ファクタリングで1億円以上の資金調達は可能か?高額取引の実態と成功のポイント
2025年4月24日
企業経営において資金繰りは常に重要な課題ですが、成長フェーズや大規模プロジェクトへの投資、突発的な支出への対応などでは、数千万円から1億円を超える大口資金の調達が必要になることも珍しくありません。
こうした場面で、「銀行融資では時間がかかる」「担保や保証人が用意できない」といった理由から注目されるのがファクタリング(売掛債権の売却)です。
では実際に、ファクタリングで1億円以上の資金調達は可能なのでしょうか?
本記事では、1億円超の高額ファクタリングが可能な条件や活用事例、業者選びの注意点を解説し、成功するための実践的なポイントをご紹介します。
ファクタリングとは?基本をおさらい
まず、ファクタリングの基本的な仕組みを簡単に整理しておきます。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(未回収の請求書)をファクタリング会社に売却し、債権の回収を待たずに資金化できるサービスです。銀行融資とは異なり、担保や保証人を必要とせず、売掛先(取引先)の信用力を基準に審査が行われます。
これにより、赤字決算の企業や税金滞納中の企業でも、条件によっては利用可能な点が特徴です。
高額なファクタリング取引は可能なのか?
結論から言えば、1億円を超えるファクタリングは実際に存在しており、条件さえ整えば実現可能です。ただし、一般的な中小企業向けの小口ファクタリングとは異なる注意点やハードルがあるため、慎重な準備が必要です。
実例:1億円を超えるファクタリングの取引
ファクタリング市場には、以下のような高額案件の取引事例があります。
・建設業の元請け企業が、公共工事の数億円規模の請求書をファクタリングで資金化。
・製造業が大手取引先向けに納品した後の債権を1.5億円で売却。
・医療法人が診療報酬債権1億2,000万円を担保にファクタリング契約を締結。
このように、売掛債権の額面が大きく、売掛先の信用力が高いケースでは、1億円以上の資金調達も十分に現実的です。
1億円超のファクタリングに必要な条件
高額なファクタリングを成立させるためには、次のような条件が整っている必要があります。
1. 売掛先が信用力の高い企業・団体
ファクタリングは、利用者(債権売却側)の信用ではなく、売掛先(債務者)の信用力が重視されます。売掛先が以下のような企業・機関であれば、高額でも承認されやすくなります。
・上場企業やそのグループ会社
・官公庁・自治体
・医療機関(公的保険診療の場合)
・大手商社やゼネコン
特に、支払いの確実性や期日厳守が期待できる企業が相手であれば、ファクタリング会社としてもリスクが低く、大口対応がしやすくなります。
2. 債権の内容が明確で証拠がそろっている
1億円規模の取引では、債権の裏付けが不明瞭だと契約に至ることは困難です。以下の書類は原則として必要です。
・請求書または納品書
・発注書や契約書
・売掛先との取引履歴や支払い実績
・銀行口座の入出金明細
「売掛金が存在すること」だけでなく、「確実に回収できる債権であること」を客観的に証明できることがポイントです。
3. ファクタリング会社が大口取引に対応している
すべてのファクタリング会社が高額案件に対応しているわけではありません。特に設立間もない小規模な事業者では、資金力やリスク管理体制の観点から、数百万円までしか取り扱わないケースもあります。
そのため、1億円以上の資金調達を希望する場合は、「高額対応実績あり」と明示している業者を選ぶ必要があります。
どんな業種が1億円超のファクタリングを利用しているか?
以下の業種では、定期的に1億円超の債権が発生するため、大口ファクタリングを活用する企業が多いです。
1. 建設業・土木工事業
公共工事や大手ゼネコンとの取引では、1件あたり数千万円~数億円規模の請求が一般的。完成から入金までに数か月のタイムラグがあるため、つなぎ資金としてファクタリングを活用。
2. 医療法人・クリニック
診療報酬ファクタリングでは、月間数千万円の診療報酬が発生する大型医療機関において、1億円超の債権を対象にした契約が行われることもあります。
3. 製造業・卸売業
大手取引先からの大量受注によって売掛金が急増した際、資材仕入れや人件費に即時対応するために高額ファクタリングが用いられます。
高額ファクタリングを成功させるためのポイント
高額な資金調達をファクタリングで実現するには、以下のような対策が有効です。
1. 複数社に事前相談・見積もりを依頼
1社だけで判断せず、大口実績のある複数のファクタリング会社に相談し、手数料や契約条件、スピード感を比較検討することが重要です。
高額になるほど、各社の審査基準や対応能力に差が出るため、情報収集と比較検討は不可欠です。
2. 書類の整備と提示タイミングがカギ
債権に関連する契約書や請求書、支払い実績を事前に準備しておくことで、審査のスムーズ化と信頼性の向上が図れます。
また、会計資料や事業計画など、売掛先以外の情報も任意で提出することで、業者側の安心感が増し、条件交渉にも有利になります。
3. 取引先との関係性を説明できるように
たとえ売掛先の信用力が高くても、「一度きりの取引」なのか「長年継続しているのか」によってリスク評価は大きく変わります。
取引歴や支払実績を明示できれば、継続的な安定債権とみなされ、より高額なファクタリング契約が可能になる可能性が高まります。
注意点:高額ファクタリングに潜むリスクとは?
高額な資金調達ができる反面、ファクタリングには以下のようなリスクもあります。
・手数料が高くなりがち
1億円以上の債権でも、手数料は数%~10%程度が相場ですが、取引形態や業者によっては想定以上に費用がかかることもあります。特に2社間ファクタリングではリスクプレミアムが上乗せされるため、契約前の見積もり確認は必須です。
・悪質業者との契約リスク
大口の資金を必要とする企業を狙い、不当な手数料や二重請求を行う「偽装ファクタリング業者」も存在します。事業者登録の有無や実績、契約書の内容に不備がないかを必ずチェックしましょう。
まとめ:1億円超のファクタリングは可能。ただし、準備と相手選びが重要
ファクタリングを活用すれば、担保や保証人なしで1億円を超える資金を迅速に調達することも可能です。しかし、成功のカギは「債権の確実性」と「業者選び」にあります。
・売掛先の信用力が高く
・請求内容が明確で
・高額対応実績のあるファクタリング会社を選ぶ
この3点を満たせば、銀行融資よりも柔軟かつスピーディーな資金調達が可能になります。
高額ファクタリングを検討している企業は、早めの準備と専門家との連携を行い、信頼できる業者との健全な契約を進めましょう。