ファクタリングの売却損に使う勘定科目とは?仕訳方法や会計処理を詳しく解説

2026年10月3日

ファクタリングを利用して売掛金を早期に現金化した場合、売掛金の額面金額と実際に受け取った金額との差額が発生します。この差額を会計上どのように処理すればよいのか、また「売却損」にどの勘定科目を使えばよいのか分からない方も多いでしょう。

ファクタリングでは、例えば100万円の売掛金を90万円で買い取ってもらった場合、10万円の差額が発生します。この差額はファクタリング会社へ支払う手数料などを含むため、適切な勘定科目を使って処理する必要があります。

特に、ファクタリングの会計処理では、単純に「手数料」として処理すればよいとは限りません。利用しているファクタリングの契約内容や取引の実態によって、仕訳の方法を検討する必要があります。

また、ファクタリングによる売掛債権の譲渡は、一般的な融資とは異なるため、借入金として処理するものではありません。売掛金を譲渡して資金化する取引として、売掛金の消滅と入金額、差額の処理を行います。

この記事では、ファクタリングの売却損に使われる勘定科目について詳しく解説します。具体的な仕訳例を紹介しながら、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い、消費税の取り扱い、会計処理で注意したいポイントまで分かりやすく説明します。

ファクタリングの売却損とは

ファクタリングの売却損とは、売掛債権の額面金額と、ファクタリング会社から実際に受け取る金額との差額のことです。

例えば、100万円の売掛金をファクタリング会社へ譲渡し、手数料として5万円が差し引かれた場合、受け取れる金額は95万円になります。

この場合、売掛金100万円を95万円で譲渡したことになるため、差額の5万円が売却損として発生します。

会計処理では、この差額を適切な勘定科目に計上する必要があります。

ただし、勘定科目については会社の会計方針や税理士の判断などによって異なる場合があるため、実際の決算処理では自社の会計処理に合わせることが大切です。

ファクタリングの売却損に使われる勘定科目

ファクタリングで発生した売却損には、一般的に「売上債権売却損」などの勘定科目を使用して処理する方法があります。

「売上債権売却損」は、売掛金や受取手形などの売上債権を譲渡した際に発生した損失を処理するための勘定科目です。

例えば、100万円の売掛金を95万円でファクタリング会社へ譲渡した場合、5万円を「売上債権売却損」として計上する方法があります。

一方で、会計ソフトや企業の経理処理によっては、「売却損」「債権売却損」など、別の勘定科目を使用している場合もあります。

重要なのは、会社内で勘定科目を統一し、取引内容が分かるように処理することです。

売上債権売却損を使用するケース

ファクタリングによって売掛債権を譲渡した結果、額面金額よりも少ない金額しか受け取れなかった場合、その差額を売上債権売却損として処理する方法があります。

例えば、100万円の売掛金を95万円で譲渡した場合は、次のような仕訳になります。

借方
普通預金 95万円
売上債権売却損 5万円

貸方
売掛金 100万円

この仕訳によって、売掛金100万円が消滅し、実際の入金額95万円と売却損5万円が計上されます。

手数料として処理する場合

ファクタリング会社へ支払う費用について、「支払手数料」などの勘定科目を使用して処理する方法が検討される場合もあります。

ただし、ファクタリングでは売掛債権そのものを譲渡しているため、単純なサービス利用料として処理するのではなく、取引の実態に応じた会計処理が必要です。

特に、売掛債権の譲渡によって発生した差額をどのように処理するかについては、自社の会計方針や税理士などの専門家に確認すると安心です。

ファクタリングの基本的な仕訳方法

ファクタリングの仕訳を理解するには、売掛金が発生した時点、ファクタリング契約を締結した時点、実際に入金された時点を分けて考えると分かりやすくなります。

例えば、商品やサービスを提供して100万円の売掛金が発生した場合、通常は以下のように処理します。

借方
売掛金 100万円

貸方
売上 100万円

その後、売掛金をファクタリング会社へ譲渡し、手数料5万円を差し引いた95万円を受け取った場合は、売掛金を消滅させる仕訳を行います。

借方
普通預金 95万円
売上債権売却損 5万円

貸方
売掛金 100万円

このように、ファクタリングでは売掛金を消し込み、実際に入金された金額と差額を処理します。

2社間ファクタリングの仕訳

2社間ファクタリングとは、基本的に利用企業とファクタリング会社の2者間で契約を行うファクタリングです。

売掛先にファクタリングの利用を通知したり、承諾を得たりせずに手続きを進められる場合があるため、売掛先との関係を維持しながら資金調達したい企業などに利用されています。

