これが基本!【スタートアップのための資金調達】3つの方法とは?

2023年7月3日

スタートアップのための資金調達方法とは

資金調達は英語で「Fundraising」または「Corporate Finance」という言葉で説明されます。資金調達は一連のプロセスであり、例えばエクイティ調達の場合、各ラウンドの資金調達は次のラウンドや開発へのステップとされています。各ラウンドの間隔は6ヶ月から2年程度とされています。融資の場合は、1ヶ月〜3ヶ月程度です。

起業の際に必要になる「お金」。資金調達が必要ない、“自己資本”が潤沢にあるレアなパターンを除けば、資金調達はベンチャーやスタートアップ経営者にとって重要なミッションの一つとなります。資金調達を行うことで、自己資金ゼロからスタートアップを始めることも可能です。

この記事では、スタートアップにオススメの資金調達方法を紹介します。

資金調達方法は大分類すると3パターン

「アセットファイナンス」

会社(あるいは経営者)が所持している持つ有形・無形の資産を資金化する方法です。自社の資産(アセット)を元手に資金調達をする(ファイナンス)方法であり、資産を売却して資金調達を行うことも含まれます。

アセットファイナンスの代表的な例として不動産を担保とした銀行融資が有名ですが、その他にも売掛債権(ファクタリング等)、金融資産(保険・株式)、知的財産権(特許、実用新案、意匠、商標)など将来的にキャッシュフローを生む資産であれば基本的に全てアセットファイナンスの対象になります。

アセットファイナンスにはファクタリングや債権回収、資産売却などが含まれます。保有資産を流動化するメリットは、会社の資産を有効活用することで、活用していなかった資産の維持管理費を軽減し、キャッシュに変えることができる点です。

信用度が低いスタートアップやベンチャー企業でも資金調達が可能であり、デットファイナンスのみの場合と比較してリスク分散が図られるためため、財務状況の健全化が図れます。また、手法によっては低コストで資金調達ができ、返済の必要がないことも特徴です。

スタートアップの場合、これから起業するケースも多いのでそもそも資産を持っているケースは少ないことが多いですが、「将来的にキャッシュになる権利」などを持っていれば活用が可能です。

● ファクタリング
企業が売掛金を現金化することで資金調達を行う方法です。ファクタリング業者と契約することで、売掛金を即時に現金化でき、キャッシュフローの改善が図れます。

「デッドファイナンス」

銀行借入や債権発行などの負債によって資金調達をする方法で、調達先のバリエーションも様々です。王道は銀行からの融資ですが、銀行ではなくとも自治体の制度融資や日本政策金融公庫等の公的金融機関、家族や友人など借入先は豊富です。また、利息は税務上の損金として扱われますので、税金を抑える効果もあります。一方で、基本は「誰かから借りたお金」になりますので、自己資本に占める借入金の比率が多い状態が続くのは信用力低下に繋がります。また返済・利息分は将来のキャッシュフローが減少します。

①自己資金(家族や友人知人からの調達含む)
創業者自身の資金や友人・家族からの資金提供を活用する方法です。資金調達の速度や手続きが比較的簡単ですが、家族や友人知人の個人負担が大きくなることがあります。そのため、資金調達の際には下記の注意点を考慮し、適切な計画と準備を行うことが重要です。

● 借りる金額や返済条件を明確にする
金融機関などからの融資と違って、当事者同士の話し合いでお金をやり取りできるので、手軽に思えるかもしれませんが、適切な契約書の作成や確認が不可欠です。返済期限や利息についても、予め話し合っておくことが大切です。返済が遅れる場合は、速やかに相手に報告し、新たな返済計画を立てることが望ましいです。

● 資金提供者との関係性
事業がうまくいかなかった場合、家族や友人知人との関係が悪化する可能性があります。そのため、資金提供者に対しては事業リスクを十分に説明し、理解してもらうことが大切です。

● 法律や税金の面での注意点
例えば、金銭消費貸借契約書が有効であるか?利息にかかる課税などスタートアップに詳しい専門家(弁護士、税理士)に相談しましょう。

②事業資金融資
銀行や金融機関から借り入れる方法です。通常、利息や返済条件が設定され、信用や担保が必要な場合があります。日本政策金融公庫がスタートアップ企業向けの融資制度を提供しています。

