ファクタリング契約の流れとはどんな?契約書の注意点等をわかりやすく解説
2024年11月13日
ファクタリングを活用し資金調達する場合、どのような流れとなるのか、そして契約が締結されたことを証明するために作成・発行される契約書の内容を知っておくことが大切です。
はじめてファクタリングを利用するときに、目の前に提示された契約書の内容を見ても「このような形式や中身なのだろう」と理解できないまま書類に署名したり印鑑を押したりしてはなりません。
そこで、ファクタリング契約の流れについて、仕組みや契約書の注意点をわかりやすく解説します。
ファクタリングとは
「ファクタリング」とは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、売掛先から回収するよりも前に現金化できる金融サービスです。
売掛債権の売買であるため、お金を借りる方法ではありません。
仕組み
ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛債権を買い取り、売買手数料を差し引いて買取代金を支払う仕組みです。
事業者間では掛けによる信用取引が主流であるため、商品やサービスを販売すると同時に代金を受け取らず、一定期間は売掛金(売掛債権)が発生します。
発生した売掛金が入金されるまで、1~2か月程度かかるため、順調に売上は上がっていても手元の資金は足らないといったケースもめずらしくありません。
資金不足に陥る前に、ファクタリングで売掛金を現金化すれば、手元の資金を増やすことができます。
また、売掛金が倒産して未回収となるリスクも低減させることにもつながります。
契約の種類
ファクタリングには次の2つの契約形態の種類があります。
・2社間ファクタリング
・3社間ファクタリング
それぞれ説明します。
2社間のファクタリング
「2社間ファクタリング」とは、利用者とファクタリング会社のみで契約を結ぶファクタリングです。
売掛先など第三者が介入しないため、スムーズな資金調達につながることがメリットですが、売買手数料は高めに設定されます。
3社間のファクタリング
「3社間ファクタリング」とは、利用者とファクタリング会社だけでなく、売掛先も契約に関与します。
事前に売掛先に通知を行い承諾してもらう手続が必要となるため、売買手数料は低く設定されますが、現金化まで時間はかかります。
ファクタリング契約の流れ
資金調達までの流れや仕組み、設定される手数料の大きさなどは異なりますが、以下のように買い取りまでの流れは共通しています。
・相談(事前相談)
・申し込み
・必要書類の提出
・審査
・契約
項目ごとにファクタリングの流れの詳細を見ていきましょう。
相談(事前相談)
まずファクタリングとはどのような資金調達のサービスなのか内容を知りたいという場合もあるでしょう。
自社が保有している売掛債権なら必ず買取りできるのかなど、いろいろ尋ねてみたいこともあるはずです。
そこで、多くのファクタリング会社では事前に相談を受け付け、簡易的に利用の見込みを確認するといったサービスを提供しています。
おおまかに利用可否の見通しを判断できる上に、万一手数料割合などで条件が合わない場合は断ることもできるので安心です。
優良なファクタリング会社に依頼したいなら、複数社に相談を行いどのくらいの手数料で売掛金を買取ってもらえるのか見積もりを依頼し、比較した上で決めることが望ましいといえます。
申し込み
買取りの申し込み方法には、インターネット・電話・来店・郵送などがありますが、ファクタリング会社によってどの方法を受け付けているか異なります。
甘すぎる条件や低すぎる買取手数料を提示してくるときや、審査はほとんど行わず契約を急がせる場合、即日買取ったのちに法外な手数料の支払いを迫る闇金融業者の可能性もあるので注意しましょう。
必要書類の提出
ファクタリングを利用する場合、ファクタリング会社から主に次のような書類を提出するように求められます。
法人登記簿謄本(会社が実在していることを証明するため)
印鑑証明書(契約書に押印する実印であることを証明するため)
身分証明書(代表者の身分を証明するため)
