資金調達成功するためのアドバイスはある?
2024年4月4日
起業時してから資金調達を成功させるには、調達先を上手に選ぶことです。そこでの審査がスムーズに通ることが大切です。調達先の特徴を把握し、審査で重要視されるポイントを知っておきましょう。今回は、経営コンサルタントの視点から見た重要なポイントをアドバイスします。
開業時から支援が受けられる資金調達先一覧
経営実績のない開業時から申し込むことができ、融資などが受けられる先には次のようなものがあります。
・日本政策金融公庫
:起業(創業・開業)資金の融資
:中小企業の運転資金や設備投資の融資
:再生資金事業承継(M&Aなど)の貸付融資
:補助金・助成金
・地方自治体
:公的融資
:一般融資
・信用金庫
:代理貸付
:プロパー融資
・銀行
:信用保証付き融資
:不動産担保融資
:個人事業者向け融資
・消費者金融・ビジネス専業の金融業者
:ビジネスローン
:不動産担保融資
政府系金融機関である「日本政策金融公庫」の融資は、起業時向けのものがいくつかあります。無担保無保証であったり、返済期間が設備資金であれば15年以内、運転資金なら5年以内などと長く取れたりするのが特徴です。創業間もない時期の経営者の味方と言えます。
「信用金庫」など地元の企業を支援する姿勢が強い金融機関には、地方自治体と組んだ制度があります。信用保証協会の保証付きのあっせん融資が受けられ、金利の補助が得られるケースもあり、一般的な金融機関の融資を受ける場合よりも負担を抑えることが可能です。
また、返済の必要のない「補助金・助成金」にチャレンジするという方法もあります。給付が開業後になることが多いものの、資金繰りの心配が少なくなるのがメリットです。
このほか、金利は高めですが銀行や消費者金融、カード会社の定型商品であるビジネスローンを利用する方法があります。
自社にふさわしい調達先を選ぶ
調達先にはさまざまな機関がありますが、自社にふさわしい調達先を選ぶポイントは何でしょうか。
頼りになる良い調達先を選ぶには、調達先の融資方針や融資実績、得意・不得意な業態などの特徴を把握することが大切です。その上で当方の経営体質、調達の方針と突き合わせ、自社にふさわしい調達先かどうかの相性度合いを見つけるようにするとよいでしょう。「有名な金融機関だから良い」「融資量の規模が大きいから良い」とは必ずしも限らないものです。
成功のためのワンポイントアドバイス
資金調達を成功させるためのポイントは、まずは綿密な事業計画を立てることです。また、その次に必要となる、審査でのポイントや心構えをご説明します
事業計画書は具体的に、実現可能性をアピールする
事業計画の立案においては、「新しい事業の特徴」や「よそにないウリは何で」「誰向けにどのように提供するか」といった内容を明解に述べます。そして「資金調達計画」や「リスクマネジメント」についても十分な検討を行います。
事業計画書を作成するにあたり、問題意識や目指す理想像について記載することも大切ですが、5年後、10年後といった近い将来までのロードマップを具体的に説明することが特に重要です。
特に調達先機関には、楽観的なシナリオではなく、堅実で保守的な計画でも事業が回っていくことを示しましょう。事業が走り出してから計画を早々に修正するようでは、資金調達がたとえできたとしても、その後のビジネスのつまづきにつながります。
資金内訳(使途)を明確にする
開業前から事業が軌道に乗るまでの間に、資金が潤沢にあるに越したことはありません。とはいえ、「ざっくりこのくらい」とおおまかに借入調達額を見積もられても、融資の審査をする側は妥当な融資額を計算することができなくて困ってしまいます。
事前に「設備資金としていくらかかる」「従業員への給与支払がいつからいくらかかる」「仕入れ代金の支払や販売代金の回収条件はいつ締めいつ払いを想定している」という具合に、申し込み後の審査の面談の際に、資金の使途とお金の動きを明確に説明、管理することが大切です。
調達までの期間を確認する
日本政策金融公庫であれば、「初回相談・申し込みから審査、融資手続きを経て融資実行に至るまでにおよそ何週間くらいかかるのか」、自治体の補助金・助成金は「開業後いつから給付可能なのか」といった、資金が調達できるまでの日程と期間を確認しましょう。
