建設工務店の資金繰り改善にはファクタリングが役立つ!

2023年11月16日

業種によっては支払いサイトの長期化や先出しコストの影響から資金繰りに悩みやすくなります。そしてそんな業界の一つに建設業があります。公共工事を受注する」「リフォームを手掛ける」「一戸建て住宅を建てる」「など会社によって建設内容は異なります。ただ、いずれにしても工事という金額の大きな仕事を実施するようになります。

しかし、大きな請負工事を受注するにはそれだけ多くの材料費や人件費が必要になります。それにも関わらず、工事の完成まで時間がかかり入金が後になりがちです。

そのために資金ショートを引き起こしますが、この解決方法にファクタリングがあります。建設会社・工務店がキャッシュフローを改善し、即日に資金調達できる方法になります。

ただ、その他の方法まで視野に入れて資金繰りを良くしながら個人事業主・法人経営者として活動を続けなければいけません。そこで、建設会社・工務店がファクタリングを活用し、どのようにして資金繰りを良くすればいいのか解説していきます。

建設業は資金繰りが悪くなりやすい

ビジネスを継続する場合、お金の流れを読むことで資金繰りをどのように円滑にすればいいのか理解しなければいけません。しかし建築業の場合、工事に対する腕は非常に良くても、決算書を読むなどお金の流れをよく理解できていない人が非常に多いです。

これが日雇い労働の常用工事なら関係ないですが、利益の大きい請負工事になるとお金が枯渇しやすいのです。

一人親方の個人事業主や工務店の法人経営者を含め、通常は大きな請負工事を受注しようと考えます。ただ、前述の通り金額な大きな工事であるほど完成までに時間がかかります。材料費が増え、建築会社なら社員や外注費への支払い金額も膨れ上がります。

ただ入金サイクルは長く、後にならなければお金が入ってきません。その結果、売上は大きいのに現金が手元にない状態が発生します。売掛金ばかり高額になるものの、支払いが遅くなるので結果として黒字倒産のリスクが高まってしまうのです。

それだけでなく、下請け業者だと必然的にキャッシュフローが悪化しやすいです。元受け業者から仕事を受けるため、どうしても元受け業者の力が強くなります。そうなると、値引きによって売上を減らされるだけでなく、支払い日を後ろに設定されることも多いです。こうして、さらに資金繰りが悪化します。

元受けなら、お客さんに対して「工事金額の半分を先払いでもらって着工する」などが可能です。ただ下請けの一人親方や工務店だと、そうしたことができないのです。

建設業法は無視されることが多い

ちなみに建築業法では、「工事完成後にお客さんから入金があった場合、下請け会社に対して1ヵ月以内(場合によっては50日以内)にお金を払わないといけない」という決まりがあります。

しかし、実際にはこれを無視して支払いを先延ばしにされるケースが多いです。建築業だと、元受け業者のパワーバランスがどうしても強くなってしまうのです。

手形取引での支払いも工事業界でキャッシュフローが悪い原因

また、工事業界だと手形取引での支払いになることもよくあります。なぜ手形を利用するのかというと、通常の売掛金よりも手形のほうが支払いを後伸ばしにしやすいからです。

入金サイクルは会社ごとにバラバラですが、売掛金だと1~3ヵ月ほどの支払いスパンになるのが一般的です。ただ、約束手形での支払いだと入金が4ヵ月後などになることもよくあります。

例えば以下の約束手形であれば、「8月31日の日付であるものの、支払期日は12月31日」になっています。

そのためこの手形の場合、支払いスパンは4~5ヵ月となります。下請け業者にとって、支払い期間の長い手形で振り込みを約束されてもメリットはゼロです。その分だけ資金繰りが悪くなるからです。

このように建築業の支払構造を見ていくと、資金繰りを悪化させる要因が非常に多いことに気が付きます。

ファクタリングで資金調達する建設会社は多い

これら資金繰りが悪い状態を防ぐため、多くの建設会社で銀行融資を考えます。実際のところ、銀行融資を引き出すのが最も優れた資金調達法の一つだといえます。

ただ、銀行融資は非常に審査が厳しいです。簡単には融資をしてくれませんし、会社の経営状態が悪くなると返金を要求されます。また資金調達するまで1~2ヵ月ほどの時間が必要になるため、資金ショートする間近であれば間に合いません。

