ファクタリング利用後に売掛先が倒産したらどうすればいいのか?

2025年1月10日

結論から申し上げると、ファクタリングの契約時における償還請求権の有無によって売掛先企業の倒産時に利用者が費用を負担するかどうかが異なります。

ファクタリングは基本的に償還請求権なしの契約になるため、売掛先が倒産するなどして売掛金の回収が不可能になったとしても、受け取った資金を返還請求されることはありません。

ファクタリングには原則、償還請求権はないため、売掛先企業が倒産して回収不能になった場合、ファクタリング会社から売掛金の返還請求をされることはありませんのでご安心ください。

ただし、一部の悪質な業者を利用して償還請求権ありと知らずに契約してしまったり、手数料を下げることを条件に償還請求権をありに設定してしまった場合は、返還請求されるので注意が必要です。

ファクタリングにおける償還請求権とは

償還請求権とは、元の債権者に資金の返還を求める権利のことです。

ファクタリングを利用した後、売掛先の倒産などにより「代金が支払われない」「売掛金の回収が不可能となった」というケースもあるでしょう。

このように売掛金の回収ができなくなった際に、ファクタリング会社が元の債権者(利用者)に資金の返還請求をすることができる権利が償還請求権です。

「遡及権」や「リコース」などと呼ばれることもあります。

ファクタリングを利用する際には償還請求権の有無が重要になるため、契約時によく確認しておきましょう。

ファクタリング後に売掛先企業が倒産した場合、費用を返還請求される?

まず、気になるのがファクタリングをした後に売掛先企業が倒産した場合、費用を返還請求されるのかということですよね。

ファクタリング後に売掛先企業が倒産した場合、費用を請求されるかどうかは「償還請求権の有無」によって変わります。

償還請求権なしの場合、売掛先企業が倒産しても費用を返還請求されない

償還請求権なし(ノンリコース)の場合、売掛先企業の倒産などにより売掛金の回収が不可能になったとしても返還請求されません。

ファクタリングは、売掛金(売掛債権)の売買契約であるため、契約した後はファクタリング会社に権利が移行します。

償還請求権がない場合には、売掛先企業が倒産したとしても、すでに権利はファクタリング会社に譲渡しており、ファクタリング会社から受け取った資金を返還する責任を負う必要はありません。

償還請求権ありの場合、売掛先企業が倒産したら費用を返還請求される

償還請求権がある契約(ウィズリコース)では、売掛金の回収が不可能になった場合にはファクタリング会社から返還請求されます。

ファクタリング会社は回収できなかった売掛金の返還請求をする権利を有するため、売掛金が回収できなかった場合、利用者(利用会社)が売掛先企業の代わりに支払わなければいけません。

また、償還請求権ありの場合はファクタリングではなく実質融資にあたるため、契約時には注意が必要です。

売掛先の倒産による売掛金未回収を防ぐための対策方法3つ

前章でお伝えしたように、売掛先の倒産によるリスクや、万が一倒産してしまった場合の対処法を知るだけでなく、事前の対策が大切です。

予防策を知ることで、自社の損害を避けたり、より安心してファクタリングの利用を検討できるでしょう。

そこで、本章では対策方法をご紹介します。

売掛金の未回収を防ぐための対策法は以下の通りです。

それでは、それぞれについて見ていきましょう。

償還請求権なしのファクタリングを利用する

ファクタリング後の倒産による売掛金の未回収を防ぐ対策方法の1つ目は、「償還請求権なしのファクタリングを利用する」ということです。

償還請求権なしのファクタリングは返還請求されない分、償還請求権ありのファクタリングより手数料が割高ですが、売掛金の未回収リスクを防ぐことが可能です。

なお、ファクタリングする前にファクタリング会社が売掛先企業の与信をしっかりチェックするため、売掛先企業が倒産すると分かっている場合はファクタリングを利用できません。

しかし、売掛先企業の取引先が突然倒産することにより売掛先企業も資金繰りが悪化し、連鎖倒産を引き起こすケースも実在します。

このように売掛金の未回収を防ぐために契約する前に償還請求権の有無を確認し、償還請求権なしのファクタリングを利用するとよいでしょう。

保証型ファクタリングにする

ファクタリング後の倒産による売掛金の未回収を防ぐ対策方法の2つ目は、「保証型ファクタリングを選ぶ」ことが挙げられます。

なぜなら、保証型ファクタリングは売掛金を確実に回収できるサービスだからです。

ファクタリングには、買取型ファクタリングと保証型ファクタリングがあります。

買取型ファクタリングは売掛金を売買し、早期資金化(現金化)するサービスです。

一方、保証型ファクタリングは売掛金に関して、ファクタリング会社とファクタリング利用会社が保証契約を結ぶものを指します。

保証料を支払うことで、売掛先企業が倒産して回収不能になってもファクタリング会社が代わりに支払ってくれるシステムです。

保証料は、債権金額の3%~12%が相場と言われています。

リスクの高い売掛先企業であるほど、保険料は高くなるので気を付けましょう。

買取型のように早期資金調達をするものではありませんが、売掛先企業の倒産による売掛金が回収不能によるリスクをカバーしてくれます。

取引信用保険にはいっておく

ファクタリング後の倒産による売掛金の未回収を防ぐ対策方法の3つ目は、「取引信用保険に入っておく」ことが挙げられます。

取引信用保険とは、売掛先企業の倒産により売掛金が回収不能になった場合の貸し倒れリスクを保険金によりカバーしてくれるものです。

大手の損害保険会社や取引信用保険を専門とする会社などが販売しています。

取引信用保険では複数の取引先に保険をかけることになります。

取引先は自由に選べません。

また、1社の支払いだけが不安であってもその会社だけに保険をかけられないのが取引信用保険の特徴です。

保険料は保険会社による支払限度額の1%~3%程度が相場。

例えば、支払限度額が5000万円で保険料率が3%の場合、年間の保険料は5000万円×3%=150万円ということです。

このように取引信用保険は、売掛先企業の倒産による売掛金未回収のリスクを軽減できます。

まとめ

本記事は、ファクタリング後の売掛先企業が倒産した場合による売掛金の回収についてご紹介しました。

ファクタリング後に売掛先企業が倒産した場合、ファクタリング会社から売掛金の返還請求をされるかどうかは「償還請求権の有無」で決まります。

ファクタリングは償還請求権なしの契約のため、売掛金の回収が不可能になったとしても資金の返還請求をされる心配はありません。

償還請求権ありの契約は実質融資にあたるため、返還請求される場合があり、ファクタリングを装った悪徳業者の可能性もあるため、申し込みや契約時には償還請求権なしかどうかをしっかり確認しましょう。