IT導入補助金とは?採択率やあれこれ説明
2024年2月10日
事業をされている方の中には、IT導入補助金がわからない方や、補助金を活用してデジタル活用の負担を軽くしたいけど、何からしたらよいのかわからないという方も多いと思います。
確かにIT導入補助金は内容がわかりにくい部分もありますが、決められた内容をシッカリと守れれば、決して難易度の高い補助金ではありません。
この記事では、IT導入補助金の概要から採択率、手続きの流れといった、申請に欠かせないポイントについて解説します。これを参考にぜひIT導入補助金にチャレンジしてみてください。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業・個人事業主など小規模事業者を対象とするデジタルツール導入の際に申請できる5種類の補助金です。各枠で対象となるITツールや支給限度額が異なるうえ、前期・後期のスケジュールが分かれているため、申請の際は注意しましょう。
IT導入補助金の審査の加点および減点の要件
IT導入補助金の採択率に関わる申請時の審査における加点・減点の要件を確認していきましょう。
加点
審査の加点要件となる項目は次のとおりです。
・クラウド製品導入
・地域経済牽引事業計画の策定
・地域未来牽引企業に選定
・インボイス対応ツール導入
・要件を満たす事業計画の策定および従業員への通知
・SECURITY ACTIONの二つ星宣言
・サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト掲載のITツール導入
・健康経営優良法人の認定
・地域DX促進活動支援事業の支援コミュニティ・コンソーシアムからの支援
・事業継続力強化計画の認定
・介護職員等の特定処遇改善加算の取得
・くるみん・えるぼし認定
減点
前年度および当該年度に別枠で申請している場合は、審査の際に減点されます。加えて、過去3年以内に下記の補助金の受給実績があるケースも減点対象です。
・平成28年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業
・平成29年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業
・平成30年度2次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業
IT導入補助金の申請が通りやすくなる4つのポイント
IT導入補助金の審査に通過するためのポイントは次の4点です。
・概要や条件を明確に把握する
・加点項目をクリアする
・事前準備は計画的に行う
・実績豊富なIT導入支援事業者のサポートを受ける
概要や条件を明確に把握する
IT導入補助金の申請準備の際は、必要書類の不備や対象外となる要因に該当していないかを確実にチェックしましょう。特に、2023年度から新たに加わった「SECURITY ACTION宣言」や「みらデジ経営チェック」の実施を失念しないようにしてください。効果報告に備え、導入したツールを使いこなせるよう社内研修等を行うことも重要です。
加点項目をクリアする
申請時には、可能な限り加点項目を満たしていると、採択される可能性が高まります。加点項目を明確に把握し、IT導入補助金の採択率を上げましょう。
事前準備は計画的に行う
IT導入補助金の申請は、規定のスケジュールに沿って進めなければなりません。また、一定の予算内で行われる事業であり、予定額に達すると応募が締め切られるかもしれません。申請の各ステップの完了には数ヵ月の期間を要する場合もあるため、余裕を持ってスキームを立て、期限にかかわらず早めの申請をおすすめします。
実績豊富なIT導入支援事業者のサポートを受ける
IT導入補助金で購入するツールは、自社が抱える課題の解決を目的として選ぶ必要があります。また、どれほど便利なツールでも、実際に使いこなせなくては意味がありません。適切なITツールを選定し、スムーズに導入・運用するには、パートナーとなるIT導入支援事業者のサポートが不可欠です。実績豊富な事業者なら、蓄積されたノウハウを基に、各企業にとっての有用性の見極めたうえで最良のITツールを提案してくれるでしょう。ただ、IT導入支援事業者を騙る悪質業者による架空申請の危険性があるため、選定の際は注意してください。
申請が却下された際の対処法
IT導入補助金の申請が却下された場合でも、下記2つの方法で速やかに対処すれば問題ありません。
・不備を修正して再提出する
・再申請する
・専門の窓口に相談する
不備を修正して再提出する