融資の場合は、申し込みしてからお金が出るまでに、1~2カ月ほどかかるのが一般的です。開業してしばらくの間に資金がショートすることのないよう予定を組み、開業準備に必要な資金や、開業後の諸払いに安心を得ておくことが大切です。
同時に、融資の面談においては、融資希望日をきちんと伝えることも忘れないようにしましょう。
無理をしない
一番望ましいのは、自己資金をできるだけ多く用意することです。外部から資金が調達できるならば「できるだけ欲しい、その資金でもっと大きくビジネスを広げたい」という思いもあると思いますが、今ある資金の範囲でできることから1つずつやっていくという堅実な姿勢が経営者として必要です。また担保に余力があると資金調達の交渉がはかどるという好循環も作れます。
親身になってくれる人と組む
起業後の資金計画や経営計画まで親身になってアドバイスをくれる金融機関の担当者や、信頼できるビジネスパートナー、困ったときに相談に乗ってくれたり応援したりしてくれる起業家の先輩など、頼れる人を見つけておくと心強いものです。創業手続きを代行し、何かときめ細かに支援してくれる税理士や司法書士と懇意になることも、後々大きな力となってきます。
資金調達がうまくいかないときは…?
資金調達がうまくいかないときには、「調達さえうまく行けば」というその場しのぎの考え方を捨て、冷静に受け止めましょう。何がネックになっているのか事業計画を見直します。そして原因を分析し、できるところから着実に対応策を固めていきましょう。まだ経営に乗り出したばかりで経営者として完璧ではありませんから、誰しもあることです。落ち込む必要はありません。
慌てて親せきや友人に借金を申し込まない
給料が支払えなければ、スタッフが採用できなくなります。タイミングのよい仕入れができなければ、商品やサービスを提供できず、販売の商機をみすみす逸してしまいます。
そこで慌てて親せきや友人に借金を申し込むのは、「今乗り切れれば」というその場しのぎの考え方の現れです。資金調達がうまくいかない原因を見つけられなければ、また同じことが起こり得ます。
・今ある資金で何ができるかを検討する
・サイドビジネスなどで自己資金が十分たまるまで本格稼働を延期する
・起業を支援する補助金に応募する
・お金のかからない方法で宣伝してファンを増やす
・こういった方法を考えることが、事業計画の見直しにつながります。
事業性評価の時代を意識する
事業計画書を見直すと、調達先機関へのアピールが不足している場合があります。成長する可能性がある事業、すなわち「事業性評価が高い特色があるのに、それをアピールしていない」ケースです。
事業性評価とは、事業の内容や成長可能性を評価することで、金融機関が審査判断をするときに重視するポイントの1つとなっています。
例示すると次のようなものがあります。
・特許製品を持つ
・有力取引先(優良企業先)からの取引の引き合いが多い
・優良取引先に恵まれている
・マーケット環境が良い
このような魅力が見込めると、金融機関や投資家からむしろ積極的な働きかけを受けることになるほどです。自分や自社の事業に、高い事業性評価が期待できる特色や独自の強みはないか、よく見直しましょう。
1人で考えていてアイデアがわかないとき
1人で考えていてもアイデアがわかないときは、地方自治体や地元の商工会、銀行、信用金庫、信用組合などが設けている起業家向けの相談センターなどに出向いたり、公開セミナーに出席したりするのがおすすめです。そこでは専門家に相談できたり、調達対応へのアドバイスをもらったりすることができます。また、経営者の体験談を聞いたり、他の起業家仲間と連携する道を模索したりするなども一法です。
今回は、開業・起業時に資金調達を成功させるポイントについて解説しました。起業の道に進む人は、自信を持って事業を起こしています。お客さまのため、世の中のためにこういうことをしたいというはっきりした強い気持ちや理想を持って行動を起こしたことでしょう。資金調達の活動は、その気持ちをもう一度確かめるチャンスをくれています。
お金は、事業を軌道に乗せるエネルギーです。
熱い気持ちとともに、経営者としての冷静な判断力を駆使しながら、必要な資金の調達にぜひ成功を勝ち取ってください。