農業の資金繰りにはァクタリングがおすすめな理由を紹介
2023年11月27日
ファクタリングはあらゆる業種に対応していますが、特に利用が多いのは建設業やIT業などです。
これらの業種に共通する特徴は、売上が不安定であること、そして回収サイトが長期化しやすいことです。
農業も、売上の不安定さと回収サイトの長さに問題を抱えており、建設業やIT業以上に資金繰りが困難といわれます。
したがって、農業にもファクタリングが効果的です。
この記事では、農業の資金繰りの特徴、ファクタリングを活用するメリット・注意点、活用のコツなどを徹底解説します。
農業の資金繰りの特徴
農業経営者には資金繰りにあまり関心がない人も多いです。
しかし、農業もひとつの事業である以上、日々資金繰りを回さなければなりません。
資金繰りが続かなくなれば、農業用の資材や肥料、種苗などを仕入れることができなくなり、事業が破綻してしまいます。
農業の資金繰りを考えるにあたり、まずは農業を業種で捉え、資金繰りの特徴を知ることが大切です。
売上が不安定
農業の資金繰りの最大の特徴であり、困難といえるのは、売上が不安定であることです。
売上が不安定であればあるほど、資金繰りは困難となります。
利益は売上から得られるものであり、売上の不安定は利益の不安定につながるからです。
もちろん、売上が毎回上振れするような不安定性ならば大歓迎でしょうが、多くは売上の不安定な落ち込みに悩まされます。
これは、農業で取り扱う商品が野菜や穀物、果物などの農産物だからです。
これらの共通点は、収穫高が気候に左右されることです。
気温が高すぎる、低すぎる、あるいは雨が多すぎる、少なすぎるなど、予想外の気候変動が起きた場合に農作物の収穫高は減少し、売上の減少に直結します。
気候の変動は、事前に予測できる場合もあります。
しかし、予測できたからといって十分に対策できるとは限りません。
予想外の気候変動に見舞われた場合にはなおさらです。
最近は、地球温暖化などの影響により、気候が大きく変わってきています。
地球温暖化は人類にとって未知の体験ですから、先行きが不透明です。
恐らく、「予想外の気候変動」が起こる頻度は、今後ますます多くなっていくでしょう。
これは、農業における売上の不安定性が一層高まるということです。
農業の資金繰りは、今後ますます難しくなっていくと考えられます。
回収サイトが長い
次に、回収サイトの長さも農業の特徴です。
回収サイトとは、売掛先への請求が確定してから代金を回収するまでの期間を意味します。
資金繰りの鉄則として、回収サイトが長いほど資金繰りが悪化します。
販売したにも関わらず、代金が手元に入ってこない期間が長いのですから、資金繰りが苦しくなるのも当然です。
農業の回収サイトは、出荷先に大きな影響を受けます。
生産者の多くはJAに出荷していますが、その場合、遅いところでは売上の回収が半年後ということもあります。
業種全体の回収サイトは平均1ヶ月程度であり、長い業種でも2ヶ月くらいです。
また、農業は商品の出荷までに長い期間を要するため、なおさら深刻です。
稲作を例に考えてみると、この深刻さがよくわかります。
稲作の流れは、
1~5月:稲作の準備
6~9月:田植え、田の管理
10月:収穫、出荷
となります。
1~9月までの間に様々なコストを負担し、10月に出荷して売掛金が発生するわけですが、その後に数ヶ月間の回収サイトを経てようやく売上を回収するのです。
さらに、JAから肥料や種苗などを仕入れた際の支払いは、「同月分翌月支払」が基本です。
ホームセンターから資材などを購入すれば、現金払いかクレジットカード払いとなるため、支払いの先延ばしはほとんどできません。
お金がなかなか入ってこない一方で、支出は早い段階で訪れるのです。
このように考えると、農業の資金繰りの苦しさが良く分かるでしょう。
回収不能リスクが低い
ただし、農業の資金繰りにも良いところがあります。
それは回収不能リスクが低いことです。
回収不能リスクとは、売掛先の倒産などによって売掛金が回収できなくなるリスクです。
JAに出荷している場合、回収不能リスクはほぼありません。
食料生産は重要な国策のひとつですから、農業は国から手厚い保護を受けています。
JAに対する売掛金が回収できなくなるのは、JAが破綻した時であり、それは日本の農業の破綻を意味します。
そうなれば、もはや資金繰りを考える段階ではありません。
したがって、実質的な回収不能リスクはゼロと言っても良いでしょう。
もちろん、出荷先はJAだけではなく、食品系商社や飲食店なども考えられます。
その場合には回収不能リスクを考慮しなければなりません。
農業の資金繰りはファクタリングで解決できる
回収不能リスクが低いことを除けば、農業の資金繰りは苦しいといえます。
そこで活用したいのがファクタリングです。
ファクタリングとは?
