取引先や銀行に銀行口座からファクタリングの利用がバレる?その仕組みや知られない方法など解説

2024年10月23日

ファクタリングを使った資金調達は便利だと感じていても、取引先にバレてしまうことを恐れ、利用しにくいと感じる事業者もいるようです。

しかしファクタリングにも種類があり、取引先に知られず売掛金を現金化することはできます。

そこで、ファクタリングの利用は本当に取引先にバレてしまうのか、その仕組みや知られない方法について解説していきます。

ファクタリングとは

「ファクタリング」とは、保有している売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却することで、現金化できる金融サービスです。

商取引で商品やサービスを販売したとき、その代金はすぐに受け渡しせず、一定期間の取引をひとまとめにして請求書を発行・送付します。

その後、受注者の指定口座に取引先から入金してもらうことになりますが、代金回収までの期間に発生するのが「売掛金(売掛債権)」です。

1~2か月待たなければ回収できない売掛金も、ファクタリングを利用すれば前倒しで受け取ることができます。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングは、次の2つの種類によってその仕組みが異なります。

・2社間ファクタリング
・3社間ファクタリング
それぞれの仕組みについて説明していきます。

ファクタリングとは?仕組み・手数料の目安や注意点について簡単に解説

2社間ファクタリング

「2社間ファクタリング」とは、利用者とファクタリング会社のみで完結するファクタリングです。

取引先に対し、ファクタリング会社へ売掛債権を譲渡することを伝える必要はないため、手続もスムーズで最短即日現金化できる場合もあります。

ただし取引先に売掛債権の譲渡を伝えないため、期日に売掛金を回収する業務は利用者が行います。

このとき、利用者が回収した売掛金を使い込んだり別途支払いへ流用したりといったリスクがあるため、手数料はその分高めに設定されます。

2社間ファクタリングは、次の流れで取引が進む仕組みとなっています。

利用者とファクタリング会社で契約を結ぶ
ファクタリング会社から利用者に買取金額が支払われる
取引先から利用者に売掛金が支払われる
利用者からファクタリング会社に回収した売掛金が支払われる
2社間ファクタリングとは?手数料・メリット・違法性について徹底解説

3社間ファクタリング

「3社間ファクタリング」とは、利用者とファクタリング会社、そして売掛先である取引先も契約に加わるファクタリングです。

売掛債権を譲渡することについて、売掛先に通知し、承諾を得ることが必要になります。

前もってファクタリング利用に関する説明を行い、納得してもらうことが必要となるため、2社間ファクタリングよりも手続に時間がかかるといえるでしょう。

ただし期日に取引先から支払われる売掛金は、利用者を経由せず直接ファクタリング会社に渡ります。

利用者に売掛金を使い込まれるリスクはないため、手数料は割安に設定されることはメリットといえます。

ただしファクタリング利用を取引先が知ったとき、売掛債権を資金調達に使うことについて不信感を抱かれてしまうことがあります。

その後の取引に懸念を抱かれてしまうと、取引量の削減や決済方法の変更、取引打ち切りといった対応をされる可能性もあるため、3社間ファクタリングによる資金調達は慎重に選ぶことが必要です。

3社間ファクタリングは、次の流れで手続が進む仕組みとなっています。

・売掛金をファクタリング会社に譲渡することを取引先に通知し承諾を得る
・利用者とファクタリング会社で契約を結ぶ
・ファクタリング会社から利用者に買取金額が支払われる
・取引先からファクタリング会社に売掛金が支払われる

ファクタリングが取引先にバレるケース

ファクタリングを利用しても、たとえば2社間ファクタリングを選ぶことで、取引先に債権譲渡の事実を知られることはありません。

しかし次の2つのケースにおいては、ファクタリング利用が取引先にバレてしまいます。

取引先へ通知・承諾が必要なケース

債権譲渡登記が必要なケース
それぞれどのようなケースで取引先にバレるのか説明します。

取引先へ通知・承諾が必要なケース
2社間ファクタリングであれば、取引先にファクタリング利用の関する事実の通知や、承諾を得る手続は不要です。

しかし3社間ファクタリングの場合、取引先に債権譲渡の通知と承諾を得ることが必須とされています。

ファクタリングの手数料は3社間のほうが割安!その仕組みを解説

債権譲渡登記が必要なケース

2社間ファクタリングであれば取引先に通知をしたり承諾を得たりする必要はありませんが、「債権譲渡登記」を求められることがあります。

債権譲渡登記とは、誰に対して債権を譲渡したのか登記により記す手続です。

法人の金銭債権譲渡や、金銭債権を目的とした質権設定において、債務者以外の第三者への対抗要件に備えることを目的に行われます。

債務者に対し債権者が自身であることを主張する場合や、債務者以外の第三者に主張する際には、次のいずれかが必要となります。

債権を保有していた譲渡人から債務者に確定日付のある証書で債権譲渡の通知を行う
債務者から譲渡することの承諾を得る
ただし登記所で債権譲渡登記を行うことで、上記の手続がなくても第三者への対抗要件に具備することが可能です。

なお、債権譲渡登記を含める登記情報は、誰でも閲覧可能となっています。

仮に取引先が自社の売掛債権の情報を確認した場合、債権譲渡登記が行われた事実から債権の譲渡があったことを知られる可能性はあるといえます。

実際には取引先が売掛債権の譲渡を登記所に確認に行くことはほぼないとも考えられるものの、けっして可能性はゼロではありません。

また、取引銀行に融資を申し込んだ場合には、債権の調査で債権譲渡登記の内容から債権が譲渡されていることを銀行口座から知られます。

銀行融資による資金調達も検討している場合には、注意が必要といえるでしょう。

ファクタリング利用を取引先に知られない方法

ファクタリングの利用を取引先に知られることで、資金繰りが悪化している事業者だと懸念を抱かれる可能性があります。

そもそも中小企業などの資金調達の方法として、一般的といえるのは銀行から融資を受けることです。

「なぜ銀行から融資を受けず、売掛債権を現金化して資金を調達しなければならないのか?」
「融資審査に通らないほど厳しい財務状況なのではないか?」

など、余計な勘繰りを入れられる可能性も否定できません。

そのため中小企業の多くは、ファクタリング利用において2社間ファクタリングを選んでいます。

2社間ファクタリングでも債権譲渡登記を必須としないファクタリング会社と契約を結ぶことで、取引先にファクタリング利用を知られることはありません。

なお、長年に渡り親密な付き合いをしている取引先などであれば、資金調達にファクタリングを利用したいことを相談の上、3社間ファクタリングを選んでもよいでしょう。

まとめ

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。

取引先に知られずに売掛債権を現金化したいなら、2社間ファクタリングを選びましょう。

実際、多くの中小企業は2社間ファクタリングを選び、スムーズに売掛債権を現金化できています。

ただし2社間ファクタリングは3社間ファクタリングよりも手数料が割高に設定されるため、いつまでファクタリングを利用するのか、事前に決めておくことが必要です。

計画的にファクタリングを利用することで、資金繰り改善につなげることができるでしょう。