銀行融資の金利相場はどのくらい?金利を下げるコツとは?
2024年12月3日
この記事では、実際にどのくらいが相場なのか、利子を計算する方法などについて詳しく解説していきます。
銀行融資で資金調達する際、金利がどのくらいで設定されるのか、利子負担の大きさなどが気になることでしょう。
銀行から融資を受ければ、当然元金に加えて利息の支払いも求められるため、設定される金利よって負担の重さは大きくことなります。
銀行融資の金利の種類
銀行融資の金利には、次の2つの種類があり、それぞれメリットやデメリットなどが異なります。
・変動金利
・固定金利
それぞれの金利について説明していきます。
変動金利
変動金利とは、借入期間中の適用金利が変動する金利です。
半年に一度は適用金利が見直されることが多いものの、変動しても毎月の返済額は5年間変わりません。
変動金利のメリットは、他の金利の種類よりも低く抑えることができることで、下落や横ばい傾向の際には、返済総額が少なくなると考えられます。
仮に金利が上昇した場合でも、支払額の激変緩和措置が定められているためすぐに毎月の返済額が高くなるわけではありません。
返済額の見直しは契約から5年ごととなり、上昇幅も1.25倍以内に抑えられているため安心です。
ただし変動金利のデメリットとして、返済期間や返済総額が当初の予定とかけ離れるリスクはあります。
激変緩和措置によって一定期間は毎月の返済額が変わることはないものの、返済した金額の利子が占める割合は大きくなるため、元金が減らず返済が長期化します。
返済額の上昇幅は1.25倍以内に抑えられますが、上昇の程度によっては返済した金額のうち、元金に充てられる部分がなくなってしまいます。
さらに金利が上昇し続けた場合、利子も賄うことができなくなれば未払い利子が発生し、残債が増える可能性も考えられます。
固定金利
固定金利は借入期間中の金利が固定される金利で、借入期間中の金利が完済まで固定される全期間固定金利と、借入開始から一定期間のみ固定される当初固定金利があります。
固定される期間は2~20年など幅があり、期間が長くなれば適用金利も高くなるといえます。
固定金利が終了したときには、その後の金利について同期間の固定金利や異なる期間の固定金利、変動金利から選ぶことができます。
変動金利のメリットは、借入れ後に金利が上昇した場合でも、借入時の金利での返済額が確定することで、返済計画が立てやすいことです。
しかしデメリットとして、借入れ後に金利が下落しても返済額は変わらないことが挙げられます。
銀行融資の支払い方法
銀行融資を受けた際、元金に加え利子を返済していくことが必要となりますが、支払い方法は主に次の2種類です。
・元金均等返済
・元利均等返済
それぞれの支払い方法について説明していきます。
元金均等返済
元金均等返済とは、毎月の返済額の中で元金が占める割合が一定である返済方式です。
一定額の元金を毎月返済できるため、利子分の支払いが少しずつ減り、元金と利子の合計額もだんだんと少なくなっていきます。
主に事業用資金の貸し付けで適用されることが多い返済方式で、元金部分が毎月均等であることと、残高に応じて利子が発生するため返済し始めの時期は高額な返済額になります。
しかし返済が進めば徐々に返済額が減少していき、元利均等返済よりも返済総額を抑えることができるでしょう。
また、返済期間も短縮できるため確実に借金を返していきたい場合には選択したい返済方式です。
元利均等返済
元利均等返済とは、毎月の返済額が一定である返済方式で、返済が進むにつれて元金返済部分が増えていくことが特徴です。
元金に対し発生する利子も含めて毎月均等な額を返済するため、返済計画を立てやすいメリットはあるものの、返済し始めた時期は返済額のうち利子が占める割合が多く元金が減りません。
返済期間が経過すれば利子の割合が減少し元金に充てられる部分は増えるものの、返済が長期化しやすいこともデメリットといえるでしょう。
銀行融資の金利を決める要素
銀行融資で設定される金利は、金融機関によって異なるものの、主に次の6つによって変動します。
