会社が少ない背景として挙げられるでしょう。

ファクタリングを使い分けるポイント

上記では、注文書ファクタリングの特徴やおすすめ業者についてご紹介しました。

次に、注文書ファクタリング・請求書ファクタリングを使いわけるポイントについて解説していきます。

通常のファクタリング(請求書買取)を使うべき場面

以下のような状況の方は、請求書ファクタリングの売却をするのがおすすめです。

・手数料をあまり払いたくない
・確実に審査通過して現金化したい
・事業拡大に向けて手元にキャッシュを残しておきたい

請求書ファクタリングで、本来の売掛金の入金日より調達を早められる日数は、30〜60日です。

この期間で資金繰りを解決できるのであれば、通常のファクタリングを選びましょう。

理由として、注文書ファクタリングは審査通過への難易度が通常のファクタリングより高く、手数料も高めに設定されているからです。

調達できる期間を30〜60日の短縮で、資金繰りを改善できるのであれば、わざわざ注文書ファクタリングを利用する必要がありません。

また、手数料を抑えたいという方も、通常のファクタリングを利用した方が良いでしょう。

もし、3社間ファクタリングを利用するのであれば、手数料相場は1〜9%なので、調達コストを抑えられます。

売掛先の信用力などの条件によっては、さらに手数料を下げられるでしょう。

時間的に余裕があり、手数料を抑えたいのであれば、請求書ファクタリングを利用しましょう。

注文書ファクタリングを使うべき場面

一方で、次のような状況の方は注文書ファクタリングの利用がおすすめです。

・すでに運転資金が足りていない
・受注した段階で現金化したい
受注した仕事を進めるための運転資金がすでに足りていないのであれば、売掛金の入金日をさらに早める必要があります。

資金化を30〜60日早められる通常のファクタリングではなく、最大180日早く現金化できる注文書ファクタリングを選びましょう。

先述したとおり、注文書ファクタリングは手数料が比較的高く設定されています。

自社の財務状況や、受注する案件の規模感に応じて、早期に現金化が必要と判断した場合には、注文書ファクタリングの利用が適しているでしょう。

まとめ

今回の記事では、注文書ファクタリングのメリット・デメリット、おすすめの業者について解説しました。

注文書ファクタリングの主な特徴は、以下の3つです。

・注文書ファクタリングの特徴
・注文書ファクタリングは、注文書(発注書)を売却して現金化するサービス
・本来の売掛金の入金日より、最大6ヶ月早く現金化できる
通常のファクタリングより手数料が高く審査も厳しい傾向にある
受注から納品までの期間が長く、運転資金が足りていない企業は利用を検討してみてはいかがでしょうか?

注文書ファクタリングの取り扱いがあるファクタリング会社は少ないため、業者を選定する際には、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。