事業ローンの借り換え先を選ぶときの注意点やメリット・デメリットについて
2024年7月30日
すでに事業ローンを利用している場合、より有利なローン商品への乗り換えを考えるのは自然なことでしょう。
とくに急ぎで融資を受けた場合等、現状の事業ローンの金利が高いと感じている場合はなおさらです。
また、複数ある事業ローンを一本化して負担軽減を図ることもよくあります。
本稿では、事業ローンの借り換えについて解説するとともに、事業ローンの借り換え先を選ぶ時の注意点やメリット・デメリットについてご紹介します。
借り換えを検討されている方は是非ご一読ください。
事業ローン(事業資金)の借り換えについて
「借り換え」とはどういうことでしょうか。
借り換えの仕組みとして、現在すでに借りているローンの残高がある状態で、別のローン会社から新たに融資を受け、その借入金をもって従前のローンを繰上げ完済するということです。
複数のローンを1つのローンに借り換えるために「おまとめローン」ということもあります。
事業ローンの借り換えも、住宅ローンやカードローンの借り換えも仕組みは同じです。
強いて言うなら、無担保の事業ローンの借り換えはカードローンの借り換えと同じで、不動産担保型の事業ローンは住宅ローンの借り換えと同じであると分類できるでしょう。
「借りたお金で今借りているお金を返す」と、一見すると意味のないことのように思えるかもしれません。
しかし金利が低くなったり、返済期間を延ばして月々の返済額を抑えたりすることができれば、十分にメリットのある話なのです。
そういったメリットを享受するために行うのが借り換えなのです。
日本政策金融公庫は融資の借り換えはできない!
公的融資である日本政策金融公庫の融資制度を利用できれば、金利やその他諸条件において有利な借り入れをすることができます。
借り換えを検討する時にうってつけの条件であるのは確かでしょうが、残念なことに日本政策金融公庫は借り換えを目的とした融資を受けることはできません。
災害や新型コロナを原因として業績が悪化した場合に利用できる借り換え制度もありますが、あくまでも日本政策金融公庫から受けた融資(公庫融資)の借り換えに限定されています。
民間の金融機関からの融資の借り換えに利用できるとなると、業績の良くなった企業は条件の有利な公庫融資にどんどん乗り換えることになり、公的機関が民業を圧迫することになってしまいます。
他行からの借り換え禁止はそれを防ぐための制限なのです。
もしも公庫融資を利用したいというのであれば、既存の借り入れと並行して新たに融資を受ける(追加融資)という選択肢があります。
この場合、借り換え資金だということを隠して追加融資を受け、内緒で借り換え資金に流用したらどうなるのでしょうか。
もちろんこれは禁止された行為ですので、万一発覚した場合に借入金を一括返済することを求められますし、今後公庫融資を受けることもできなくなります。
非常にリスクが高いので決して借り換え目的で利用してはいけません。
公庫融資にはさまざまな種類がありますが、事業資金の追加融資を受けたいのであれば小規模企業向けの「一般貸付」を利用するといいでしょう。
新型コロナウイルスで借り換えを考えるなら
新型コロナウイルス感染症の影響を受け業績が悪化した場合に利用できる融資制度があります。
その一例として、最も代表的な制度の概要をご紹介します。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
直近1カ月、もしくは過去6カ月間の平均売上高が前年もしくは前前年と比較して5%以上減少したなど、一定の条件を満たす方が利用できる制度です。
運転資金なら15年間、設備資金なら20年間の返済期間があり、さらに返済期間のうち5年以内の据え置き期間を設定することができますので、最長で当初5年間は返済が始まりません。
個人事業主の方は要件なしで、小規模法人は直近1カ月の売上が15%以上減少しているなら(中小企業は20%以上)、3年間は実質無利子になるという「特別利子補給制度」もあります。
民間金融機関などからの融資の借り換えにも使えますので、要件に当てはまる方は是非利用を検討したいところです。
現時点では期限は明記されていませんが、予算の上限額に達したり、新型コロナが終息したりすると募集停止されるでしょう。
また、状況によって改変、拡充される可能性もありますので、今後の動向を注視してください。
その他、地方自治体が独自に行っている新型コロナ対応融資もあります。
国の制度と併用できるものもありますので、積極的に情報収集するようにしましょう。
事業ローンの借り換え先候補は5つ
事業ローンの借り換え先として、以下のような選択肢が考えられます。