2社間ファクタリングでは、売掛先から利用企業へ入金された売掛金を、その後ファクタリング会社へ送金する流れになる場合があります。

そのため、通常の売掛金譲渡とは異なる仕訳が必要になるケースがあります。

2社間ファクタリングの仕訳例

例えば、100万円の売掛金をファクタリング会社へ譲渡し、手数料5万円を差し引いて95万円を受け取ったとします。

ファクタリング契約を締結して資金が入金された段階では、基本的に以下のような仕訳が考えられます。

借方
普通預金 95万円
売上債権売却損 5万円

貸方
売掛金 100万円

その後、売掛先から100万円が自社口座へ入金された場合には、ファクタリング会社へ送金するための処理が必要になります。

この場合、実際の契約内容によって仕訳方法が異なるため、会計処理を行う際には契約書や入出金の流れを確認する必要があります。

3社間ファクタリングの仕訳

3社間ファクタリングは、利用企業、ファクタリング会社、売掛先の3者で取引を行う方法です。

売掛先がファクタリングの利用を認識し、売掛金の支払いをファクタリング会社へ直接行う形が一般的です。

そのため、2社間ファクタリングと比較すると、売掛先から自社へ入金された後にファクタリング会社へ送金するという処理が発生しにくく、会計上の流れも比較的シンプルです。

3社間ファクタリングの仕訳例

100万円の売掛金を95万円で譲渡した場合、以下のような仕訳が考えられます。

借方
普通預金 95万円
売上債権売却損 5万円

貸方
売掛金 100万円

ファクタリング会社が売掛先から直接100万円を回収するため、利用企業側では売掛金が消滅し、95万円の資金を受け取ったことと5万円の売却損を計上します。

ファクタリングの売却損は消費税の対象になるのか

ファクタリングを利用する際に気になるのが、ファクタリングの手数料や売却損に消費税がかかるのかという点です。

一般的な金銭債権の譲渡は、消費税の非課税取引に該当します。

ファクタリングは売掛債権という金銭債権の譲渡を行う取引であるため、売掛債権の譲渡そのものについては、原則として消費税の課税対象とはなりません。

そのため、ファクタリングによって発生した売却損についても、通常の商品販売やサービス提供にかかる消費税とは異なる扱いになります。

ただし、ファクタリング会社へ支払う費用のすべてが同じ税務上の扱いになるとは限りません。

契約内容によっては、債権譲渡に付随するサービスなどが含まれている可能性もあるため、請求書や契約書の内容を確認することが重要です。

ファクタリングの手数料と売却損は同じなのか

ファクタリングの「手数料」と「売却損」は、似ているように感じますが、会計処理を考える際には区別して考える必要があります。

手数料は、ファクタリング会社へ支払う対価として設定されるものです。

一方、売却損は、売掛債権の帳簿価額と譲渡対価との差額として発生する損失です。

例えば、100万円の売掛債権を95万円で譲渡した場合、差額5万円が売却損として発生します。

実際のファクタリング取引では、この5万円がファクタリング会社の手数料として表示される場合もありますが、会計上どの勘定科目を使用するかは、取引の実態や企業の会計処理によって判断する必要があります。

そのため、「ファクタリング会社から手数料と書かれているから必ず支払手数料」というように機械的に判断するのではなく、取引全体を確認することが重要です。

ファクタリングの売却損を仕訳するときの注意点

ファクタリングの会計処理では、勘定科目だけでなく、売掛金の認識や消滅のタイミングなどにも注意が必要です。

売掛金の消し込みを忘れない

ファクタリング会社へ売掛債権を譲渡した場合、対象となる売掛金を適切に消し込む必要があります。

売掛金が譲渡済みであるにもかかわらず帳簿上に残っていると、実際の資産状況と会計帳簿に差が生じてしまいます。

入金額と売掛金の差額を確認する

ファクタリングでは、売掛金の額面金額と実際の入金額が異なることがあります。

例えば100万円の売掛金に対して95万円が入金された場合、差額5万円が発生します。

この差額について、売上債権売却損など適切な勘定科目で処理します。

契約内容を確認する

ファクタリングの会計処理は、契約内容によって異なる場合があります。

特に、売掛債権の買戻し義務や償還請求権などが設定されている場合には、一般的な債権譲渡とは異なる会計処理が必要になる可能性があります。

契約書を確認し、実際の取引内容に沿って処理することが重要です。

ファクタリングの売却損は損益計算書でどのように扱うのか

ファクタリングで発生した売却損は、企業の費用または損失として損益計算書に反映されます。

例えば100万円の売掛金を95万円で譲渡した場合、5万円の売却損が発生します。

この5万円を適切な勘定科目で計上することで、ファクタリングによって発生した資金調達コストを会計上明確にできます。

ファクタリングを頻繁に利用している企業の場合、売却損が継続的に発生するため、資金調達コストとしてどの程度負担しているのかを把握することも重要です。

単に現金が早く入ってくることだけを見るのではなく、売掛金の額面と実際の受取額との差額を確認し、資金調達のコストを把握しましょう。

ファクタリングの会計処理で税理士に相談したほうがよいケース

ファクタリングの仕訳は、単純な売掛金の入金処理とは異なる場合があります。

特に、契約内容が複雑な場合や、複数の手数料が設定されている場合には、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