資金調達方法を大きく分けると、「外部資金調達」と「内部資金調達」に分けることができます。
・外部資金調達:外部から資金を調達する方法(銀行から融資を受ける、ベンチャーキャピタルから出資を受ける、社債を発行するなど)
・内部資金調達:自社の内部留保から資金を調達する方法(資産を売却する、リースバックを利用する、社内預金を取り崩すなど)
大きな違いは、資金調達の柔軟性です。
外部資金調達は、調達先の判断によっては資金を調達できません。
これに対し、内部資金調達は自社の内部留保から資金を調達するため、内部留保を上限として、自社の裁量で柔軟に資金調達できます。
ファクタリングは、自社の所有している売掛金をファクタリング会社に売却する資金調達方法です。
売掛金は流動資産ですから、資産の売却による資金調達であり、ファクタリングは内部資金調達に分類されます。
売掛金さえあればいつでも資金調達できるため、農業の資金繰りにも役立ちます。
スピーディな資金調達が可能
ファクタリングは、スピーディに資金調達できることも大きなメリットです。
資金調達には、銀行融資、出資、社債発行、株式発行、手形割引、不動産売却など色々な方法があります。
その中でも、ファクタリングは最もスピーディな資金調達方法です。
農業の資金繰りでは、JAバンクや日本政策金融公庫の融資制度を利用でき、他の業種に比べて銀行融資を受けやすいです。
とはいえ、融資実行までには数週間~1ヶ月を要するため、すぐに現金が必要な場合には役立ちません。
農業では、急な資金需要がしばしば発生します。
農家の仕入れ先にも色々ですが、専門業者から仕入れる場合、「即金」「年末一括現金」など、支払サイトは様々です。
即金で支払うには手元資金が必要ですし、年末一括現金では一時的に多額の現金が必要となります。
どちらの場合にも、「手元資金が足りない」「すぐに資金調達が必要」となる可能性があります。
そのようなとき、ファクタリングが効果的です。
ファクタリングは、方式によっては即日での資金調達も可能です。
売上の落ち込みに柔軟に対応
農業の資金繰りの大きな問題点は、売上が不安定なことです。
気候変動などによって売上が急激に落ち込むと、ほぼ確実に資金繰りが苦しくなります。
その売上減少が予想外であった場合、事前に相応のコストをかけて農業に取り組み、結果的には売上が減少した、という流れになるでしょう。
つまり、赤字になる可能性が高いのです。
赤字になった部分は、銀行から赤字補填資金を借り入れたり、手元資金の留保から埋め合わせたりする必要があります。
銀行融資でカバーすれば、その後の長期にわたって返済負担が重くのしかかります。
手元資金から埋め合わせるにしても、手元資金の大幅な流出を招くのですから、資金繰りの悪化は避けられません。
さらに、売掛金の回収は数ヶ月先です。
資金繰りが悪化した上に売上がなかなか入ってこないのですから、場合によっては手元資金が枯渇し、資金ショートに陥る可能性もあります。
そんなときにファクタリングが役立ちます。
ファクタリングを利用すれば、数ヶ月先に回収予定の売掛金を早期に資金化できるため、短期的な資金繰りに効果的です。
手数料が安くなりやすい
ファクタリング会社は、売掛金の額面金額から手数料を差し引いて買い取ります。
支払期日に売掛金を満額回収し、差額で儲けるのです。
ファクタリング手数料は、ファクタリング方式によって異なります。
目安は以下の通りです。
・2社間ファクタリング:利用会社とファクタリング会社の2社間で取引する方式。手数料相場は額面金額の10~30%
・3社間ファクタリング:用会社、ファクタリング会社、売掛先の3社間で取引する方式。手数料相場は額面金額の1~10%
どちらの方式でも、手数料率の下限と上限に大きな開きがありますが、これは売掛先の信用力によって変動する部分です。
売掛先の信用力が高ければ、ファクタリング会社は売掛金をスムーズに回収できる可能性が高いため、手数料を安くしても採算が取れます。
逆に、売掛先の信用力が低い場合、売掛金が回収不能に陥る可能性があるため、手数料を高く設定することでリスクヘッジを図る必要があります。
前述の通り、農業は回収不能リスクが低い業種です。
特に、売掛先がJAであれば回収不能リスクは限りなくゼロに近く、ファクタリング会社は安心して回収できます。
したがって、手数料は安くなることが多いです。
もちろん、JA以外に出荷する場合には、売掛先の信用力によって手数料が大きく変わる可能性があります。
回収不能リスクを回避できる
