売掛先に知られずに資金調達!2社間ファクタリングの仕組みとメリット・注意点を徹底解説

2025年9月7日

2社間ファクタリングとは、企業が保有している売掛金(請求書)をファクタリング会社に売却し、現金化する資金調達の方法です。売掛金とは、商品やサービスを提供した後に、取引先からの支払いを待っている未回収の代金のことを指します。通常、支払いサイトが長い場合には、売上が立っていても現金が手元に入るまでに時間がかかるため、資金繰りが厳しくなることがあります。

このような状況を改善するために活用されるのがファクタリングであり、特に「2社間ファクタリング」は、売掛先に通知せずに資金化できるという点が最大の特徴です。つまり、売掛先(取引先)にはファクタリングの利用を知られることなく、資金調達が可能となります。

この仕組みでは、関与するのは「利用者(売掛金を持つ企業)」と「ファクタリング会社」の2社のみであり、売掛先は契約に関与しません。そのため、取引先との信頼関係を維持しながら、スピーディーに資金を確保することができるのです。特に、売掛先との関係性を重視する企業や、ファクタリングの利用を知られたくない事情がある場合には、2社間ファクタリングが非常に有効な選択肢となります。

この方法は、資金繰りの改善を図りたい中小企業や個人事業主にとって、柔軟でスピード感のある資金調達手段として注目されています。

仕組みの流れ

2社間ファクタリングの基本的な流れは、以下のようなステップで構成されています。売掛先に通知せずに資金化できる仕組みのため、利用者とファクタリング会社の間で完結するのが特徴です。

① 利用者が売掛先に商品やサービスを提供し、請求書を発行

まず、利用者(企業)は通常通り、売掛先(取引先)に対して商品やサービスを提供します。提供が完了したら、売掛先に対して請求書を発行し、売掛金が発生します。この売掛金は、一定の支払いサイト(例:30日後、60日後など)に基づいて、後日支払われる予定の未回収金です。

② ファクタリング会社に売掛金を提示し、審査を受ける

次に、利用者はファクタリング会社に対して、保有している売掛金の内容を提示します。ファクタリング会社は、その売掛金の信用性を審査しますが、ここで重視されるのは売掛先の信用力です。つまり、利用者自身の財務状況よりも、売掛先が確実に支払いを行うかどうかが判断材料となります。売掛先が大手企業や公共団体などの場合は、審査が通りやすくなる傾向があります。

③ 契約締結後、売掛金の一定割合が即日〜数日で利用者に振り込まれる

審査に通過すると、ファクタリング会社との契約が締結されます。契約が完了すると、売掛金の一定割合(一般的には80〜90%程度)が、即日または数日以内に利用者の口座へ振り込まれます。これにより、売掛金の入金を待たずに、早期に資金を確保することが可能になります。

④ 売掛先から利用者に売掛金が支払われる

支払いサイトに従って、売掛先から利用者に対して売掛金が支払われます。この時点では、売掛先は通常の取引として支払いを行っているため、ファクタリングの利用については知らされていません。取引関係に影響を与えることなく、通常通りの入金が行われます。

⑤ 利用者がファクタリング会社にその金額を返済する

売掛先から入金があった後、利用者はその金額をファクタリング会社に返済します。これにより、ファクタリング契約が完了します。なお、返済時には手数料が差し引かれているため、最終的に利用者が受け取る金額は、売掛金の満額ではなく、手数料を差し引いた残額となります。

このように、2社間ファクタリングでは売掛金の回収は利用者自身が行うという点が大きな特徴です。ファクタリング会社は、売掛先から直接回収するわけではないため、利用者が責任を持って回収し、返済する必要があります。この仕組みは、取引先との関係性を守りながら、スピーディーに資金調達を行いたい企業にとって、非常に有効な手段となります。

メリット

売掛先に知られずに資金調達できる:取引先との関係性を保てる

2社間ファクタリングの最大のメリットは、売掛先にファクタリングの利用を知られずに資金調達ができるという点です。通常の3社間ファクタリングでは、売掛先にも契約内容が通知され、支払い先がファクタリング会社に変更されるため、取引先に「資金繰りが厳しいのでは?」といった印象を与えてしまう可能性があります。しかし、2社間ファクタリングでは、売掛先との取引は従来通りのまま進むため、信頼関係や企業イメージを損なうことなく資金調達が可能です。これは、長期的な取引を重視する企業にとって非常に大きな利点です。