1.経営実績
2.今後の資金繰り
3.業績の見通し
4.金融商品
5.担保・保証の条件
6.預金・振込など取引内容
上記を踏まえると、次の5つで決定されると考えられます。
1.返済期間
2.担保の有無
3.返済能力
4.融資希望者の人格や脂質
5.金融機関の利益
それぞれどのような要素が金利を決定するのか説明していきます。
返済期間
銀行融資で設定される金利は、契約時に決める返済期間によっても変わってきます。
返済期間が長くなれば金利も高くなる傾向が見られますが、これは資金を貸し付ける金融機関が負う貸し倒れリスクの長さに比例するからです。
リスクを負う期間が長くなる分をカバーするため、金利にもリスク分が加算されると考えられます。
担保の有無
銀行融資で設定される金利は、契約時に担保を差し入れるかによっても変わってきます。
土地や建物などを担保として差し入れた上で借入れするのなら、万一返済不能となった場合でも、担保の不動産を換価して返済に充てることが可能です。
金融機関にとって、担保を差し入れてもらうことで返済ができなくなったときのリスクも低減できるため、そのリスク低減分が金利に加味されます。
返済能力
銀行融資で設定される金利は、返済能力によって変わってきます。
金融機関が資金を貸し付ける場合、審査では貸したお金に利息をつけて遅れず返してもらえるのか、返済能力を重視します。
融資希望者の決算書の内容を見て具体的な数字を根拠に査定する定量評価が中心です。事業規模・業績・財務状況などが似通った企業なら、金利も大きく差がつくことはありません。
赤字続きや信用情報が悪化していれば返済能力が低いと判断されるため、貸し倒れリスクが大きい分、金利も高くなります。
返済に充てることができる収入や利益、過去の信用情報などに問題がないか確認した上で、返済能力が判断され金利も決定されることになるでしょう。
融資希望者の人格や資質
定量評価を主体としつつも、最終的に融資するかどうかや金利を決定するのは、銀行の融資担当者です。数字だけではあらわせない融資希望者の人格や資質なども定性評価として考慮されます。ただし、定量評価ほど大きな影響はありません。
金融機関の利益
銀行融資で設定される金利は、金融機関が見込む利益によって変わってきます。
金融機関の融資の金利は、金融機関が資金調達するときの金利にかかる経費、貸し倒れリスクと利益で設定されます。
政府系金融機関である日本政策金融公庫などは公的機関であるため、営利を目的とはしていませんが、民間銀行は営利目的である以上、利益を生むことも必要です。
そのため資金の貸し付けにおいて見込まれる利益を加味した金利が設定されます。
銀行融資の利息の計算方法
銀行融資で資金を調達したときには、借りた元金だけでなく利息も支払うように求められますが、通常であれば以下の計算式で算出されます。
利息額=元金額×金利(利率)×借入期間
金利(利率)には、次の3つの種類があります。
・日歩…現金100円に対する1日あたりの利息
・月利…元金に対する1か月あたりの利息
・年利(年利率)…元金に対する1年間の利息で、利息計算の単位を1年として計算
利率は基本的に年利で考えることになり、銀行でもすべての利率を年利で表示しています。
なお、分割返済での元金は毎回の返済で減っていくため、毎月負担する利子は以下の計算式で算出することになります。
利息額=借入残高×利率×借入期間
上記の計算式のように、借入残高を基準に計算する方法が残債方式で、この方式により計算することを前提に表示された年利率が実質年率です。
銀行融資の金利相場
銀行融資は、どの金融機関からお金を借りるかによって金利相場は異なり、さらに選ぶ金融商品によっても違いがあります。
主に事業者が融資を受ける際の借入先は、政府系金融機関である日本政策金融公庫や民間銀行ですが、預金機能を持たず中小企業などへの貸し付けを積極的に行う日本政策金融公庫のほうが金利は低めです。
そこで、次の5つの金融機関の金利相場について説明していきます。
・日本政策金融公庫
・民間銀行
・信用金庫
・ノンバンク
・ファクタリング