● 日本政策金融公庫の資本性ローン(デッドファイナンス)なども人気です。

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、スタートアップを含む中小企業やベンチャー企業への融資制度は様々ありますが、起業家向けの「創業融資制度」や「新事業活動促進資金」などもあり、低金利でまとまった資金を調達できることが魅力です。

デメリットとして審査項目が多く、審査承認まで時間を要するためスピード感はありませんが、リスクを抑えて資金調達するなら手段としては優秀です。ここに、国や自治体からの補助金や助成金も絡めると財務を強くすることが可能です。

スタートアップ支援資金では、性劣後ローンを通じて、ベンチャー企業・スタートアップ企業や新事業展開にも対応しています。本制度は特定VCからの出資やJ-Startup採択を条件に企業が新たに発行する新株予約権を公庫が取得し、必要な資金を無担保・無保証人で資金提供する仕組みです。

③社債
社債は、企業が資金調達を目的として投資家に発行する期限付き負債証券です。発行時に設定された利率に基づいて、投資家に定期的に利息が支払われます。期限が来ると、企業は元本を返済する必要があります。資金調達額が大きい場合に適しており、金利リスクを抑えることができます。ただし、発行に関連する費用(金融機関や顧問弁護士、司法書士に払う登記費用)などがかかります。

社債の種類は、企業の信用力や投資家のリスク許容度に応じて選択されます。主な種類には、無担保社債、担保付社債、コンバーチブル社債などが存在します。また、規模や取引方法によっては、小規模私募債や銀行引受の社債なども分類されます。

小規模私募債は、限られた投資家に対して発行される社債で、発行手続きが簡素化されているため、発行コストが低く抑えられます。一方、銀行引受の社債は、銀行が引受人として機能し、企業が発行する社債を引き受けて投資家に販売する方法です。これにより、企業の信用力が向上し、より多くの投資家からの資金調達が可能となります。

④RBF (Revenue-Based Financing)
企業が将来の収益に基づいて資金調達を行う方法です。返済は売上高の一部で行われます。売上が伸びるほど資金調達額が増えるため、事業拡大に合わせた柔軟な資金調達と返済が可能です。RBFは主にスタートアップや成長中の企業に向けた資金調達手段であり、事業成長に伴うリスクを軽減することができます。従来の銀行融資やエクイティファイナンスとは異なり、RBFはスタートアップ企業の株式を希薄化せずに資金調達が可能です。また、利益が上がるほど返済額も増やせるため、業績が良い企業はより早く返済を完了できるというメリットがあります。

RBFにはデメリットも存在します。売上が伸び悩んだ場合、資金調達が難しくなり、また返済期間も短いため返済負担が重くのしかかる可能性があります。また、事業が拡大する前に資金を使い切り、返済が始まると、資金繰りに悪影響を与えることもあります。そのため、RBFを利用する際は、返済計画や資金調達のタイミングを慎重に検討する必要があります。確度の高いエクイティファイナンス前のブリッジファイナンスとして利用するには良い調達手法であると言えます。

「エクイティファイナンス」

エクイティファイナンスとは、企業が所有権の一部を売却して株式交付と引き換えに出資を受けて資金調達をする方法です。基本的に調達した資金の返済義務が発生しません。また、調達した資金は自己資本に充てられるため、財務内容も改善します。ただし、株式を出資者に保有されるケースがある点や出資分のリターンを求められるケースもあります。中小企業庁からも基礎情報が出ています。しかし、新たな株主がビジネスの運営方法について意見を持つようになるため、経営の自由度を失うリスクがあります。

この3パターンを細分化していくと30種類以上の方法があります。

資金調達は多種多様な方法がありますが、スタートアップ、ベンチャー、中小企業問わず、「これが必ず正解」というものはありません。

すべての資金調達方法にメリットとデメリットがあり、また事業目的やビジネスモデルに応じて最適な方法を選択することが必要とされます。自己資金ですべて賄えるのであればベストですが、自己資金では出来ないことや資金調達をすることで増える選択肢も多くなります。様々な資金調達方法を、メリット・デメリットなどを把握し、起業また経営に活用していきましょう。

スタートアップ企業とは、これまでになかったアイデアや発想、ビジネスモデルなどで市場を開拓する、創業したての企業を指します。最近ではAIやロボット、フィンテックなど様々な“新しいもの”を世の中に広めるべく創業された企業が多い印象です。

スタートアップは特に資金調達が必要な一方資金調達の環境が整っていないため、様々な手段を組み合わせて最善の調達プランを設定していきましょう。