ファクタリングにおける単発債権の資金化は可能?
2024年11月17日
ファクタリングは売掛債権(売掛金)の譲渡によって資金調達する方法ですが、何年も取引している売掛先の債権、継続債権を買い取りするケースが多いはずです。
しかし、1回だけの単発仕事について、売掛債権(売掛金)を持っていてそれをファクタリングしたいこともあります。金額が多い、継続ではないのでバレても良い、継続債権はいじりたくないなど諸事情があり、単発債権のファクタリングについて挑戦したい事業主様もいらっしゃるはずです。
単発債権のファクタリングは何を気を付けたらよいのでしょうか?今回は単発債権をファクタリングする際に注意したいことなどを解説していきます。
単発債権について
通常の売掛契約は、「辞退の申し出がない限り自動的に更新」「1年間で特に問題なければ翌年以降も」とある程度1年、数年になる長い契約期間を前提にしています。契約書にも、ある程度の期間取引を行うことを前提として規定が置かれています。
しかし、中には「この1回限り」という契約もあります。その1回限りの契約について、売掛契約によって生じるのが単発債権です。
単発債権は1回だけの単発契約における売掛債権(売掛金)になります。単発ならば、納品→検収→即入金でもよいと思われますが、発注者側の資金繰りや経理処理の関係上、一定のサイトを置いたあとに入金する契約が必要なのかもしれません。
単発仕事でも重要で、売掛債権(売掛金)入金サイトが長くても契約することもあるでしょう。その場合、入金までに日が長く、資金繰りがつかずファクタリングして資金化したいケースもあるはずです。
特に建設業やIT業の場合、大型の単発案件というものがあります。公共事業や大きなシステム構築は継続ではなく単発です。金額も大きいですが、納品→検収→入金まで時間がかかります。
このような大型事業の単発債権はファクタリングしないと資金繰りに苦労します。そういうこともあり、大型の単発債権はファクタリングと相性がよさそうです。問題は継続債権ではない、単発債権を買い取ってくれるファクタリング会社があるかどうか、あった場合どのようなことに注意すれば良いのでしょうか?
以下で単発債権のファクタリングについて詳しく説明していきます。
単発債権の買い取りができないファクタリング会社もある
ファクタリング会社にとって、買い取る際にリスクが低い売掛債権(売掛金)は、何年も継続していて、毎月決まった期日に振り込みが通帳で確認できる場合です。
3年間毎月末日に入金されている売掛債権(売掛金)ならば、翌月も翌々月も入金されるとファクタリング会社は判断し、審査も通りやすくなります。ファクタリング会社も継続している債権を買い取ってもリスクは低そうです。
しかし、単発債権の場合、本当に期日に振り込みがあるのか、通帳では確認できず、担保するものがありません。
実際に振り込まれないかもしれない売掛債権(売掛金)の買い取りになるので、単発債権のファクタリングについて避けるファクタリング会社もあります。
「ファクタリングは半年以上継続しているもののみ」というような条件を付けているファクタリング会社もあるので、単発債権のファクタリングを行いたい場合は、ファクタリング会社選びに注意してください。
単発債権をファクタリングするメリット
単発債権のファクタリングはファクタリング会社が嫌がるので避けるべきでは?と思われるかもしれません。しかし、自社の資金繰りに問題がある場合、遠慮なくファクタリングしましょう。現金がなく不渡りを起こしては元も子もないですし、ファクタリングできず、融資も間に合わないためヤミ金融などに手を出してしまうと、大変なことになってしまいます。
単発債権をファクタリングするメリットとして、売掛先にバレてもダメージがないことが挙げられます。継続して取引している売掛先にファクタリングの事実がバレると、「この会社は資金繰りが悪いのか?」「倒産が近いのか?」「自社(売掛先)を信用しておらず、期日に入金されないと思っているのか」などと邪推されてしまい、ネガティブな心証を与える可能性があります。
これまで構築してきた良好な関係が、ファクタリングをきっかけに崩れてしまうかもしれません。
しかし、単発債権のファクタリングならばバレても継続取引しないので問題ありません。今後もまた単発取引するかもしれませんが、1回だけ取引した相手についてそこまで深くおぼえていないでしょう。
単発債権ならば3社間ファクタリングや債権譲渡登記で売掛先にバレてもダメージがないという大きなメリットがあります。
継続取引している売掛先の売掛債権(売掛金)についてファクタリングするのは気が引ける、という事業主様はまず単発債権で影響がないものをファクタリングしてみてはいかがでしょうか?
単発債権のファクタリング デメリットはある?
継続した取引で次回も入金が推定される売掛債権(売掛金)であれば審査もやさしく迅速なものになりますが、単発債権の場合はそうではありません。デメリットについても押さえておきましょう。
継続した債権があればそれを先にファクタリングすることを検討してください。
ファクタリングの諸条件が厳しくなる
ファクタリング会社は、過去に買い取り歴のない本当に期日に入金されるかどうかわからない、単発債権を買い取りします。
そのため、通帳コピーなどによらない審査を行わなければならなくなります。
そのため、手数料が高くなる、掛け目(買取率)が低くなるなど、通常のファクタリングと比較して条件が悪くなります。
確実に期日までに入金される保証がないので、この辺りは仕方ないものとして受け入れてください。
ファクタリング審査に時間がかかる
ファクタリング審査に時間がかかることもデメリットとして挙げられます。2社間ファクタリングが難しく3社間ファクタリングになるので、当然売掛先の同意が必要になります。
即日資金化は2社間ファクタリングを行い預金通帳コピーで定期的な入金を確認できた場合の例外的な結果だとご認識ください。
即日資金化したい場合、単発債権のファクタリングは向きません。継続して行っている売掛先との売掛債権(売掛金)をファクタリングしてください。
単発債権のファクタリングは時間に余裕があるときに計画的に行うものです。
よほど単発債権の売掛先が有名企業や行政機関でないと、ファクタリング会社もすぐに審査OKとはしないのでご注意ください。
まとめ
単発債権は過去の入金実績がないので、ファクタリング会社にとっては入金の継続性が確認できないため、買い取りを避けるのはリスクヘッジとしてある意味当然です。
しかし、「1回だけ、単発の大仕事」というものもあります。そうした単発債権については、売掛先が有名企業や行政機関で信頼性が担保される、単発債権の金額が多すぎない、そのファクタリング会社と継続取引していて依頼人に信頼がある、などの条件を満たせば買い取りができることもあります。
まず、売りたい単発債権についてどのような条件なのか整理してみてください。それをもとにファクタリング会社がしっかり審査します。