総量規制とキャッシングの関係を徹底解説|年収の3分の1までしか借りられないルールとは?

2025年9月20日

1. 総量規制とは?

総量規制は、2010年の「貸金業法改正」によって導入された制度です。目的は、利用者が借りすぎて生活を破綻させないため。

基本ルール

・消費者金融・カードローン・クレジットカードのキャッシング枠などからの借入は、年収の3分の1まで

・この制限を超える貸付は原則として禁止

例えば、年収300万円の人なら、借入できるのは合計100万円まで。それ以上はキャッシングできません。

2. キャッシングは総量規制の対象

クレジットカードのキャッシングや消費者金融からの借入は、総量規制の対象です。

キャッシングとは?

キャッシングは「現金を借りるサービス」のこと。ATMやネットを通じて即日で現金を引き出せるため便利ですが、法律上は「借入」として扱われます。

総量規制がかかる理由

キャッシングは利便性が高く、借りすぎるリスクが大きいため、法律で上限が制限されています。
そのため「ショッピング枠」は対象外でも、「キャッシング枠」は総量規制で制限されるのです。

3. ショッピング枠とキャッシング枠の違い

クレジットカードには「ショッピング枠」と「キャッシング枠」があります。

ショッピング枠
 → カードで商品やサービスを購入する際に利用。立替払いに過ぎないため、総量規制の対象外。

キャッシング枠
 → ATMなどで現金を借りられる枠。貸金業法の対象となり、総量規制の制限を受ける。

この違いを理解していないと「カードを使っているだけだから大丈夫」と思い込み、返済能力を超えてキャッシングをしてしまうリスクがあります。

4. 複数のキャッシングは合算される

総量規制は、1つの会社からの借入だけに適用されるのではなく、すべてのキャッシングを合算して計算されます。

例)年収300万円の場合(上限は100万円)

・A社から 50万円借入

・B社のキャッシング枠で 30万円利用

・C社のキャッシング枠で 30万円利用

→ 合計110万円となり、総量規制を超えるため追加借入はできません。

そのため、「小口で複数の会社から借りれば大丈夫」という考え方は通用しません。

5. 総量規制の例外となるキャッシング

総量規制には一部の例外があります。キャッシングと似た仕組みでも、対象外となるものがあります。

例外となるケース

・住宅ローン(マイホーム購入資金)

・自動車ローン(車の購入資金)

・高額医療費の立替ローン

・有担保ローン(不動産や有価証券を担保にする場合)

・配偶者貸付制度(夫婦の年収を合算して借入できる制度)

これらは、生活や資産形成に必要不可欠な資金のため、総量規制の対象外とされています。

ただし、一般的なクレジットカードのキャッシングや消費者金融での借入は対象外にはなりません。

6. 総量規制と審査への影響

クレジットカードを申し込む際に「キャッシング枠あり」で申請すると、審査が厳しくなる場合があります。
なぜなら、キャッシング枠は総量規制で制限されるため、カード会社が利用者の借入状況を厳密に確認するからです。

もし「キャッシングを使う予定がない」のであれば、申込時にキャッシング枠を付けないことで審査がスムーズになるケースもあります。

7. 総量規制を超えてキャッシングしたい場合

「どうしても年収の3分の1を超える額を借りたい」という場合は、以下の方法が考えられます。

・銀行カードローンを利用する
 銀行カードローンは「貸金業法」ではなく「銀行法」に基づくため、総量規制の対象外。ただし、審査は消費者金融より厳しい傾向があります。

・配偶者貸付制度を使う
 夫婦の年収を合算して借入限度額を計算できる制度。例えば、夫が300万円、妻が200万円の年収なら、合計500万円の3分の1である約166万円まで借入可能になります。

ただし、いずれの場合も「返済可能性」を前提にしており、安易に借入額を増やすのは危険です。

8. キャッシング利用時の注意点

キャッシングは便利な反面、利息が高く設定されているケースが多いため、注意が必要です。

・利用するのは「本当に必要な金額だけ」

・複数社からの借入は合算されることを忘れない

・返済能力を超える利用はしない

・ショッピングリボ払いと合わせて返済負担が増えやすい点に注意

特にリボ払いとキャッシングを同時に使うと返済総額が膨らみやすく、生活に支障をきたす恐れがあります。

まとめ

総量規制とは:年収の3分の1までしか借入できないルール。

キャッシングは対象:クレジットカードや消費者金融からのキャッシングは総量規制で制限される。

ショッピング枠は対象外:商品購入は立替払いにあたり、総量規制の枠外。

複数社からの借入も合算されるため、管理が重要。

例外:住宅ローンや自動車ローン、銀行カードローンなどは対象外。

キャッシングは急な出費に対応できる便利なサービスですが、総量規制のルールを正しく理解して利用しなければ、返済不能に陥る危険性があります。
「自分はいくらまで借りられるのか」「返済可能かどうか」を常に意識して、計画的に利用しましょう。