近年増加中のテレワークや在宅ワークにおける注意点とは?

2023年5月18日

これまで仕事は出社し行うものという認識が強かったのが、現在では働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策として、国を挙げてテレワークの導入が推進されています。

しかし、テレワークは通常のオフィス勤務と異なり、働き方が大きく変わり、導入に当たっては少なからず混乱が生じることがあります。

そこで、この記事では、テレワークの概要や注意点、おすすめのビジネスツールと導入事例、テレワークを成功させる方法についてご紹介します。

テレワークとは? 厚生労働省を中心に国が推進している働き方の一つ

国が推進するテレワークは、情報通信技術(ICT)を活用し、時間や場所の制約なく働く勤務形態の一つです。

ここでは、テレワークに関連する国の取り組みとテレワークのガイドラインについてご紹介します。

テレワークに関する国の取り組み

テレワークには、自宅で働く在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィス勤務などが含まれます。情報通信技術(ICT)を活用することにより、いつでもどこでも柔軟に働くことができるようになりました。

テレワークは、政府と厚生労働省、経済産業省、総務省、国土交通省が中心となって推進している働き方です。以前から、企業の競争強化や労働形態の改革、事業継続性の向上、多様化する個人のライフスタイルに応じた働き方を実現するために推進されてきました。

現在は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するために、あらためてテレワークの有用性と必要性が見直されています。

テレワークの実施を後押しすべく、国の助成金も用意されています。

特に、コロナ禍においては働き方改革推進支援助成金の一つとして「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」が用意され、第3次募集まで行われていましたが、現在は募集が締め切られています。

その代わり、2021年に「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」が創設されています。テレワークを新たに導入する中小企業を対象としたもので、テレワーク用通信機器の導入費用やテレワーク用サービス利用料などの一部を助成するものなので、受給要件に当てはまるか確認するとよいでしょう。

また、経済産業省が実施している「IT導入補助金」もあります。中小企業や小規模事業者を対象としたもので、ITツールを導入する際に活用できる補助金です。

テレワークのガイドライン

テレワークを導入する際は、厚生労働省が発行するガイドラインを確認しておきましょう。このガイドラインでは、テレワークの概要や労働基準関係法令の適用・留意点、テレワークを導入する際の注意点について知ることができます。

ガイドラインの中で特に理解しておきたいのが、「労働基準関係法令の適用及び留意点等」です。使用者が特に留意すべき項目は以下のとおりです。

・休憩時間の一斉付与の原則を適用外にできる
・時間外・休日労働を行わせる場合や実際に深夜労働した場合、割増賃金を支払う
・賃金や労働時間、就業場所など労働条件を明示する
・パソコンの使用記録等の客観的な記録により労働時間を適切に管理する

テレワークにおける注意点は? 失敗しないために知っておきたいこと

テレワークの導入に失敗しないために、事前に情報セキュリティや労務管理・人事、コミュニケーションの注意点を理解しておきましょう。

情報セキュリティの注意点

テレワークを導入する際に注意したいのが、情報漏えいのリスクです。

情報漏えいが起きてしまうと、企業の機密情報や顧客の個人情報が流出し、社会的信用の損失や顧客離れにつながります。そのため、セキュリティ対策は徹底しておかなければなりません。

最初のアクションとしては、従業員のセキュリティ意識を高めるために、業務を実施するうえで順守すべきセキュリティの考え方をまとめたセキュリティガイドラインを策定するとよいでしょう。また、セキュリティシステムを強化するためにアクセスの管理・制限や暗号化による管理も徹底する必要があります。

またIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)は組織の利用者向けに下記8点の情報セキュリティ対策を推奨しています。

・パスワードの適切な設定と管理
・不審なメールに注意
・修正プログラムの適用
・セキュリティソフトの導入および定義ファイルの最新化
・ソフトウェアをインストールする際の注意
・パソコン等の画面ロック機能の設定
・USBメモリ等の取り扱いの注意
・社内ネットワークへの機器接続ルールの遵守