なお、選択する金融商品によっても金利相場は異なるため、あくまでの目安として参考にしてください。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、国が100%出資・運営している政府系金融機関であるため、業種や規模によって異なるものの、基準利率は2〜3%台に抑えられています。
条件を満たして特別利率が適用されれば1%前後で借入れが可能となるなど、民間銀行より低金利で融資を受けることが可能です。
また、信用力が高く担保を差し入れることができれば金利は下がるため、基準利率を基準とするもののより低い金利で借入れできる場合もあることはメリットといえるでしょう。
民間銀行
民間銀行の金利相場は、都市銀行・地方銀行・ネット銀行・信用金庫など金融機関の種類や選ぶ金融商品によって次のとおり異なります。
1.プロパー融資
2.信用保証付き融資
3.不動産担保融資
4.ビジネスローン
それぞれの金利相場について説明します。
1.プロパー融資
プロパー融資とは、保証や担保などなしで銀行独自の責任で直接貸し付けることですが、金利相場は1~3.0%程度です。
ただし審査が厳しく、最低でも決算を3期以上過ぎており、銀行に認められるほど信用力が高くなければプロパー融資を受けることはできません。
2.信用保証付き融資
信用保証付き融資とは、信用保証協会に保証してもらった上での貸し付けです。
万一返済できなくなっても信用保証協会が返済を肩代わりするため、銀行の貸し倒れリスクも低減される分金利も低めです。
金利相場は1.5~3.0%程度ですが、信用保証協会に0.1〜0.8%の保証料を支払うことが必要になります。
3.不動産担保融資
不動産担保融資とは、土地や建物など所有する不動産を担保とした上での貸し付けであり、申込者や不動産価値などに対する審査が行われます。
ビジネスローンなど担保を差し入れない無担保ローンより金利は低く抑えることができ、返済期間も長めに設定できることがメリットで、不動産を所有している企業に適した借入れといえます。
資金の使い道も限定されていないことが多いため、事業資金にも使えるなど利用しやすいことが特徴ですが、金利相場は銀行によって年率1.9~7.8%と幅があります。
また、万一返済不能となった場合には、担保にした不動産は差し押さえられることになるため、事業用不動産を差し入れるときには特に遅れず返済することが必要です。
4.ビジネスローン
ビジネスローンとは、一般の銀行融資での借入れが難しい事業者向けに用意された金融商品です。
担保や保証人など不要で、審査の難易度も低くスムーズに借入れできることがメリットといえます。
また、一度契約し融資枠を獲得しておけば、枠の範囲内で繰り返し利用できるため使い勝手の良さも魅力といえるでしょう。
デメリットとしては、融資を受けることができる金額が1,000万円程度までと多額融資には適していないことです。
さらに審査が甘い分、金利相場は1.0%台から14.0%と高めに設定されるため、繰り返し長期に渡る利用で資金繰りは悪化します。
銀行によっては適用金利の上限と下限には差があるため、ビジネスローンを利用するときには事前に確認したほうがよいでしょう。
ノンバンク
ノンバンクは、銀行や信用金庫とは異なり、預金を取り扱っていない金融機関のことです。たとえば、クレジットカード会社や消費者金融などがノンバンクに該当します。
消費者金融と聞くと、一般個人向けのようなイメージが強いかもしれません。しかし、事業者向けの融資商品を取り扱っているところもあります。
金利の相場は3~18%程度と、融資商品や信用度によって幅が大きい点が特徴です。
ファクタリング
ファクタリングは売掛金債権を売却して資金調達する方法です。売掛金債権を買い取るサービスを提供しているファクタリング業者を通じて行います。
通常、売掛金が取引先から支払われるまで日数を要しますが、ファクタリングを利用すれば早い段階で現金化できます。