即日資金化が可能:急な資金ニーズにも対応できる

2社間ファクタリングは、審査から契約、資金振込までのスピードが非常に速く、最短で即日資金化が可能です。急な支払いが発生した場合や、仕入れ資金・人件費などの支出が迫っているときでも、迅速に対応できるため、資金繰りの不安を軽減することができます。特に、銀行融資では審査に時間がかかることが多いため、スピードを重視する場面ではファクタリングの方が有利です。資金の流れを止めず、事業をスムーズに継続するための即効性が魅力です。

赤字や債務超過でも利用可能:売掛先の信用力があればOK
銀行などの金融機関では、融資審査において申込者の財務状況が重視

されるため、赤字決算や債務超過の企業は融資を断られることが多くあります。しかし、2社間ファクタリングでは、審査の対象となるのは主に「売掛先の信用力」です。つまり、利用者自身の経営状況が厳しくても、売掛先が安定した企業であれば、ファクタリング会社はその売掛金の回収可能性を評価して資金化を認めてくれます。これにより、財務状況に不安がある企業でも、資金調達のチャンスを得ることができます。

借入ではないため、信用情報に影響しない:オフバランス処理が可能

ファクタリングは、銀行融資やローンとは異なり、借入ではなく「売掛金の売却」という取引に分類されます。そのため、信用情報に記録されることがなく、将来的な融資審査や取引先との信用に影響を与えることがありません。また、会計上も「オフバランス処理」が可能で、負債として計上されないため、財務諸表の健全性を保つことができます。これは、資金調達をしながらも、企業の信用力を維持したい場合に非常に有効な手段です。

担保・保証人が不要:創業間もない企業にも利用しやすい

2社間ファクタリングでは、担保や保証人を求められることがほとんどありません。これは、創業したばかりでまだ資産が少ない企業や、保証人を立てることが難しい個人事業主にとって、大きなメリットです。売掛先の信用力が審査の中心となるため、創業間もない企業でも、安定した取引先があれば利用できる可能性があります。資金調達のハードルが低く、事業の立ち上げ期にも柔軟に対応できるのが、2社間ファクタリングの魅力です。

デメリットと注意点

手数料が高め:相場は10〜30%と、3社間ファクタリングより割高

2社間ファクタリングは、売掛先に通知せずに資金化できるという利便性がある一方で、手数料が高めに設定されているというデメリットがあります。一般的な相場としては、売掛金の金額に対して10〜30%程度の手数料がかかることが多く、これは3社間ファクタリングと比べて割高です。3社間の場合は売掛先が契約に関与するため、ファクタリング会社にとって回収リスクが低く、手数料も抑えられる傾向があります。

しかし、2社間では売掛先が関与しないため、ファクタリング会社は回収の確実性を利用者に委ねることになります。その分、リスクを補うために手数料が高くなるのです。資金調達のスピードや秘匿性を重視する場合には有効ですが、コスト面での負担が大きくなる可能性があるため、事前に手数料の詳細を確認し、納得したうえで契約することが重要です。

売掛金の回収リスクは利用者が負う:未回収時の対応が必要

2社間ファクタリングでは、売掛金の回収は利用者自身が行うため、売掛先からの支払いが遅れたり、未回収となった場合のリスクはすべて利用者が負うことになります。ファクタリング会社は、契約時に売掛金の一定割合を先に支払いますが、最終的な回収が行われなければ、利用者はその分を返済しなければなりません。

このため、売掛先の信用力が高いことはもちろん、支払い遅延や倒産などのリスクを事前に見極めることが非常に重要です。万が一、売掛先が支払い不能となった場合には、資金繰りがさらに悪化する可能性もあるため、複数の売掛先に分散して利用するなど、リスク管理を徹底する必要があります。

悪質業者に注意:契約前に複数社の比較と調査が重要

ファクタリング業界は、まだ法的な規制が少ない分野であるため、すべての業者が健全な運営をしているとは限りません。中には、過剰な手数料を請求したり、契約内容が不透明なまま進めようとする悪質な業者も存在します。こうした業者と契約してしまうと、資金調達どころか、トラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。

そのため、2社間ファクタリングを利用する際には、複数の業者を比較し、実績や口コミ、契約条件などをしっかりと調査することが不可欠です。できれば、専門家や税理士などに相談しながら進めると安心です。信頼できる業者を選ぶことで、安心して資金調達を行うことができ、事業の安定にもつながります。

まとめ

2社間ファクタリングは、スピードと秘匿性を重視する企業にとって、非常に有効な資金調達手段です。売掛先に知られずに現金化できるため、信用を守りながら資金繰りを改善できます。ただし、手数料や回収リスクには注意が必要なので、信頼できる業者を選び、契約内容をしっかり確認することが大切です。