ファクタリングの掛け持ちは可能なのか複数利用の注意点を解説

2026年10月11日

ファクタリングを利用している事業者の中には、「1社だけでは必要な資金を調達できない」「複数の売掛金を同時に現金化したい」と考え、複数のファクタリング会社を掛け持ちできないか検討するケースがあります。

ファクタリングは、売掛金を早期に資金化できるため、急な支払いへの対応や運転資金の確保などに活用できます。しかし、複数の会社を同時に利用する場合には、通常の利用とは異なる注意点があります。

特に重要なのが、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ譲渡する「二重譲渡」です。これは重大なトラブルにつながる可能性があるため、掛け持ちを検討する際には、どの売掛金をどの会社へ譲渡したのかを明確に管理する必要があります。

本記事では、ファクタリングの掛け持ちは可能なのか、複数社を利用する場合の具体的な方法、二重譲渡のリスク、審査への影響、注意すべきポイントについて詳しく解説します。

ファクタリングの掛け持ちは可能

ファクタリングを複数の会社で利用すること自体が、必ず禁止されているわけではありません。

たとえば、A社に対する売掛金100万円をファクタリング会社Aへ譲渡し、B社に対する売掛金200万円をファクタリング会社Bへ譲渡するという形であれば、それぞれ異なる売掛債権を利用しているため、基本的な考え方としては別々の取引になります。

複数の売掛先がある事業者であれば、売掛金ごとにファクタリング会社を分けるという利用方法も考えられます。

ただし、ファクタリング会社によって契約条件は異なります。複数利用について申告を求める場合もあるため、現在ほかのファクタリング会社を利用している場合は、契約内容を確認したうえで正確に伝えることが大切です。

掛け持ちできるかどうかは、単純に「何社まで利用できる」という問題ではありません。

重要なのは、譲渡する売掛債権が重複していないこと、契約上の問題がないこと、そして利用状況を適切に管理できることです。

ファクタリングの掛け持ちで注意したい二重譲渡

複数のファクタリング会社を利用する際に、最も注意したいのが二重譲渡です。

二重譲渡とは、同じ売掛債権を複数の相手に譲渡することを指します。

たとえば、取引先から100万円を受け取る予定の売掛金があるとします。

その100万円の売掛債権をファクタリング会社Aへ譲渡した後、同じ債権を別のファクタリング会社Bにも譲渡するような行為は問題になります。

ファクタリング会社を掛け持ちすること自体と、同じ売掛債権を複数社へ譲渡することはまったく別の話です。

複数社を利用する場合は、売掛先、請求書番号、請求金額、支払期日、譲渡先などをきちんと管理して、同じ債権を重複して利用しないようにする必要があります。

異なる売掛金なら掛け持ちしやすい

ファクタリングの掛け持ちを検討する場合、異なる売掛債権をそれぞれ別の会社に譲渡する方法が基本的な考え方になります。

たとえば、次のような売掛金を保有しているとします。

・A社向けの売掛金100万円

・B社向けの売掛金150万円

・C社向けの売掛金80万円

この場合、A社向けの売掛金をファクタリング会社A、B社向けの売掛金をファクタリング会社Bへ譲渡するなど、債権を分けて利用することが考えられます。

ただし、実際に利用できるかどうかは、それぞれのファクタリング会社の審査や契約条件によって決まります。

また、同じ売掛先に対する複数の請求書を利用する場合は、特に管理を慎重に行う必要があります。

「売掛先が同じだから別の債権でも問題ない」と安易に考えるのではなく、どの請求書をどのファクタリング会社へ譲渡したのかを明確にしておきましょう。

ファクタリングを掛け持ちするメリット

ファクタリングを複数社で利用することには、一定のメリットがあります。

必要な資金を確保しやすくなる

1社のファクタリング会社だけでは、必要な資金額を調達できない場合があります。

たとえば、300万円の資金が必要なのに、1社から100万円分の売掛金しか買い取ってもらえない場合、別の売掛債権を別会社へ譲渡することで資金調達額を増やせる可能性があります。