ファクタリングは、二社間ファクタリングと三社間のふたつに大別できます。二社間ファクタリングは、ファクタリング会社とのみ契約を交わす方法で、売買手数料の相場は売掛金の3~20%程度です。売買手数料が高めですが、取引先へ通知せずに利用できます。
三社間ファクタリングは、取引先も含めて三社間で契約を交わす方法で、売買手数料の相場は1~10%程度と低めです。
銀行融資の金利を下げる方法
銀行融資を受ける際には、できるだけ金利を引き下げることが理想ですが、その場合には次の3つの方法を検討しましょう。
1.格付けを上げる
2.業績改善の説得力ある説明
3.担保を差し入れる
それぞれどのような方法か説明していきます。
格付けを上げる
銀行融資の金利を下げるには、銀行が決める格付けを上げることが必要です。
審査では様々な項目を確認されますが、銀行から事業者に対する評価である格付けを上げることで、審査では有利になります。
決算書に基づいて財務状況・収益力・資金繰りなどで返済能力を判定し、債務者としての区分である格付けが決定されます。
そのため黒字決算を連続で実現することや、キャッシュフローを改善することや、経営計画書を作成・提出して事業性評価を改善させることが必要といえるでしょう。
他にも中小企業の会計に関する指針に準拠することなど実施することで、従業員数人の小規模事業者でも金利を1%未満に引き下げて融資を受けることができる可能性はあります。
業績改善の説得力を持つ説明
銀行融資の金利を下げるには、銀行に対し業績改善の説得力を持つ説明が必要です。
あくまでも銀行は営利目的で事業を営んでいるため、資金を貸し付けることで得る利息が利益となります。
金利を下げれば将来までの利益を値下げすることになるため得策とはいえないものの、たとえ値下げした場合でも長期に融資取引を継続したいと思わせることが必要です。
そのため業績改善に関する説得力ある説明をし、将来性を期待してもらうことが必要といえますが、たとえば次の内容を事業計画書に盛り込むなど工夫をしましょう。
・事業内容
・自社の強みと外部環境との比較
・過去の業績推移
・業績改善策と効果
・資金繰りの見通し
・担保を差し入れる
銀行融資の金利を下げるには、担保を差し入れた上でも借入れが望ましいといえます。
貸し倒れリスクを懸念する銀行にとって、資産価値のある不動産などを担保として差し入れることは、資金を貸し付けしやすくさせることにつながります。
担保には不動産などの物的担保と、保証人などの人的担保がありますが、このいずれかまたは両方をつければ金利も下がりやすくなるでしょう。
物的担保は土地・建物などの不動産の他、株式などの有価証券や売上代金の未回収分である売掛債権などが対象です。
人的担保は代表者などが連帯保証人になることで、もしも返済できない場合にはリスクを負う姿勢を示すことができるでしょう。
資金使途や金額によるものの、担保を差し入れることで無担保よりも多く融資を受けることが可能となり、返済期間も長めに設定しやすくなるため、資金繰りに対する影響を抑えることにつながります。
担保の何%までを評価額にするかについては、不動産を担保として差し入れる場合には不動産評価額の70%、上場会社の株式であれば80%など金融機関ごとに取り決めがあるようです。
担保の評価額までであればお金を借りることができるため、資産価値や評価額の高い資産を担保として差し入れることができれば、低金利で多額を長期間に渡り借入れすることができるでしょう。
まとめ
銀行融資で資金調達する際、設定される金利により、どのくらいの利子を負担することになるのか気になることでしょう。
高い金利で長く返済を続ければ、利子負担が重くなり返済総額も膨らむため、資金繰りも悪化してしまいます。
ただ、金利は借入先や選ぶ金融商品はもちろんのこと、信用力なども加味されて設定されるため、一律ではありません。
有利に契約を進め融資を受けるためにも、どの金融商品が適しているのか資金調達の目的に応じて選び、戦略と計画を立てた上での申し込みが必要です。
将来を見据えて事業運営することを前提に、現状や目的など改めて見直し、有利な金利条件で銀行融資を受けることができるようにしていきましょう。