また、2社間ファクタリングで売掛先から自社へ入金された後、ファクタリング会社へ送金するような取引では、資金の流れが複雑になりやすい傾向があります。

さらに、決算期をまたいでファクタリングを利用した場合や、大口の売掛債権を譲渡した場合には、会計処理のタイミングが重要になることがあります。

少しでも判断に迷う場合は、契約書、請求書、入出金明細などの資料を準備して、税理士などに確認すると安心です。

ファクタリングの売却損を正しく処理するためのポイント

ファクタリングの売却損を正しく処理するためには、まず「いくらの売掛金をいくらで譲渡したのか」を明確にしましょう。

次に、ファクタリング会社から提示された手数料やその他の費用を確認します。

例えば、売掛金100万円、ファクタリング手数料5万円、入金額95万円であれば、差額5万円が発生します。

この5万円について、売上債権売却損などの勘定科目を使用して処理する方法があります。

ただし、会計処理では取引の実態が重要です。

契約書上の手数料の名称だけではなく、売掛債権の譲渡価格や実際の資金移動などを確認したうえで処理しましょう。

ファクタリングの売却損と勘定科目に関するよくある質問

ファクタリングの売却損にはどの勘定科目を使いますか

ファクタリングで売掛債権を譲渡した際の差額については、「売上債権売却損」などの勘定科目を使用して処理する方法があります。

ただし、企業の会計方針や契約内容によって適切な処理が異なる可能性があるため、実際の決算処理では税理士などに確認すると安心です。

ファクタリングの手数料は支払手数料で処理できますか

契約内容によっては支払手数料として処理する方法が検討される場合があります。

一方で、売掛債権を額面より低い金額で譲渡したことによる差額は、売上債権売却損として処理する考え方があります。

どの勘定科目を使用するかは、取引の実態や自社の会計方針を踏まえて判断しましょう。

ファクタリングの売却損に消費税はかかりますか

売掛債権の譲渡は、一般的に消費税の非課税取引として扱われます。

ただし、ファクタリング契約に含まれる個別のサービスや費用については異なる扱いになる可能性があります。

請求書や契約内容を確認し、判断に迷う場合は税理士などに相談しましょう。

ファクタリングの手数料は経費になりますか

ファクタリングによる売掛債権の譲渡で発生する差額は、会計上の損失として処理される場合があります。

ただし、具体的な税務処理は企業の状況や契約内容によって異なるため、法人税や所得税の申告を行う際には専門家へ確認することが重要です。

ファクタリングを利用したら売掛金はどうなりますか

売掛債権の譲渡が適切に行われた場合、対象となった売掛金を帳簿から消し込むことになります。

ファクタリング会社から受け取った金額と売掛金の額面金額との差額について、売上債権売却損などを計上します。

まとめ

ファクタリングを利用すると、売掛金の額面金額と実際に受け取る金額との間に差額が発生します。

例えば、100万円の売掛金を95万円でファクタリング会社へ譲渡した場合、5万円の差額が発生します。

この差額については、「売上債権売却損」などの勘定科目を使用して処理する方法があります。

仕訳の基本的な考え方としては、ファクタリング会社から実際に受け取った金額を普通預金などに計上し、売掛金の額面金額を消し込み、その差額を売上債権売却損として処理します。

ただし、ファクタリングの契約内容や企業の会計方針によって適切な勘定科目や処理方法が異なる場合があります。

特に、ファクタリング会社が提示する「手数料」と会計上の「売却損」は必ずしも同じ意味ではありません。

売掛債権を額面より低い金額で譲渡したことによって生じる差額なのか、別途提供されたサービスに対する手数料なのかなど、取引の実態を確認することが重要です。

また、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは資金の流れが異なるため、仕訳の方法にも注意が必要です。

2社間ファクタリングでは、売掛先から利用企業へ入金された後にファクタリング会社へ送金するケースがあるため、資金移動を含めて正確に処理する必要があります。

一方、3社間ファクタリングでは、売掛先からファクタリング会社へ直接支払いが行われるケースが一般的であり、利用企業側の処理が比較的分かりやすくなる場合があります。

さらに、売掛債権の譲渡そのものについては、一般的に消費税の非課税取引として扱われます。

ただし、契約に含まれる個別のサービスや費用については別の取り扱いになる可能性があるため、請求書や契約書を確認することが大切です。

ファクタリングを利用した際は、単に入金された金額だけを帳簿へ記録するのではなく、売掛金の額面金額、ファクタリング会社への譲渡金額、手数料や売却損などを整理して、取引全体を正確に仕訳しましょう。

特に高額な売掛債権をファクタリングする場合や、決算期をまたいで利用する場合、契約内容が複雑な場合には、税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

ファクタリングは売掛金を早期に現金化できる便利な資金調達方法ですが、会計処理を適切に行うことも重要です。勘定科目や仕訳方法を正しく理解し、自社の会計方針に沿って処理することで、資金調達コストを正確に把握できるようになります。