そこで審査基準が非常に低く、即日融資であっても可能なファクタリングを利用する個人事業主・法人経営者は非常に多いです。

売掛金の売買をするのがファクタリングです。取引先に対して請求書を発行して売掛金を立てますが、このときの売掛債権を早期買取してもらうのです。

ファクタリングは即日での現金化も可能な手法であるため、たとえ得意先への売掛債権回収が4~6ヵ月後であったとしても特に問題ありません。売掛金をすぐにお金に変えることができるため、元受け業者からの支払いが遅いことに悩まなくて済むようになります。

工事業界での審査書類や基準を理解するべき

それでは、実際に工事業界関係者がファクタリングを利用するときは何を考えればいいのでしょうか。このとき、まずは審査書類について理解しましょう。

ファクタリング会社が重視するものとして「本当に売掛金が存在するのか」「売掛金は水増しされていないか」「売掛先の倒産リスクはないか」などがあります。

これについては、工事請負契約書や発注書などの証拠を提示する必要があります。そこに収入印紙が貼ってあり、取引先の法人印が押されていれば間違いなくその金額分の売掛債権が発生していることが分かります。

また、ファクタリングではどの会社でも銀行通帳のコピー提示を求められます。私の会社がファクタリングするときについても、以下のように通帳コピーをメールで提出しました。

通帳コピーを示せば、「売掛金を買取してもらいたいと考えている取引先と何度もやり取りをしており、きちんとした関係性がある」と判断できます。ここからも、確実に売掛金が存在していると判断できます。

こうして確実に請負工事の売掛金があるという証拠を示せば、一人親方(個人事業主)や法人経営者を含め問題なく審査に通過します。

売掛金の中でも、個人への請求は不可

ただ、ファクタリングのときは事前に注意しなければいけない点があります。それは、「売掛金を支払ってくれる先が法人」という大前提があることです。

一人親方を含め、個人事業主であってもファクタリング活用で資金調達できることは既に述べました。ただ、ファクタリングをするときは「法人に対する売掛金を保有しているとき」に限られるのです。

通常のビジネスだと、個人相手のビジネスは一般的に現金商売になるので売掛金は発生しません。ただ建設業は少し特殊であり、一戸建て住宅やリフォーム工事を含め仕事を受注する会社は一般個人に対して売掛金が発生します。半金を先払いしてもらうことなどはあっても、すべてが完了した後に工事金額の全額を払ってもらうのが基本です。

ただ、個人に対する売掛金は信用度が非常に低くファクタリングの対象外となることは理解しましょう。

もちろん一戸建て住宅やリフォーム工事、外構工事など個人向け工事がメインの会社であっても、下請けなので「売掛先が法人」であるなら特に問題ありません。あくまでも、売掛先が個人だとファクタリングできないと考えましょう。

「法人や国・地方公共団体が相手の売掛金のときにファクタリングできる」というのは、建設会社・工務店が理解しておくべきことの一つになります。

売上を抑えるのも資金繰りで重要

ただ、工事業者がファクタリングを利用するときは手数料について理解しなければいけません。このとき一般的には、得意先へファクタリングの事実が知られない2社間ファクタリングを利用します。

しかし、2社間ファクタリングはそれなりに手数料が高く「売掛金の10~20%」が相場となります。例えば手数料率10%の場合、100万円の売掛金をファクタリングしたときの手数料は10万円です。

それなりに高額な手数料となるため、即日や2~3日での資金調達が可能といっても何度も利用するべきものではありません。そこで、「敢えて請負工事を減らし、売上を落とす」「入金サイクルの早い少額工事を狙う」など資金繰り対策を考えましょう。

実際のところ、大きな工事を少なくして売上を落とすことで資金繰りがかなり改善するケースはよくあります。また売上は落ちても、請負する工事規模を小さくすれば効率化を図ることができ、経費が少なくなって結果として利益が増えることもあります。

売上がすべてではなく、経営者はキャッシュフロー全体を含めてビジネスを管理しなければいけません。そうしたとき、資金繰りの悪化を防ぐためにファクタリングばかりに頼るのではなく、その他の対策によって財務体質を改善する必要があります。