決算内容確認書類(経営内容を把握するため・2~3期分の決算書など)
売掛金証明書類(売掛金が発生していることを証明するため・請求書や納品書など)
通帳など入金を確認できる書類(売掛先との取引関係を確認するため)
その他書類(納税証明書など)
他にもファクタリング会社や契約内容によって、必要となる書類が変更されたり増えたりする場合もあります。
必要とされる書類に不備や不足があれば契約に至るまで時間がかかってしまいます。
スムーズな契約を実現させるためにも、事前にどのような書類が必要かファクタリング会社に確認し準備しておきましょう。
また、求められる書類が多い場合は面倒と感じてしまうものです。
しかし、提出した書類が多いと精度の高い審査が可能となるため、リスク判定が正確にでき買取数料が安くなる可能性も出てきます。
反対に必要書類がほとんど必要ない場合や、審査を行わず契約を結ぶ場合は、多額の手数料を請求しようとする闇金融業者や悪徳業者の可能性も否定できません。
審査
ファクタリング会社に提出した書類により審査が行われることとなりますが、同時に事業内容などヒアリングも行われます。
ヒアリングでは次のような内容の聞き取りが行われますが、こちらも審査の結果に影響する部分ですので嘘偽りなく正しく答えるようにしましょう。
・ファクタリングを利用する理由(資金不足の原因など)
・売掛先の事業内容や取引状況
・売掛先のファクタリング利用に対する内諾の有無(3社間ファクタリングを希望する場合)
経営者が事業内容や取引状況をしっかりと把握できているかなど、書面だけでは確認できない部分をファクタリング会社独自で判断していきます。
契約
ファクタリング会社と契約を締結するときには、必ず契約書が作成され控えを書面で発行されます。
契約前に契約書の中身をくまなく確認し、疑問に感じる点や不安な部分などは担当者に説明を求めるようにしましょう。
優良な業者なら書類を見ながら、相手が法人でも個人でも、丁寧に説明を行ってくれるはずです。
質問をしても専門用語などでわかりにくい説明を行う場合や、うまくごまかし契約を急かすという業者は危険ですので契約しないようにしてください。
ファクタリング契約書の記載内容
ファクタリングの契約書はファクタリング会社によって異なります。しかし、多くのファクタリング会社で記載されている共通項目もあります。
一般的に、ファクタリングの契約書に記載されている共通項目は、次のような条項です。
・定義・契約目的と対象になる債権の範囲
・類似契約の協議
・売掛債権の譲渡
・売掛債権の管理回収に関する支払い方法の報告
・手数料
・承諾通知の方法
・債権返還の可能性
・資金の返還
・債務者に関する報告義務
・回収に対する協力
・期限の利益の損失
・費用の負担
・届出事項
・報告及び調査
・契約期間
・精算事項
・合意管轄
・特約事項
他にもファクタリング会社によって、独自の条項を契約書に記載していることもありますが、不利な契約を結ばないためにも不明な点は必ず確認することが大切といえます。
ファクタリング契約書の注意点
ファクタリングで資金調達する際、目の前に契約書を見せられて複雑だからと素通りしないでしっかり書類に目を通しましょう。
不明な点や疑問を感じる部分は、納得できるまで説明してもらうことも大切です。
不利な契約を結んでしまわないために、契約書の主に次の9つの注意点を確認しておきましょう。
・償還請求権の有無
・債権譲渡通知の有無
・債権譲渡登記の有無
・売買手数料
・担保取得の有無
・報告義務
・損害賠償・違約金の発生事由
・契約の解除事由
・契約期間
それぞれ説明します。
償還請求権の有無
償還請求権とは、ファクタリング会社が売掛金を買い取った後で売掛先から資金の回収ができなかった場合、利用者に対し売掛金を買い戻してもらうように請求する権利のことです。
通常、ファクタリングは償還請求権のないノンリコースファクタリングが一般的となっています。
売掛先から資金の回収ができなくてもその弁済責任を利用者が負うことはなく、買い戻しの必要もありません。
ただ、手形割引のような償還請求権のあるファクタリングも存在しており、この場合は買い戻しが必要です。