ただし、資金調達額を増やすことだけを目的に利用すると、手数料負担も増える可能性があります。

複数社を利用する場合は、必要な資金額とファクタリング費用のバランスを考えることが重要です。

条件を比較できる

複数のファクタリング会社に相談することで、手数料や入金までの時間、契約条件などを比較できます。

同じ売掛金であっても、ファクタリング会社によって提示される条件が異なる場合があります。

ただし、同じ売掛債権を複数社に同時に譲渡することはできないため、「比較するための審査」と「実際に債権を譲渡する契約」は分けて考える必要があります。

資金調達先を分散できる

特定のファクタリング会社だけに依存せず、複数の会社と取引関係を持っておくことで、資金調達の選択肢を増やせる場合があります。

ただし、会社ごとに契約条件や管理方法が異なるため、利用先が増えるほど管理負担も大きくなります。

ファクタリングの掛け持ちによるデメリット

複数のファクタリング会社を利用することには、メリットだけでなくデメリットもあります。

手数料の負担が増える

ファクタリングは、売掛金を現金化するたびに手数料が発生するのが一般的です。

複数の売掛金を複数社で現金化すれば、それぞれの取引で手数料が発生します。

資金調達額が大きくなっても、手数料負担が増えれば手元に残る資金は少なくなります。

そのため、単純に「たくさんの会社を使えば多くの資金を調達できる」と考えるのではなく、必要な金額だけを効率的に資金化することが重要です。

資金繰りの管理が複雑になる

ファクタリング会社が1社であれば、契約内容や支払状況などを管理しやすいでしょう。

しかし、複数社を利用すると、それぞれの契約内容や入金予定、債権の譲渡状況などを管理する必要があります。

特に複数の請求書を扱っている企業では、どの売掛金をどこへ譲渡したのか分からなくならないように管理することが重要です。

審査で確認される可能性がある

ファクタリング会社によっては、他社利用の有無を確認することがあります。

現在どのようなファクタリングを利用しているのかを説明せずに申込を行うと、契約上の問題につながる可能性があります。

他社利用について質問された場合には、正確な情報を伝えることが大切です。

ファクタリングの掛け持ちで同じ売掛先を利用する場合

同じ売掛先に対して複数の請求書が存在する場合、管理には特に注意が必要です。

たとえば、A社に対して4月分100万円、5月分120万円、6月分150万円の売掛金があるとします。

これらがそれぞれ独立した売掛債権であれば、契約内容を確認したうえで別々のファクタリング取引に利用できる可能性があります。

しかし、請求書の内容や債権の範囲を正確に把握せずに手続きを進めると、譲渡済みの債権と未譲渡の債権を取り違える危険があります。

そのため、請求書ごとにファクタリング会社、譲渡日、買取金額、支払期日などを記録しておくことが重要です。

ファクタリングの掛け持ちで審査に影響するのか

ファクタリングを複数利用しているからといって、それだけで必ず審査に落ちるとは限りません。

ファクタリングの審査では、売掛先の信用力や売掛債権の内容、取引の実在性、支払期日などが重要な判断材料になります。

ただし、すでに複数のファクタリング会社を利用している場合、資金繰りの状況や既存契約について確認される可能性があります。

特に、短期間に複数の会社へ申し込みを行っている場合には、資金需要が急激に高まっている理由について説明を求められることも考えられます。

そのため、必要以上に複数社へ申し込むのではなく、自社の資金需要を整理したうえで利用先を選ぶことが重要です。

ファクタリングの掛け持ちと他社利用の申告

ファクタリングを掛け持ちする場合、他社利用を申告する必要があるかどうかは、契約内容やファクタリング会社によって異なります。

申込時に他社利用について質問された場合には、正確に回答しましょう。

特に重要なのは、現在譲渡している売掛債権が何なのかを明確にすることです。

「ファクタリングを利用しています」とだけ伝えるのではなく、どの売掛先に対するどの債権を利用しているのかを整理しておくと、説明もしやすくなります。

また、契約書に他社への債権譲渡に関する制限が記載されている場合もあるため、契約前に確認することが必要です。

ファクタリングの掛け持ちで避けたい行為

ファクタリングを複数利用する場合でも、やってはいけない行為があります。

特に注意したいのが、同一債権の二重譲渡です。

また、すでに譲渡した売掛金について、譲渡していないように説明したり、事実と異なる資料を提出したりすることも避けなければなりません。

ファクタリング会社から求められた資料についても、正確な情報を提出することが重要です。

資金繰りが厳しい状況であっても、虚偽の説明によって資金調達を行うことは、後々大きなトラブルにつながる可能性があります。

ファクタリングを掛け持ちする前に確認すること

複数のファクタリング会社を利用する前には、自社が保有している売掛債権を整理しましょう。

売掛先ごとに請求金額、支払期日、請求書番号、契約状況などをまとめておくと、債権の重複を防ぎやすくなります。

さらに、現在利用しているファクタリング会社との契約書も確認しましょう。

契約方式や債権譲渡に関する条件、他社利用に関する規定などを確認しておくことで、思わぬ契約トラブルを避けやすくなります。

そして、新たなファクタリング会社へ申し込む際には、必要な資金額を明確にしておくことが大切です。

「利用できるだけ利用する」のではなく、「いつまでにいくら必要なのか」を基準に利用額を決めるようにしましょう。

ファクタリングの掛け持ちは計画的な利用が重要

ファクタリングの掛け持ちは、異なる売掛債権を適切に管理し、契約条件に問題がなければ選択肢の一つになります。

一方で、利用する会社が増えるほど手数料負担や管理の手間も増えていきます。

特に注意が必要なのが、同じ売掛債権を複数社へ譲渡してしまうことです。

ファクタリング会社を掛け持ちする場合は、売掛金ごとに譲渡先を明確にし、請求書単位で管理することが重要です。

また、資金繰りそのものに問題がある場合は、ファクタリングを複数回利用するだけでは根本的な解決にならない可能性があります。

売上や入金予定、固定費、借入金の返済などを整理し、必要な資金額を把握したうえで利用することが大切です。

まとめ

ファクタリングの掛け持ちは、複数のファクタリング会社を利用すること自体が必ず禁止されているわけではありません。

異なる売掛債権をそれぞれ別のファクタリング会社へ譲渡する方法であれば、複数社を利用できる可能性があります。

ただし、最も注意しなければならないのが二重譲渡です。同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ譲渡することは重大なトラブルにつながる可能性があるため、売掛金や請求書を正確に管理する必要があります。

また、ファクタリングを掛け持ちすると、必要な資金を確保しやすくなる一方で、手数料負担や契約管理の負担が増えるというデメリットもあります。

複数の会社を利用する場合は、単純に利用社数を増やすのではなく、どの売掛金をどの会社へ譲渡するのかを明確にし、各社の契約条件を確認することが重要です。

ファクタリングは資金繰りを改善するための選択肢の一つですが、掛け持ちによって費用が膨らむ可能性もあります。自社に必要な資金額を把握し、複数社を利用するメリットとコストを比較したうえで、計画的に活用しましょう。