資金繰り表とは?分析方法や重要なポイントを徹底解説!

2024年12月2日

この記事では、資金繰り分析の仕方や重要な点について詳しく解説していきます。
資金繰り分析は、資金の現状を将来的な見通しを把握することで、資金ショートを回避し収益を最適化するために行います。

損益計算書上の利益はプラスだったとしても、同じ額の現金が手元に残っているとは限りません。

帳簿上は利益が出ていてもキャッシュフローはマイナスという状況で財務状況が悪化する前に、資金繰り分析を行いお金に流れを最適化しておくと安心です。
資金繰りのイメージは、入金や出金を予測するために資金繰り表を作成することではないでしょうか。資金繰り表は、項目が細かく複雑な計算が必要だと思いがちですが、大きくざっくりと見ることが大切です。

資金繰り表は実はシンプルで、資金繰り分析にもすぐに応用できます。
資金繰り分析は、あくまでも短期的な分析のため、貸借対照表から安全性分析とセットで行うことが大切です。

資金繰り分析とは?

「資金繰り分析」とは、資金の現状と見通しを把握した上で、資金ショートによる黒字倒産を回避したり収益最適化を図ったりするための分析です。

近い将来の現金の流れを把握し、収支の過不足を調整することで手元の資金が足らなくなる事態を防ぎます。

支払いに充てるお金がなくなれば信用を失うことになるため、資金の現状と見通しを明確にし、安全性を担保しつつ運用収益も増やすことが必要です。

そのために資金繰り表を作成し、一定期間の現金の収支を記録・管理することが求められます。

資金繰り分析が重要な理由

資金繰り分析が重要である理由は、会社経営において資金ショートを防ぐことと、資金運用でお金を増やすことが必要だからです。

現金・預金・譲渡性預金などの手元の資金が不足すると、取引先へ支払いができず信用に傷がつきます。

前もって資金繰り分析を行っておけば、いつ・何の入金があり、どのタイミングで何の支払いが発生するか把握できるため、資金ショートを回避し運用収益を得やすくなります。

また、3か月から1年以内の短期で資金運用すれば、利息収入などの収益を得ることができます。

手元の資金は多いほうがよいものの、増えすぎている状態は運用で得ることのできる収益を逃しているとも考えられます。

そのため安全性を保つだけでなく上手に運用し、資金を増やすことも大切といえます。

資金繰り表の構成を把握することが大切!

資金繰り表とは、企業の一定期間の資金の流れを把握するために作成する資料です。

事業活動を進めていると、売上が現金として入金されるまでにズレが生じるため、ある月に現金が少ないことがあります。

最悪の場合、支払予定日までに現金が足りないことで黒字倒産に至ってしまいます。

黒字倒産にならないためには、資金繰り表で現金の流れを把握することが大切です。

資金繰り表を確認する上で構成を把握しておかなければなりません。

資金繰り表の構成は大きく3つに分かれています。

経常収支は本業の収支

経常収支は商品やサービスを提供して現金が入金されれば「収入」となり、従業員の給与や、事業所の家賃、光熱費などを支払えば「支出」となります。

経常収支を確認するポイントは、収入面であれば売掛金の回収状況、支出面であれば無駄な費用がないかを確認することです。

売掛金は商品やサービスを提供した際の対価として将来代金を受け取れる権利です。

もし回収の遅延や、未払いが発生していれば、回収できるように確認しましょう。

支出面であれば、仕入れなどの流動費が高ければ他社との比較や取引先との交渉が必要であり、また家賃、光熱費などの固定費が高い場合には無駄なものを削るなどの見直さなければなりません。

経常外収支は本業以外の収支

経常外収支は補助金収入や、生命保険の解約収入、会社の資産売却などで得た収入、設備投資や有価証券などの購入による支出となります。

経常収支の資金繰りが厳しくなれば、本業以外から収入を得る必要があるため、経常外収入が増えてしまいます。

つまり経常外収入の内容によっては本業の収益に問題の可能性があるため注意深く確認しましょう。

経常外支出の増加は、機械設備を抱えている場合に設備の更新時などに発生する費用や、売上が増加しているため新たに設備投資する場合もあります。

もし本業からの利益が少なくなっている時に設備の更新時期が重なると、金融機関からの融資が厳しくなることがあるため、数年前から毎月予算を積み立てるなどの事前準備をしておきましょう。

財務収支は財務活動の収支

財務収支は、金融機関からの借入金であり、新規に借入すれば収入が増え、返済すれば支出となります。

財務収入の増加は、売上の増加に伴って設備投資するために金融機関から借入を増やしていれば問題は少ないといえます。

しかし本業からの収益が少なく資金繰り難のために、財務収入が増加していれば注意しなければなりません。

事業改善などを早急におこなう必要があります。

財務支出は、経常収支に併せて返済ができていれば問題はありません。

もし利息の負担が大きければ借り換えなどの検討も必要です。

資金繰り表の管理や運用のポイント

資金繰り表は、将来の予測に基づいて入出金を記載し、実績が出ればその都度更新しなければなりません。

予測と実績を記入していくうちに、差異が発生するため、なぜ差異が発生したのかを検証し、次の予測よりも下方修正や上方修正をしながら検証を深めていきます。

資金繰り表を適切に管理して運用していくと、経営上の問題点が明らかになるため、問題点を対処しつつ経営改善につなげられます。

もし資金繰り表の管理をルーティンとしておこなってしまうと、問題を見落としてしまい、経営改善が遅れることにもなるため注意が必要です。

まとめ

資金繰り表は、現在の資金の流れから将来の流れまでを見通して作成するため、適切に管理して運用すれば、経営の問題点が浮き彫りになる、財務体質の改善に向けた施策を進められるなどのメリットがあります。

もし資金繰り表の誤った見方をしてしまえば、支払予定日に現金が足りず黒字倒産に陥る可能性や、借入金の返済額が多すぎて資金繰りが立ちゆかなくなることもあるため注意が必要です。