そして償還請求権のあるファクタリングの取り扱いが可能なのは貸金業者などの金融業者のみです。
手形割引同様に、償還請求権のあるリコースファクタリングは単なる売掛債権の買取りではなく融資として扱われることになるため、貸金業登録を行っている業者でなければ取り扱いできません。
もし貸金業登録を行っていないのに償還請求権のある契約を結ぼうとしているなら、違法な闇金融業者であると判断できますので契約しないようにしましょう。
債権譲渡通知の有無
債権譲渡通知とは売掛先に対し売掛金を譲渡する旨を伝えることです。
3社間ファクタリングでは債権譲渡通知が行われることになりますが、2社間ファクタリングでは不要としています。
ただし2社間ファクタリングであるはずなのに、契約書に債権譲渡通知の項目が記載されている場合はその内容を確認しておくようにしましょう。
債権譲渡登記の有無
債権が譲渡された事実を証明するために行うのが債権譲渡登記ですが、主に2社間ファクタリングで行われることが多い登記手続です。
2社間ファクタリングは売掛先に対して債権譲渡通知を行いませんので、誰が売掛債権の権利を所有しているか権利関係を明確にするためにこの債権譲渡登記を求められることがあります。
ただ、債権譲渡登記を行うときの費用は利用者が負担することがほとんどであり、誰でも法務局で登記情報を閲覧が可能である点に注意しましょう。
売掛先が事実を確認する可能性もある上に、銀行に対し融資の申し込みを行っている場合、売掛債権が売却されたことを知られ審査が通らなくなると認識しておくべきです。
すべてのファクタリング会社が債権譲渡登記を必須としているわけではありませんので、2社間ファクタリングでも未登記で対応できるところを選ぶことをおすすめします。
売買手数料
2社間ファクタリングのほうが3社間ファクタリングよりも手数料は高めに設定されます。
これは2社間ファクタリングのほうがファクタリング会社にとってリスクの高い取引であるためですが、2社間ファクタリングの手数料相場は10~20%、3社間ファクタリングは1~5%です。
この相場を大きく上回る手数料が設定されている場合、悪徳業者である可能性が高いため事前に必ず確認しておきたい項目といえます。
担保の取得の有無
ファクタリングは融資を受けるわけではなく売掛債権を買取ってもらう資金調達方法ですので、担保や保証人は必要としません。
それなのに契約書の内容に担保や保証人についての記載がある場合は、悪徳業者であると判断されるときは契約しないようにしてください。
報告義務
売掛先に何らなかの不穏な動きがあった場合、ファクタリングの契約書に報告義務が明記されているならファクタリング会社に対し、その状況を報告しなければなりません。
損害賠償・違約金の発生事由
損害賠償や違約金については、どのようなケースで発生することになるのか事前に確認しておきましょう。
その範囲があまりにも広い場合や、金額が高額に設定されている場合には、不利な条件と考えられますので契約しないほうが賢明と考えられます。
契約の解除事由
契約期間中に重大な契約違反があった場合、契約解除となります。
その場合、受け取った売掛債権売却代金は返還することになりますので、どのようなケースが重大な契約違反に該当するのか内容を確認しておきましょう。
契約期間
ファクタリングを一度のみ利用するのではなく、継続した利用を前提とする場合にはその期間や自動更新の有無など書面上の記載について確認しておいてください。
まとめ
ファクタリングで資金調達する場合における契約までの流れは、相談・申し込み・書類提出・審査・契約という形です。
本来のファクタリングにおける売掛金の売買契約では、必ず契約書が作成され利用者には控えが渡されることになります。
契約書が発行されない場合や、発行しても控えを渡されない場合には悪徳業者である可能性が高いので契約しないようにしましょう。
さらに契約を結ぶときには、その契約内容を確認し意味不明な点は説明を受けることが大切です。
手数料などメリットの大きい安心できるファクタリング会社を選ぶようにしてください。
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