申請内容に不備があったときは、IT導入補助金の事務局から通知があります。修正のうえ再提出が可能ですので、早急に手続きを進めましょう。ただし、再提出の内容や審査の状況によっては、採否の公表が次回以降に持ち越される可能性があります。
再申請する
申請が却下されても、期間内であれば再申請が可能です。同じ類型での再申請の場合は、下記の手順を踏まなければ手続きを進められません。
・申請マイページから不採択通知書をダウンロードする
・gBizIDプライムアカウントの紐付けをいったん解除する
・通常通り手続きを行う
なお、アカウントの連携解除後、ほかの申請実績がない場合はアカウントを新規登録する必要があります。
専門の窓口に相談する
申請が採択に至らず自社のみで対応が難しい場合は、相談窓口に問い合わせてアドバイスを受けましょう。却下原因が分析・把握しやすくなり、内容修正および再申請の手続きがスムーズになることで、次回の採択率を最大限に高められます。
【2023年度最新】IT導入補助金の採択率
IT導入補助金前期における各枠の採択率(2023年8月22日現在)をご紹介いたします。
通常枠(A・B類型)
【A類型】
申請数 交付決定数 採択率
1次締切: 1,871 1,363 72.8%
2次締切: 2,987 2,162 72.3%
3次締切: 2,837 2,143 75.5%
【B類型】
申請数 交付決定数 採択率
1次締切: 44 28 63.6%
2次締切: 77 43 55.8%
3次締切: 70 37 52.8%
セキュリティ対策推進枠
申請数 交付決定数 採択率
1次締切: 25 20 80%
2次締切: 37 32 86.4%
3次締切: 16 16 100%
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
申請数 交付決定数 採択率
1次締切: 2,744 1,735 63.2%
2次締切: 3,078 2,160 70.1%
3次締切: 4,146 3,117 75.1%
4次締切: 3,577 2,796 78.1%
5次締切: 5,061 4,002 79%
デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)
1次締切: 0 0 0%
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
1次締切: 2 1 50%
全体の合計
総申請数 総交付決定数 総採択率
26,572 19,655 73.9%
過去の採択率の推移
続いて、2022年度のIT導入補助金の採択率をみていきましょう。
総申請数 総交付決定数 総採択率
通常枠 A類型 23,426 13,621 58.1%
B類型 669 338 50.5%
セキュリティ対策推進枠 297 287 96.6%
デジタル化基盤導入枠 デジタル化基盤導入類型 45,836 37,639 82.1%
複数社連携IT導入類型 7 4 57.1%
IT導入補助金が採択されない5つの要因
不採択になる主な要因は以下の5つです。
・申請要件が不十分
・申請書類・内容の不備
・過去に類似の補助金の交付実績がある
・申請した事業内容が計画性に欠ける
・支給の対象外
申請要件が不十分
IT導入補助金は、要件を正確に満たし、正しい手順を踏んで申請しましょう。申請枠が誤っていたり、必須項目を満たしていなかったりすると、不採択になります。過去の申請実績にかかわらず、当該年度の要件を必ず確認してください。
申請書類・内容の不備
添付書類の不足や記入漏れも、申請時によくあるミスです。入力の際は、見落としがないか確実にチェックしましょう。また、個人と法人で必要な書類が異なる点にも注意してください。
過去に類似の補助金の交付実績がある
過去3年以内にIT導入補助金および類似の補助金を受給している場合は、審査の減点対象です。上記補助金の受給実績があるからといって必ずしも不採択になるわけではありませんが、採択率が下がる可能性があります。
申請した事業内容が計画性に欠ける
提出した事業計画が生産性の向上に結びつかないと判断された場合、IT導入補助金は採択されません。交付後には具体的な数値目標の達成が求められるため、根拠が不十分または計画性に欠ける内容での承認は難しいでしょう。
支給の対象外
IT導入補助金の支給対象は、原則として中小企業および小規模事業者等のみです。大企業や一定の基準に抵触する事業者は申請できません。また、各枠の対象外のソフトウェアやサービスを申請しても採択されませんので、あらかじめ規定を確認しておきましょう。
補助対象はIT導入支援事業者の申請によって事務局から認定されたツールのみです。なお、採択前に一部でも支払いが済んでいるツールは対象になりません。