以下では、セキュリティリスクについて三つの観点で確認していきましょう。

不適切な通信環境への接続

テレワークでは、インターネット、または社内ネットワークにアクセスする際、無線LAN(Wi-Fi)を利用するケースがほとんどです。

自宅以外で仕事をする際にセキュリティに不備のあるWi-Fiスポットに接続してしまうと、端末の通信内容を盗み見られる、詐欺サイトへ誘導されるなどの可能性があります。

また、インターネットを通じて業務と関係のないサイトにアクセスするなど、業務用端末の不適切な使い方が情報漏えいにつながるリスクがあります。

ノートパソコン、情報記録媒体の持ち出し

テレワークでは、従業員に対してノートパソコンやUSBメモリーのような情報記録媒体を貸し出し、業務を行うように指示します。

パソコンやUSBメモリーを社外に持ち出すことになるため、盗難や紛失による情報漏えいのリスクが生まれます。

クラウドサービスの不適切な利用

テレワーク中は、従業員間でのデータの受け渡しにクラウドサービスを利用するケースも想定されます。

クラウドサービスは社内サーバーとは異なり、外部のサーバーにデータを保管することが特長です。サービスを提供する各社はセキュリティ面に注意を払ってはいるものの、利用者の使い方によっては情報漏えいにつながる可能性があります。

いずれにしても、テレワークにはセキュリティ対策の不備による情報漏えいリスクが付き物です。従業員にリスクがあることを周知し、適切な対策を講じることが重要となります。

労務管理・人事の注意点

テレワークは、オフィス勤務と比べると社員が実際に働いている様子を把握しづらくなります。そのため、社員が働きすぎていないか、本当に働いているか否かを随時確認することが重要です。

テレワーク下における労務管理・人事面で注意すべきポイントを、複数の観点で確認しましょう。

評価基準の明確化

テレワークでは、従業員の勤務姿勢を確認しにくく、出社している場合と比べて、管理者による従業員の評価が行いにくくなります。

結果として、従業員が成果を気にするあまり長時間働いたり、反対に人目を気にせずにサボったりするケースも見受けられます。

テレワークを導入するに当たっては、社内の評価基準を見直し明確にすることで、従業員が業務に正しく臨めるようにしましょう。

従業員の健康管理

テレワーク下における健康管理では、「身体面」と「精神面」の両面からのケアが必要です。

テレワーク中は自分のペースで仕事を進められる一方で、ほかの従業員とのコミュニケーションが極端に減ることで孤独感を覚えやすかったり、通勤が不要なことから運動不足に陥りやすかったりする傾向にあるためです。

従業員に対しては、出社時と変わりなく、定期的な健康診断や長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックなどの安全衛生教育を行いましょう。

労災基準の再確認

労災保険はテレワークにも適用されます。

認定の判断は労働基準監督署が行いますが、例えば、社員が就業中にトイレに行くために離席して転倒したケースでは、業務行為に付随する行為に起因しての発生であったため、業務災害と認められています。

コミュニケーションの注意点

テレワーク環境下では、メンバー間で連携が必要となる業務の実施に注意が必要です。

テレワーク時はそれぞれがある程度孤立した状態で仕事を進めることになるため、どうしても連携が取りづらくなるためです。コミュニケーション不足が原因で業務に支障が起きないよう、意識して連携を取りましょう。

また、上司や同僚とのコミュニケーションが不足することによって、業務に対する意欲が低下し、業務をより良くするためにはどうしたらいいかという視点を持ちづらくなります。こういった観点からも小まめにコミュニケーションを取り、社員の精神面に気を配らなくてはなりません。

テレワークの注意点を押さえて導入を成功させるコツ

テレワークを導入する際は、情報漏えいのリスクを低減したうえで、適切に労務や人事周りを管理し、コミュニケーション不足にならないように配慮する必要があります。いずれの対策にも、適切なビジネスツールの導入がおすすめです。

ビジネスツールを有効活用することによって、テレワーク導入の成功はもちろん、生産性の向上や残業の削減も期待できます。複数のビジネスツールをうまく活用すれば、より業務の効率向上を図れることでしょう。