また、ファクタリングには回収不能リスクの回避にも役立ちます。
これは、ファクタリングが原則的にノンリコースだからです。
ノンリコースとは「償還請求権なし」での契約であり、買い取った売掛金が回収できなくなったとしても、ファクタリング会社は利用会社に売掛金の買い戻しを求めることができません。
つまり、回収不能リスクをファクタリング会社が負担してくれるのです。
売掛先がJAであれば、このメリットは大して役に立たないでしょう。
しかし、契約農家として飲食店や食料品店、食品系商社などに販売する場合、回収不能リスクがつきまといます。
回収不能リスクを軽減するには、取引先の信用力を調査し、与信限度額(掛売りで販売する上限額)や回収サイトなどの設定を工夫する「与信管理」が欠かせません。
農業経営者だけではなく、ほとんどの中小企業にとって適切な与信管理は困難です。
ファクタリングを利用すれば、回収不能リスクをファクタリング会社に移転できるのですから、与信管理の負担を大幅に軽減できます。
どんぶり勘定の改善に役立つ
最後に、どんぶり勘定の改善にもファクタリングが役立ちます。
業容が小さい農業法人では、経営管理がずさんになっており、資金繰りもどんぶり勘定でなんとか回してきた、というケースが少なくありません。
どんぶり勘定は、お金の動きをよく把握しないまま、その時々で資金繰りをやり繰りします。
徐々に資金繰りが悪化しているのを「見て見ぬふり」でやり過ごしている場合も多いです。
そのため、資金ショートの危険と常に隣り合わせであり、ちょっとしたきっかけで資金ショートに陥ることもあります。
長い間どんぶり勘定でやり繰りしてきた農業経営者は、資金繰りを改善しようにもどこから手を付ければ良いか分かりません。
おそらく、コンサルタントなどの専門家の支援がなければ、資金繰り改善は不可能です。
一部のファクタリング会社では、ファクタリングだけではなくコンサルティングも手掛けています。
そのようなファクタリング会社を選ぶことで、どんぶり勘定からの脱却も可能です。
農業でファクタリングを活用するコツは?
最後に、農業でファクタリングを活用するコツについて、実際に事例も交えながらみていきましょう。
銀行融資と併用する
最初のポイントは、銀行融資と併用することです。
業種を問わず、資金調達の軸は銀行融資です。
銀行融資は調達コストが安く、多額の資金調達も可能ですから、優れた資金調達方法といえます。
ただし、業績・財務が悪化したり、経済環境が悪化した場合には融資を受けにくくなるため、銀行融資への過度な依存は危険です。
その点、農業は他の業種に比べて銀行融資を受けやすいです。
農業は国が支援しているため、日本政策金融公庫からの借入が比較的容易であり、JAバンクなどからの借入も利用できます。
一般の中小企業に比べると、資金調達環境は良いのです。
ファクタリングは、基本的に資金調達方法の多様化のためと考えましょう。
銀行融資では対応できない場合にファクタリングを活用するのです。
手元資金を厚くする
特に、手元資金を厚くするために、ファクタリングの活用をおすすめします。
農業は売上のサイクルが特殊であり、回収サイトも長いため、手元資金が不足しやすいです。
手元資金が不足すると、資金繰りの安定性が低下するだけではなく、積極的な事業展開が難しくなります。
農業の抱える大きな問題に、人手不足があります。
人手不足の解消策として、政府は外国人労働者の受け入れを推進していますが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、なかなか人手不足が解消されません。
そこで、大規模な設備投資に踏み切る農業法人も増えてきています。
とりわけ、ロボット技術や情報通信技術を活用した「スマート農業」に注目です。
スマート農業の導入によって大幅な省力化が実現し、人手不足の解消につながります。
もちろん、設備投資には多額の資金が必要です。
銀行融資や補助金でカバーするとしても、手元資金はできるだけ厚くしておくべきです。
手元資金の確保にはファクタリングが役立ちます。
まとめ
農業は、売上が不安定である上に回収サイトが長期化しやすく、資金繰り難に陥ることも多いです。
この2つの問題は、ファクタリングを活用すればすぐに解決できます。
売上が落ち込むと銀行融資を受けることが難しくなりますが、ファクタリングならば問題ありません。
ファクタリングで早期資金化することにより、回収サイトによる資金繰り負担も大幅に軽減できます。
資金繰りに困っている農業経営者は、ぜひファクタリングを活用してください。