・銀行
・地方銀行
・信用金庫
・地方自治体
・不動産担保ローン
・消費者金融の事業ローン
事業ローン借り換え時の4つの注意点
事業ローンの借り換えを検討する際、次のようなポイントに注意してください。
希望する金融機関で融資可能かを確認する
まずは検討中の借り換え先が条件を満たしているのか確認しましょう。
たとえば、残債が1000万円あるのに、借り換え先の貸出上限額が500万円では借り換えできません。
また、資金の用途として借り換えに使えないローン商品もあります。こういった商品はそもそも目的を達成できませんので、候補にはならないでしょう。
諸費用がいくらかかるかを確認する
諸費用の確認も大切です。事務手数料や取扱手数料など名目は違いますが、金融機関に支払う手数料はいくらかかるのか、保証料は一括か金利上乗せか、またどれくらいの負担になるのか。
せっかく有利なローンに乗り換えることができたとしても、諸費用の負担が大きすぎて結局損してしまうということになると元も子もありません。事前にしっかりと確認したいポイントです。
印紙代は金銭消費貸借契約書に貼付するもので、借入額によって金額が定められています(100万円を超え500万円以下なら2,000円、500万円を超え1000万円以下なら1万円)。
金融機関によって変わることはありませんが、諸費用として予定しておきましょう(電子契約の場合は不要)。
もう一つ事前に押さえておきたいのは、現在の借り入れを返済する時に、繰上げ完済手数料が必要かどうかです。
必要であればそれも勘案した上で新規の借入額を設定するようにしましょう。
資金用途にはしっかりと「借り換え」を記載
借り換え可能なローン商品であっても、申込者が借り替えを目的にしているのか単なる追加融資を目的にしているのか、審査する側は判断できません。
何も申告せずに審査申込をすると、ローン会社は追加融資であるという前提で審査しますので、既存の借入残高と新規の申し込み金額を合わせて返済能力を計ることになります。
すると、審査自体が厳しくなるのに加え、金利などの貸出条件も不利な条件を突き付けられる可能性があります。
こういう事態を避けるためにも、利用目的が借り換えであることをしっかりと明記してください。
低い金利で借りられるかを確認
借り換えをするからには有利な商品に乗り換えることが大前提です。
借り換えに際して借入金額を増やしたり、返済期間を延ばしたりしたいのならそれに見合う商品を選ぶ必要があります。
そしてなによりも重要なのが、金利を今よりも下げることができるのかどうかという点です。
適用金利自体は審査が終わらないとはっきりしませんが、申込時点では少なくとも今よりも下がる可能性がある商品を選択しなければなりません。
そして審査後の適用金利をみて、どれくらい負担が減るのか、諸費用を払っても借り換えする方が有利なのかを比較してください。
まとめ
借り換えは事業者にとって財務戦略ともいえる重要なポイントです。
借り換えを検討する時というのは従前の借り入れをしたときよりも経営状態が良くなっている、あるいはじっくり考えるだけの時間的余裕があることが多いでしょう。
少しでも有利なローンに乗り換えられるように、事前に十分比較検討したうえで行うようにしてくだ
何も申告せずに審査申込をすると、ローン会社は追加融資であるという前提で審査しますので、既存の借入残高と新規の申し込み金額を合わせて返済能力を計ることになります。
すると、審査自体が厳しくなるのに加え、金利などの貸出条件も不利な条件を突き付けられる可能性があります。
こういう事態を避けるためにも、利用目的が借り換えであることをしっかりと明記してください。
低い金利で借りられるかを確認
借り換えをするからには有利な商品に乗り換えることが大前提です。
借り換えに際して借入金額を増やしたり、返済期間を延ばしたりしたいのならそれに見合う商品を選ぶ必要があります。
そしてなによりも重要なのが、金利を今よりも下げることができるのかどうかという点です。
適用金利自体は審査が終わらないとはっきりしませんが、申込時点では少なくとも今よりも下がる可能性がある商品を選択しなければなりません。
そして審査後の適用金利をみて、どれくらい負担が減るのか、諸費用を払っても借り換えする方が有利なのかを比較してください。
まとめ
借り換えは事業者にとって財務戦略ともいえる重要なポイントです。
借り換えを検討する時というのは従前の借り入れをしたときよりも経営状態が良くなっている、あるいはじっくり考えるだけの時間的余裕があることが多いでしょう。
少しでも有利なローンに乗り換えられるように、事前に十分比較検討したうえで行うようにしてください。